TOPCON CLUB(トプコンクラブ)〜トプコンよもやま話9

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 東京光学の一眼レフは当初から高級機と普及機のニ系統が設定されていて、高級機のトプコンR〜RIIIはファインダー交換が可能であった。しかし、スクリーンはスプリットイメージの入ったものが固定されており、これが交換できるようになったのは63年のトプコンRS/REスーパーからである。最初期のカタログには四つのスクリーンが紹介されていたが、65年には6つに増えている。73年に入ってスーパーDMの時代になるともう一つ加わって計7種類に増えている。実はこの頃のスクリーンにはNo.5とNo.7にそれぞれNo.5A/No.7Aとなったものが別に設けられ、暗いレンズに対応するタイプも作られたので、厳密に言うと計9種類のものが用意されていた。ここではこれらのスクリーンの数々をご紹介することにしよう。

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No.1 標準のスクリーンで、中央にスプリットイメージ、その周囲にマット面、それ以外はフレネル面になっている。スプリットイメージの角度はおよそ6°で、暗いレンズでも黒くつぶれることなくしっかりと働いてくれる。ただし、逆にピントの精度は若干弱くなる可能性がある。初期のものはスプリットの外側が集光性を持たせた曲面だったので、フレネル部との境界線が不連続になっていた。ちなみにフレネルの溝は1mmあたり14.3本と、当時としてはかなり細かい方であった。

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No.2 全面マットのタイプ。中心部の直径12mmの円内がただのすりガラスで、周辺はNo.1と同様にフレネルの溝が刻まれている。やはり超望遠レンズには全面マットタイプが使いやすいのは確かで、欠かせないものである。ただし、現在の明るいファインダーに慣れた人にはどうしても暗いため、若干ピントの山がつかみにくいかも知れない。

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NO.3 十字線マット・フレネルなし。高倍率ウェストレベルファインダーと併用するもので、中央の直径5mmの円内が素通しになっており、その他はマット面である。顕微鏡などを使った暗い場合の撮影の際に有効だが、空中像でのピント合わせには慣れが必要。なお、初期のものは中心の十字線がはっきり二本線になっているのが見えるが、後期のものは一見一本線のように見える。

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NO.4 方眼マット。基本的にNo.2に方眼線を加えたもので、やはり中心12mmが単純マット部で、外側がフレネル面になっている。像の歪みなどを確かめるのに使われ、建築関係や学術関係の撮影に利用される。一般撮影ではちょっと線が煩わしく感じられるため、あまり使われることは多くないだろう。実際中古カメラの市場でもあまり出てくることはないようだ。

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No.5 マイクロプリズム。No.1のスプリットイメージをマイクロプリズムにしたもの。中央の5mmの部分がマイクロプリズムになっているが、やはりその角度は若干弱目で、f5.6級のレンズでもピント合わせができる。一般撮影で広く使われるものであるが、個人的にはスプリットイメージの方が遥かに使いやすいと感じているので、このスクリーンをあまり使うことはない。

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No.5A マイクロプリズム。No.5のプリズムの角度をより一層弱くして、暗いレンズを使った際に陰りが出ないようにしたもの。トプコールではf5.6のレンズが最も暗いので、本来ならこれは不要なのだが、テレコンバーターやベローズなどを使った撮影では便利なものである。ただし、広角レンズなどで小さな被写体を覗くと、ピントが合っているのかどうか確認しづらい。

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No.6 十字線素通し・フレネルなし・スケール付き。フレネルの溝も刻まれておらず、マット面にもなっていない素通しガラスなので、No.3と同様に顕微鏡撮影に用いる。やはり高倍率ウェストレベルファインダーを併用し、空中像でピント合わせを行う。ちなみに十字線部は二重線になっている。それにしても、REスーパーではミラーメーターのスリットが皆見えてしまうので、煩雑な感じである。

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No.7 マイクロプリズム・フレネルなし・素通し。5mmのマイクロプリズム、12mmのマット面以外は素通しであるが、上記No.6とは異なりわずかな処理が施され、ゆるやかにピント面が確認できる。主に室内などの暗い中での撮影用に用意されたスクリーンである。マイクロプリズムの部分はNo.5と同じもので、トプコールを使う限りどのレンズでもピントを合わせられるが、被写体に光が当たっていないときついことは間違いない。

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No7A マイクロプリズム・フレネルなし・素通し。これもNo.5Aと同じく、マイクロプリズムの角度を弱くして暗い被写体に対応できるようにしたもの。円の外側はほとんど素通しのため、ピント合わせは非常に難しい上、ミラーメーターのスリットがどうしても下の方にはっきり表れてしまうので、ちょっと使い勝手は良くない。

 東京光学50年代に「トーコーブライト」と名付けられたピントグラスの製造法を確立し、特許として認められたが、その技術を生かしてこれらのスクリーンが作られた。これは60年代前半の当時は国産メーカーでも随一の技術であったが、徐々に各メーカーとも明るいファインダーを確立してきたため、60年代後半ではそれまでのマージンがなくなってしまった。ここでさらなる発展が望まれたのであるが、当時の東京光学はREスーパーという最も優れたカメラを作っていながら、新たなものを開発するゆとりがなくなるという矛盾に陥っていた。それでも何とか細かい改良を重ねて向上させようとしていたことは明らかで、このスクリーンを見比べてみても、初期のものに対して後期のものにははっきりとした改善の跡が見られる。このように当時東京光学は、出来得る範囲ではあったが、何とかシステムの向上を図っていたのである。

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