トプコンよもやま話〜レオタックスとトプコール
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1940年、当初レオタックスでは単独距離計を備えた「レオタックス」や、連動距離計を内側に寄せてファインダーを外に追いやって42年に発売した有名な「スペシャルA」または「スペシャルB」に、五條光機製のレタナー5cm f3.5というレンズを標準装備していた。戦後46年、残った部品を組み上げて「レオタックス・スペシャル」が発売されるが、このカメラから東京光学製のステート5cm f3.5が使われるようになった。以降、レオタックスへの東京光学製レンズの供給が続くことになるのだが、それもレオタックスが倒産する59年までの13年間の話である。にもかかわらず、東京光学からはたくさんの種類のレンズを供給していた。レオタックスの機種の複雑さも含め、ともすると混乱しがちなこれらのカメラ・レンズの関係をここで改めてはっきりさせておきたいと思う。 |
年 度 |
レオタックスのモデル |
東京光学製レンズ |
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1946年 | レオタックス・スペシャル | ステート5cm 3.5〜3群4枚のエルマー型 | ||||||
1947年 | レオタックス・スペシャルD II | シムラー5cm f3.5〜名称変更モデル | ||||||
1947年 | レオタックス・スペシャルD III | シムラー5cm f3.5 | ||||||
1950年 | レオタックス D IV | シムラー5cm f3.5 シムラー5cm f1.5〜4群7枚ゾナー・ガウス折衷型 |
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1952年 | レオタックス S | シムラー5cm f3.5 シムラー5cm f1.5 |
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1954年 | レオタックス F (前期型) | シムラー5cm f3.5 新型シムラー5cm f1.5〜設計変更モデル |
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1955年 | レオタックス F (中期型) | トプコール5cm f3.5〜名称変更モデル トプコール5cm f1.5〜名称変更モデル |
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1956年 | レオタックス F (後期型) | 新トプコール5cm f3.5〜テッサー型・外絞り トプコール5cm f2〜4群6枚ガウス型空気レンズ トプコール5cm f1.5 (ヘキサノン5cm f1.9) |
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1957年 | 同 上 | 新トプコール5cm f3.5 トプコールS 5cm f2〜4群6枚ガウス型白鏡胴 |
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1955年 | レオタックス K | トプコール5cm f3.5〜エルマー型固定鏡胴 | ||||||
1956年 | 同 上 | 新トプコール5cm f3.5〜テッサー型固定鏡胴 | ||||||
1955年 | レオタックス T | トプコール5cm f3.5 (ヘキサー5cm f3.5) |
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1956年 | 同 上 | 新トプコール5cm f3.5 トプコール5cm f2 |
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1957年 | レオタックス TV | トプコールS 5cm f2〜白鏡胴 | ||||||
1958年 | 同 上 | トプコールS 5cm f2〜白鏡胴黒絞り | ||||||
1958年 | レオタックス T2 | トプコール5cm f2.8〜3群5枚ヘリアー型 (フジノンL 5cm f2 / f2.8) |
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1958年 | レオタックス K3 | (フジノンL 5cm f2.8) | ||||||
1958年 | レオタックス FV | トプコール S 5cm f2〜白鏡胴黒絞り トプコール S 5cm f2〜アルミ製黒鏡胴 |
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1959年 | レオタックス TV2 / メリット | トプコール S 5cm f2〜アルミ製黒鏡胴 | ||||||
1959年 | レオタックス T2L / エリート | (レオノン 5cm f2) | ||||||
1960年 | レオタックス エリートS2 | (レオノン 5cm f2) | ||||||
1961年 | レオタックス G | トプコール 5cm f1.8〜4群6枚ガウス型 (レオノン5cm f1.8) |
さて、ここでは便宜上おおよその年度で分けているが、東京光学のレンズが年度ごとに切り替わった訳ではないので、多少の前後が生じていることをご理解頂きたい。また、これらのレンズの他にもズノー5cm f1.1やf1.3がレオタックスFに付けて売られたが、実はこれはズノーがレオタックスにボディを発注したもので、あくまでもズノーから発売されたものであるため、当時のカタログには「レオタックス付き」という形で掲載されていた。金額的にはトプコール5cm f1.5やズノー5cm f1.3、ニッコール5cm f1.4などはほぼ同じ価格帯で、当時としては非常に高価なものであった。 ところで、レオタックスがF型を生産し始めてしばらくしてから、ライバルのニッカが5型を発売し、それまでキープしていたダイキャストボディというマージンが消えて、さらに時代が一眼レフに傾き始めるにつれ、いたずらに高価な価格設定では売れなくなり、結局は低価格競争に走ることになった。結果としてトプコール5cm f1.5の需要はなくなり、生産本数が伸びないままこのレンズは消えて行った。これに対し、トプコール5cm f2はF型の後期にデビューしたが、その時はあくまでも中間価格的な意味合いを持たせていた。しかし、5cm f1.5が消えると、このf2レンズをより高性能にしたトプコールS 5cm f2を開発し、これをコストパフォーマンスに優れたトップレンズとして設定することになった。このレンズは鏡胴の違いから大まかに3種類に分かれるが、実のところ鏡胴の前にレンズのコーティングや設計そのものが細かく変更され、それとは別に鏡胴が変更されたので、本来なら鏡胴の違いによって分類するべきものではないかもしれない。 |