TOPCON CLUB (トプコンクラブ)
トプコンRE-2 |
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さて、このカメラのREスーパーとの大きな違いは、ファインダー固定式になったこと、絞込みレバーが省かれたこと、X接点が自動切り替え式ではなくなったことなどであるが、メーターも大きく変更され、REスーパーのように絞りとシャッター、メーターを機械的にチェーンで連結する方式から、メーター周りへの連動は電気抵抗による摺動式になった。つまり、REスーパーは絞りとシャッターを連結させたチェーンをメーター側とも繋げて、メーター本体そのものも回転させて定点合致式としたが、RE-2はメーターが固定されているので、その代わりに摺動抵抗を設けて、その上を鎖でつながれた摺動ブラシが回転し、情報量を調節している訳である。RE-2の場合、電源スイッチを入れると元から出ている針とは別に、定点指示用の丸い指標が現れる。ここに針を合わせれば露出が合うことになる。ただし、REスーパーに見られる軍艦部上の露出計確認窓は、このカメラでは省略されている。 シャッターボタンもR〜REスーパーの流れから逸れて一般的な軍艦部上のものに変更された。こうなったのも、前面にあるシャッターダイアルに場所を追いやられた結果であることは明白であるが、これはこれでなかなか悪くない。ただし、シャッターダイヤルそのものが右手にどうしても当たり、握り心地は今一歩の感は免れないだろう。なるべくそれを避けるために、正面から見るとかなりミラーBoxのある中心部が右に寄ったデザインになった。 |
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トプコンRE-2 |
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ベセラー・トプコンD-1 それはともかく、このカメラも何ら国内向けRE-2と機構的な差異はなく、アクセサリー類もRE系のシステムをそのまま利用できる。画像にはアクササリーシューを装着しているが、REスーパーのように巻き戻しクランク基部にバヨネットのカプラーを設けずに、当時の他社のカメラと同じようにファインダーアイピース脇の溝にはめ込むタイプのものを用いるようになっている。マグニファイヤーやアングルビューファインダーの取り付け台座もその形式を採っている。 |
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ハニメックス このカメラも国内向けRE-2と機構的な違いは全くない。ただし、どの銘柄のものも作られた期間によって小変更がなされ、初期のものには電源スイッチの確認窓が設けられていないが、後期型はスイッチの上に丸い小さな穴が開けられ、スイッチを入れるとここに赤い色の板が現れるようになっている。 |
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ところで、RE-2の標準レンズはREオートトプコール58mm F1.8で、F1.4はカタログ上では表記されていない。とは言え、当然選択できたものと思われる。ファインダースクリーンはREスーパーとは異なり、スプリットイメージではなくマイクロプリズムが用いられていて、これは交換することができない。このスクリーンはフレネルレンズの溝が前期REスーパーのものより細かくなり、ファインダーを覗く限り、その線の煩わしさは皆無になっている。また、全体的にファインダーが明るくなり、ファインダー固定式の良さが十二分に感じられる。 ところで、こうしてユニ・RE-2・REスーパーと、見事に三階級にわたるTTL一眼レフシリーズが完成したものの、他社との競合品の多いクラスにあるこのカメラはさっぱり売れなかったらしく、2年ほどで生産が打ち切られているため、新型コパルスクエアSが供給された68年にボディを改良したモデルを送り出すことはなかった。しかし、販売は4年ほど続いていて、これは裏を返すとかなり在庫処分に手間取ったことを暗示している。やはりカメラ人口の大半を占めるアマチュアカメラマンの多くが目を向けるこのクラスのカメラで生き残るには、単純に性能が良いだけではなく、普遍的で落ち着いたデザイン、販売力や知名度の強さがものをいうのであろう。 |
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This is the middle class camera of launched in 1965. It is a lengthwise running metal curtain focal plain shutter camera. Topcon had chosen and put in foremost with the completion of COPAL Square S . This camera is a finder fixation type. The depth of preview lever was omitted. It does not have an automatic internal peak compensating flash synchronization system. Even the meter was changed largely. |
