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安定期のカワサキトレール

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KX450(ブラッド・ラッキー)

 72年まではなかなかモトクロスで良い結果が残せず苦しんでいたカワサキであるが、ピストンバルブ250ccエンジンの開発により、大きく道が開けることになる。これに対し、トレール車は比較的大人しい性格のものが多くなっていく。

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カワサキKX125

 それまでのF6のロングストロークエンジンとは別に、新たによりコンパクトなロータリーバルブエンジンを開発してワークスモトクロッサーに搭載して走らせたのが73年のことである。デザインも洗練されているが、国内では未だ「赤タンク」にこだわっていたところが面白い。このエンジンをベースにしてKS125(KE125)が市販された。

カワサキKX250

 こちらはF11のエンジンをよりハイチューンして仕上げたワークスモトクロッサー。パワーはワークスものの常で、「30ps以上」としか発表されておらず、あいまいなデータしか残っていないが、この頃から好結果が残せるようになってきた。しばらくして、250MXとして一般にも市販された。

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カワサキ125MX

 上記のワークスモトクロッサーがデチューンされて、一般に市販されたのは74年のことで、初めはKXとは呼ばれなかった。アメリカカワサキのライムグリーン塗装に統一されたのもここからであった。最大出力は22ps/9500rpmで、スリーブを持たないELEXシリンダーが装着されている。

カワサキ250MX

 竹沢選手により国内チャンピオンに輝いたモデルのレプリカ。アメリカでもジム・ウェイナートがAMAチャンピオンになったように、非常に完成度の高いモデルであった。エンジンはF11のものと基本的に同じ設計で、ピストンバルブである。最大出力は34ps/8000rpm。

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カワサキKX400

 73年にアメリカでデビューしたF11M(KX250)をボア・ストロークともアップしてフルサイズに仕上た猛烈モトクロッサー。42ps/7000rpmで、中速域をとにかく太くしたようなエンジンである。この画像のモデルは75年のKX400A型であるが、よく見るとリアサスは倒立式になっている。

カワサキKD125

 76年に市販されたエンデューロモデル。KDXのルーツにあたる。基本的に一般市販車のKS125(KE125)から灯火類やメーター等を全て外して軽量化したもの。パワーは13psでKEとは何ら変わりない。サスも同じ物が使われ、後のエンデューロモデルとは思想を異にする。同様にKD175も作られた。

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カワサキKE125

 初め125TRの名で73年にデビューした後、125MS・KS125と名を変えて、更にKE125となってから形式名が定着した。これは75年のモデルであるが、当時の125ccトレール車では無敵の存在だった。パワーこそF6の15psから13psにダウンしているものの、トータルバランスに優れたバイクであった。
 下の画像は輸出専用に発売されたKE175のものである。このバイクは単にKE125のエンジンをボアアップしただけのモデルと思われがちだが、実はF7のエンジンと同じものである。元々中速から高速にかけてパンチのあるロータリーバルブエンジンであったため、50ccの排気量アップによってより一層トレールランには都合が良くなった。出力は13psから16ps/7000rpmに、最大トルクは1.4kgm/6000rpmから1.8kgm/5000rpmにアップしている。

カワサキMT-1

 70年にアメリカでデビューして以来、細く長く生産され続けた不思議なレジャーバイク。後にKV75として国内でも市販された。エンジンは古いモペットM75のものを流用しているが、この車体に4.3psのパワーである。ニックネームは「ダイナマイト・ベビー」であったが、実際そのスタートからの加速はダイナマイトであった。

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カワサキKE90

 G4の後継モデルで、型式名はG7になった。やはり73年デビューの頃は90TRと呼ばれていた。デザインはF11・250TRと同様、リアフェンダーの上にテールカウルを載せているが、フロントはダウンフェンダーになっている。エンジンや車体周りに変更は見られないが、パワーは10psにダウン。

カワサキG5

 こちらはKE90の輸出モデルの100ccバージョン。パワーは11psに向上している。やはりアップフェンダーがこのバイクには似合う。この他に、G4TRの名をそのまま使った、副変速機付きのモデルも海外では売られていた(後に牧場用のKV100となる)。ただし、エンジン回りはかつてのトレールボスと何ら変わりがない。

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カワサキ250TX

 かつてのトライアルチャンピオン、ドン・スミスとの共同開発によって完成した、カワサキ唯一のトライアルマシン。74年にワークスモデルであるKT250がデビューし、加藤文博選手の手であっという間にチャンピオンになった名作である。一般に市販された時は250TXの名が使われた。ただし、国内での公道走行は不可で、競技専用モデルとして販売された。
 エンジンのベースはF11のもので、これを大幅に変更してトライアル向きに仕上げた。最大出力は16ps/6000rpmと、かなりF11に比べると大人しくなっているが、相当にピックアップの鋭いエンジン特性を持っている。Fフォークはエア抜きのバルブを持っており、余計な抵抗を減らしている。これに対してRショックは二段スプリングの比較的柔らかいものが装着されていて、当時の雑誌の乗車レポートでは絶賛されていた。
 ハンドリングは若干フロントヘビーな感覚で作られており、粘りのあるハンドリング特性を持つ。よって、安定性は悪くない。
 最高の性能を持ちながらほとんど売れなかったのは、やはり公道走行できなかったところによるのだろう。

カワサキKM90

 国内では初め90MSの名で74年に市販されたレジャーバイクである。アメリカではMC-1として売りに出された。KMの名に変更されたのは76年からである。小さな車体に対してパワーは6.6psもあり、90km/hには軽々と達する力強さを持っていた。80年代に入ってもデザインが変更されて生産され続けた人気車種であった。

