TOPCON CLUB(トプコンクラブ)〜トプコンよもやま話3

pagetitle1.jpg
 レンズフ−ドの話1
 TALKING ABOUT TOPCON LENS HOOD 1

TALKING ABOUT TOPCON LENS HOOD 2
VARIOUS TALK
TOPCON CLUB INDEX

85100mmhood.jpg
 トプコンは昔からアクセサリーに対して真摯な考えを持っていたとみえ、あらゆるものが手を抜かれることなくしっかりと作られている。仮に、それらがどこかの汎用品と同じような作りであれば、トプコンファンは血眼になって純正品を探し求めることはしなかっただろう。しかし、幸か不幸か、トプコンの製品はどれも工夫の凝らされた見事なものばかりであり、結果として「あれもこれも欲しい」ということになって、数少ないアイテムを奪い合うことになっている。
 今回は数あるアクセサリーの中でも、レンズフードに的を絞って話をしてみたいと思う。ただし、ここではLeotax名のものとHORSEMAN用のものは省いている。

PrimoHood.jpg  プリモフレックスI〜II型用のレンズフードで、50年代初頭の製品である。プリモの名は大沢商会のブランド名であるものの、カメラのみならずこうした細かいものに至るまで東京光学で作られた。これはカブセ式で取り付けられるが、フィルター部がフードにネジで固定されている。ただ、このフィルター部がないとレンズ本体に取り付けられないのは今一歩。フード自体はアルミではなく真鍮製の厚いもので、重みとともに時代を感じさせる。

2L35hood.jpg
2L35hood2.jpg
 Lマウントトプコール35mm f2.8と、同50mm f1.5共用のレンズフード。上段左側の二つはニ分割したもので、この間にシリーズVIIのフィルターを挟む。右の状態で使用するが、レンズへの取り付けは3.5cmがカブセ式、5cmがネジ込み式になり、そのベースのリングはそれぞれ異なる。下段の画像の左のネジ込みのものに対し、2分割した右側の取り付け部は、そのまま差し込むための板バネ状の口が見える。なお、そのさらに右にあるリングは、レンズの取り付け部にフィルターを挟み、それをフード本体抜きで押さえるためのもの。

L528hood.JPG  こちらもLマウントトプコールのもので、50mm f2.8用である。とても面白いカラクリがあって、ワンタッチで筒の部分が下にスライドし、レンズガードに早変わりする。フィルターもフードを装着したまま取り付けられる。ちなみにこの画像はフィルターが付いたままである。PATの文字が刻まれているように、特許を取得した製品で、作りも非常にしっかりとしている。

L90hood.JPG  これもLマウントトプコールのフードで、50mm f3.5と90mm f2.8の共用である。右のクロームのリングとフード本体の間にシリーズVIのフィルターを挟む。50mmは固定鏡胴のものか、沈胴後期型のものに使える。

PrimoTopcoHood.jpg  この二つは左がトプコフレックスオートマット用で、右がプリモフレックスIV型以降のタイプ用である。文字以外に違いはない。レンズへの装着はバヨネット式。作りはとても良く、デザインも円から四角に至るラインが微妙に丸みを帯びた三角形で、非常に穏やかな印象である。上のLマウント50・90mm用がTOPCOとなっているのに、こちらではTOPCONとなっているのが興味深い。

PrimoJRhood.jpg  こちらはプリモJR用のフードで、基本的には上記プリもフレックスIV型以降のタイプと変わらないが、ご覧の通りバヨネット部分の上部が1/4程切り取られている。と言うのも、プリモJRは撮影レンズとビューレンズとの間隔が非常に狭く、普通のプリモフレックス用ではビューレンズ側のバヨネット部分と干渉してしまい、取り付けることはできない。そのための逃がしを作っている訳だ。反対に、このフードをプリモフレックスに装着することは何ら問題ない。作りは手が込んでいて、中にステンレス製の帯が入っており、これがスプリングの役目を果たしてしっかりと固定されるようになっている。