トプコンIC-1オート 本来ならコパルスクェアが用いられるところであるが、スペースの関係からそれがかなわず、自社製の横走り布幕シャッターが用いられている。ただし、幕の開閉は電子制御式である。それにしても、せっかくの電子シャッターなのに、なぜかこのカメラもそれまでのLS機と同様、シャッター優先式AEが採用されている。これは考えてみるとおかしな話で、何のための電子制御なのか分からなくなってくる。と言っても、UVマウントレンズはシャッター優先式AEのウィンクミラーS〜ユニレックスのものなので、それも致し方ない訳だが、それなら機械式シャッターにすれば良かったと思う。スペースの関係が問題だったのだろうか。 |
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標準レンズはHIトプコール50mm F2で、ユニレックス用のUVトプコール50mm F2と基本的に同じものである。ただし、HI表記のレンズの中にはそれまでのUVマウントのレンズとは後玉の口径が異なり広くなっている機種もあり、それらは旧レンズシャッター機には使えない。交換レンズの開放値の自動伝達機構はやはりUVマウントなので加えられておらず、手動でセットしないといけない。ユニやユニレックスではマウント部のシャッターダイアル脇のASA感度設定ノブと直結した形で、同じリングの底面に開放絞り値を合わせる目盛りが刻まれているが、IC-1では別に開放値設定ダイアルを一般のカメラでのセルフタイマーの位置に設けている。反面、ユニレックスまではセイコーシャSLVシャッターに設けられていた「V(セルフタイマー)・X(ストロボ)・M(フラッシュ)」の切り替えノブが消え、セルフタイマーが省かれてしまった。 測光方式はユニレックスのようなスポット/アベレージのデュアル測光ではなくなり、オーソドックスなファインダー脇にCdSを配したTTL開放平均測光になる。 カメラのサイズはユニレックスとほとんど同じで、他社のもので言うならペンタックスSPと非常に近いサイズである。手にした質感はユニレックスよりもどっしりして精密感がある。それに伴ってか、価格設定はユニレックスが33500円だったのに対し、IC-1は46500円と大幅にアップしている。ただ、この頃はもうRE-2の生産が打ち切られて久しく、東京光学としてはこれを中級機と初級機の中間として位置付けたかったのかと思える。しかし、当時の他社の一眼レフの中では、かなり格安な方に入る価格設定であった。 トプコンIC-1オートは、セイコーシャがレンズシャッターの生産を打ち切っても、長年UVマウントを利用してきたユーザーを見殺しにせず、何とかその恩に報いようとしたかのような印象のカメラである。 |
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This is the AE camera named TOPCON IC-1 AUTO that has the electric method shutter system of launched in 1974. It takes over the design of UNIREX and remodel and turned focal plain shutter. But the UV mount is used. Topcon did not leave the UV mount lens user to his fate in the lurch. | |
トプコンIC-1オート シンクロ接点はXのみになったが、プリズムカバー上のシューはまだホットシューにはなっていない点で、少々物足りないところがある。 開放絞り値の設定ダイアルは「2 2.8 ・ 4 5.6」と刻まれていて、UVマウントのトプコールに対応しているが、HIズーム・トプコール87-205mm F4.7に対応して、4と5.6の間にクリックが設けられている。なお、「・」はUVトプコール35mm F3.5用で、その他にも2と2.8の中間もクリックがある。 |
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トプコンNew IC-1オート |