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カワサキKE250

 78年にアメリカで発売された2st250ccトレール。75年いっぱいでF11・250TRは生産中止になり、カワサキトレール車はしばらくKE125だけで奮闘していたが、このバイクがようやく完成したと同時に4st250ccのKL250も完成したので、日本では市販されないまま終わってしまった。パワーは22.5ps。前傾Rショックが特徴。

カワサキKL250

 奇しくもホンダXL250Sとほぼ同時に発売された4st250ccトレール。78年のことである。最大出力は21ps/8000rpmで、これはXLよりは強く、ヤマハDTと同じ数値である。カワサキはかなり前から4stトレールを開発していたが、デビューには紆余曲折があって、ヤマハXT500に遅れをとってしまった。そのエンジンはZ200として一歩先にデビューしている。

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エンデューロ時代のカワサキトレール

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カワサキKDX400

 78年から、カワサキはエンデューロモデルに力を入れ始め、高性能なトレール車も数多く作られるようになっていった。それまでもKD175など、KEの保安部品を取り払った専用モデルも作られてはいたが、モトクロッサーを母体とする本格派はこのKDX400からである。スペックは39.4ps/7000rpm 4.3kgm/6500rpm 110kg。 同じ車体のKDX250も並行して生産されていた。

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カワサキKX125

 77年にワークスモトクロッサーがフルモデルチェンジされ、78年に一般に市販されたのがこのモデル。26.9ps/1.9kg-mのパワーは当時の全市販モトクロッサー中随一の性能である。足回りも一新され、ガスショックを備えている。そのため、価格も4メーカー中で最も高かった。

カワサキKX250

 やはりこちらもクラス最強のエンジンをもち、あらゆる点で性能が向上したモデルである。そのパワーは40ps/8000rpmに達し、クロモリフレーム・アルミタンクとスイングアーム・マグネシウム合金製ブレーキパネルなどのように、高価な材質を惜し気もなく使ったものである。エンジンはピストンリードバルブであった。

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カワサキKX125

 79年発売のモトクロッサーで、ホイールベースを若干伸ばすとともに、サスストロークも増やしている。価格は31万から27万に下げられているが、エンジン性能は変わらない。フォークブーツ・リアショックスプリングがライムグリーンになったのが鮮やかだった。

カワサキKX250

 これも125と同様、足回りが向上したモデルである。材質などの変更により、やはり若干の値下げが成されているが、エンジン性能には変わりない。後にKLX250の母体となったフレームと足回りを持ち、初めからかなり高度な実力を備えていたが、カワサキはこの年いっぱいでツインショックからユニトラックサスへと方向転換してしまう。

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カワサキKDX175

 80年にデビューした、輸出専用エンデューロマシン。この年はモトクロッサーのKXも80cc以外は国内販売されなかったが、車体自体にはフルモデルチェンジが行われ、ついにユニトラックサスが開発された。そのKX125を元に、エンジンをボアアップして中速よりにセッティングして保安部品を付けたものがこのモデルである。パワーは24ps。

カワサキKLX250

 79年型KXのフレームに、80年型KL250のエンジンを搭載した輸出専用エンデューロモデル。パワーは若干の手直しにより21.3psに向上している。77年にアメリカのレースに出たモデルを参考に作られ、78年には限定市販され、79年以降からデザインもこのタイプに変わって本格的に市販されるようになった。写真は81年型(最終型)。

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カワサキKL250

 ホンダXL250Sに水を開けられていたKLであったが、全てを一新して80年にデビューさせたこのモデルによってオフロード界を風靡した。シティオフローダーはXLかヤマハXTに、ダートライダーはKLにという流れがこの当時見られるようになった(事実)。足回りは当時としては最高のもので、しばらくしてモノショックの時代が来ても何ら見劣りしなかった。21psであるが、カワサキらしい荒々しい印象のモデルであった。

カワサキKE125

 KL250の一新と同時に、KE125もフルモデルチェンジされたが、KLとは逆に足回りがさほど向上していないので、どうにも魅力に欠けるモデルとなってしまった。この頃は、単なるパワーよりもサスペンション性能にこだわる向きが増え、そうした需要に応えられるようになるにはKMX125の登場まで待たねばならない。

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カワサキAE50

 67年のペットM50以来、カワサキが久しぶりに市販した50ccモデル。ロードスポーツのAR50と基本的に同じエンジンとフレーム周りを持ち、当時の50ccスポーツ中最高の性能を誇った(7.2ps)。ただし、デザインで失敗したためか、ARとは逆にAEの販売台数はあまり伸びなかった。同時にAE80も用意されていた。

カワサキKDX420

 これもモトクロッサーに保安部品を取り付けた輸出専用エンデューロマシン。こちらは81年型で、KDX250も同じデザインであった。実物を見たことは一度だけあるが、その重厚なイメージに圧倒されてしまった。サスストロークは充分にあるはずなのだが、その大きく重々しいデザインからか、KLXのように長々とは見えなかったのを覚えている。

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カワサキKDX250

 81年型KXのエンデューロバージョンで、翌82年にデビューした。エンジンはKXから4.5psダウンの33ps/7000rpmで、やはり中速よりに設定されている。足回りは最新のもので、その性能も最高であった。消音を徹底させるために異常に長いサイレンサーが取り付けられている点が目に付く。国内に逆輸入されたことはほとんどなかったと思われる。これにもやはり420ccモデルが存在する。

 これ以降のカワサキトレール車は、基本的に海外のものと国内のものの差があまりなくなっていく。RかSRかの違いといったところであるが、主なモデルを列記すると、KL250R・KDX200・KMX125/200・KDX200SR・KLX250SR/R/ES・KDX125SR・KDX250SR/R・KDX220SRといったところである。これらのバイクについては、皆さんの記憶にも新しいものだろうと思われるので、こちらでは割愛させて頂く。 Kmark1.jpg

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