35SLhood.JPG  35S/L用のもので、57年あたりから生産された。取り付けは上部のボタンを指掛かりにしてリングを回転させるタイプ。付根のリングを回すと内側の金属リングが押し出されるようになっている。それにしても、かなり手が込んだ作りで、このフードを見ているだけでトプコン35Sの実力が想像できるのだから見事なものである。

PRhood.JPG  こちらはレンズシャッター式一眼レフのPR・PRII用で、左右のボタンを押した状態でレンズの開口部に差し込むと、あら不思議!くるくる回ってしまうのに外れない仕組みになっている。そのカラクリは、内側にリング状の板ばねが入っており、一部だけフードの外に出っ張っている。それを二つのボタンで押し入れ、そのままレンズの先に付けると、出っ張った金具が内側に引っ掛かるという仕組みである。

AUXhood.jpg  この二つはそれぞれウィンクミラーの時代のフードである。左はAUXコンバージョン8cm用の巨大なフードで、右はウィンクミラーの標準レンズである4.4cm用のフード。両者とも単純なネジ込み式であり、これといった特徴はないが、その大きさの違いが極端で面白い。

Auto5835Hood.jpg  一方高級機の方はやはり作りが違うようだ。フォーカルプレーン機のトプコンR用の交換レンズのオートトプコールシリーズには、かなり手の込んだ作りのフードが用意されていた。PR用と作りは似ているが、こちらはボタンを押して内側の歯の部分を引っ込め、鏡胴の外側に彫られた溝にその歯を落とし込むというもの。がっしりと組み付いて回転しないようになっている。ちなみに左は5.8cm用で、右は3.5cm用。

FAutoHood.jpg
FAutoRE100hood.jpg

 トプコンRIIの時代になると、完全自動絞りになり、様々な点で進歩していくことになるが、レンズフードについてもそれが当てはまる。鏡胴の先端に歯が設けられ、フードとバヨネット連結をするようになったのである。おそらく、ここまで手の込んだ作りのレンズフードは、1950年代には他に類を見なかったのではなかろうか?左の3.5cm用、右の10cm用ともに、美しい作りである。

 下の写真は基本的に同じはずのFオートトプコール10cm用とREオートトプコール100mm用を並べたものである。良く見るとマウント部の張り出しの有無や、その長さも微妙に異なる。ということは、REオートトプコールを設計する際に、フードも設計し直していたのである。

2RE58hood.jpg  REスーパーの時代に入ると、レンズのデザインの統一性がより徹底し、20mmから200mmまでは基本的に白鏡胴で生産された。しかし、フードは黒のままで、基部にメッキされたリングが組み込まれている。これが、レンズに取りつけた時の色のバランスを整えてくれているような気がする。この二つは標準レンズ用だが、左のf1.4用より右のf1.8用の方が深いのはどういう訳であろうか。ちょっと不思議である。

2RE2835Hood.jpg  左はREオートトプコール28mm用で、右は同35mm用。35mm用は基本的にFオートトプコール用と何ら変わりがない。前が大きく開いたいかにもワイドであることを誇張するかのようなデザインであるが、反面28mm用の方は随分慎ましやかな感じである。何かただ58mm f1.8用を2/3位のところで切断したような雰囲気である。しかし、両者ともレンズに取り付けると実に凛々しくなる。

2RE28Hood.jpg  こちらは新旧REオートトプコール28mm用。右が旧タイプでバヨネット部が鏡面仕上げであるが、左の後期のものはカメラボディのようなメッキである。書き込まれたロゴも異なる点が面白い。

 さて、ここではトプコンフードのバヨネットに至るまでの変遷を見てきたが、やはり一部を除いてどれもがしっかりした作りであり、トプコンの名に恥じないものばかりである。次はその後のフードの作りと、これらとは違った作りのものを見ていきたい。

NEXT-TALKING ABOUT TOPCON LENS HOOD 2 / TOPCON VARIOUS TALK-TOP