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面白いことに、ニューIC-1の時代には、国内では55mm F1.8に加えて旧型の50mm F2も並売されていたが、さらに海外ではユニレックスEEの標準レンズとルーツを同じくする50mm F2.8のバージョンも売られていた。画像のものはそのHI TOPCOR 50mm F2.8である。鏡胴のデザインは、旧IC-1の頃の、ユニレックス時代の流れを汲む削り出しのヘリコイドリングを用いず、スーパーDMと同様ののすべり止めゴムローレットを用いたタイプになっている。これは55mm F1.8も共通で、恐らくF2.8のレンズもNew IC-1とともにデビューしたものであろう。ただし、暗いレンズでありながら、現在流行りのいわゆるパンケーキレンズと俗称される薄型の筒は使われていない。 それはともかく、このカメラは廉価モデルでありながら、しっかりとした作りの美しいカメラである。しかし、ユニレックスまでのレンズシャッター機と同様、シャッタースピードが70年代半ばになってもまだ1/500秒までしかないのは、いささか時代遅れの感はぬぐえないだろう。中間速度も設定されていないことも相まって、何のために電子制御式のシャッターを使ったのか分からないと言われても致し方なかろう。そんな地味な印象のおかげかどうか、現在中古価格はかなり低いが、意外とこのカメラのシャッター周りや露出計は丈夫なため、同時代の黎明期の電子シャッターを用いた他社の一眼レフよりも生き残っている率は高い。 |
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トプコンNew IC-1オート New IC-1は標準レンズの開放値が1.8になった結果、ボディ側の開放値設定ダイアルにも「1.8」が追加され、従来の「2」の位置が「・」表記になった。 |
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This is the minor change model of the IC-1 AUTO that was launched in 1976. The standard lens was upgraded to HI TOPCOR 55mmf1.8. This camera had disappeared completely in 78, because RE200 was launched right away. This is an inexpensive model, but it is the beautiful camera of the make as soundness. |
トプコンはRE-2を完成させて、上級機種のREスーパー・中級機種のRE-2・入門機のユニと、「トプコントリオ」を完成させたが、最も需要の高かったTTL中級機にはライバルが多く、かなり苦しい戦いを強いられていた。ペンタックスSPやミノルタSRT101、キャノンFT-QLやニコマートFTなど、名だたるモデルがひしめき合っている中でしのぎを削る形になり、売れ行きは芳しくなかった。よってせっかく作ったものの、たった2年でRE-2の生産を中止し、その後は在庫処理に追われたのが現実のようだ。実際作りはREスーパーのように何から何までしっかりとしたものではなく、いかにも中級機然としており、横にニコマートやキヤノンがあれば、購入者の目はそちらに向いてしまうのも仕方なかったことだろう。 RE-2の中古品はメーター不動品が多く、それらはかなり安価であるが、実はメーターそのものの故障ではなく、電気接点の不良による場合が多いとのことである。だめ元で購入し、修理店でチェックしてもらい、代用パーツがあるかどうかも含めて相談してみるのも面白い。もちろん直るとは限らないので、あくまでも捨て値で購入しないとばからしい。五体満足なものの場合、標準レンズ付ならそれなりの値になるだろう。ただし、ブラックボディは非常に希少で、きれいなものの場合、結構な値が付くことが多いようだ。その他、べセラーネームのものは比較的安く取り引きされるが、ハニメックスのものは希少性が高く珍品扱いされるので、ちょっと高くなるかもしれない。 IC-1は時折シャッターに問題のあるものが見られるが、実はこれも故障でない可能性が高い。長年使用していないと、電池を入れてもシャッターが開かないまま作動することがあるようで、こうした物は故障品として扱われる。しかし、そのシャター音がおよそ60分の1秒程度で固定され、500分の1秒にしても低速にしても変化がないものは、ちょっとした電気接点の不良である可能性があり、何回もシャッターを切ることで元に戻ることがあるので、仮にオークションでジャンク扱いで入手したものがそうした症状であってもあきらめないことである。 ところで、これらの専用アクセサリーはあまりないが、RE-2用のアクセサリーシューやアイピースアダプターはよく目にする。実はこのアイピースアダプターはユニ・ユニレックス・IC-1とほとんど共通で、これがあればREスーパー系のファインダー関連のアクセサリーが全て使える。逆に言うと、視度補正レンズなどもアイピースアダプターを用いてREスーパー用を装着せねばならず、非常にかさばるものになってしまうのが難点ではある。 |
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