ヨコハマ・マウンテン・パッセンジャーズ
林道ツーリング22〜ナゾのオッサン集団ツーリング

touring22logo.jpg

ナゾのオッサン集団
01101.jpg

 時は2001年秋、ナゾのオッサン集団がまたしても紅葉の美しい北信州の山間部を襲った。と、こう書くと、何だか異常気象の到来のような雰囲気であるが、まあ、それに近いものがあるかもしれない。何しろ乗ってくるバイクは下は125から上は1000(!)まで、現行車もあれば旧車もあるし、トライアル車もあれば砂漠のラリーレイド車もあるといったように、全く支離滅裂なツーリング集団である。それぞれの棲家もしっちゃかめっちゃかで、このHPの名前こそ「ヨコハマ〜」だが、実は横浜市民はたった二人で、名古屋の人もいれば長野の人もいて、本当に出鱈目である。しかし、オッサンであるという、重大な(←どこがじゃい!)共通項は備えている。

笑うヤッサン
01103.jpg

 朝5時、一つ目さんと我が家で待ち合わせたがなかなか来ない。20分になってTELをしてみると、どうやらぐっすりお眠りだったようで、このままでは信州中野に9:15にはとても間に合わなくなってしまうので、それぞれ別々に行くことにした。
 中野インターでいっつあん、ヤスゾウさん、そしてWANさんと合流し、ホテルバンフ北志賀でハスラーさん、コムさん、T口さんと落ち合った。11時になって一つ目さんがようやく到着し、まずは昼食前にいっちょ走りますかということで、倉下・金倉林道を軽く走った。
 倉下林道に向かう途中、狭い舗装コーナーでいきなり車と衝突しそうになってしまい、我が愛車のウィンカーが割れてしまったが、怪我はほとんどなかった。初夏に酷使したせいか、Fブレーキのパッドが死亡しており、思いっきり握っても全く止まってくれないので、この先えらく不安である。

 倉下・金倉林道はかなり荒れていた。落ち葉がこぶし大以上の石を隠してしまい、何気なく入るとバイクが飛び跳ねるのでスピードには乗らなかったが、水溜りや泥ヌタなどもあって変化に富んでいるためそれなりに面白かった。
 倉下・金倉林道を往復してホテルバンフ北志賀に戻って昼食を取ったが、この時の手打ちそばはうまかった。ものすごくコシがあって味も最高! また是非とも食べたいものである。
 ゆっくり昼食を取った我々は、次に丸山・雑魚川林道を走ることにした。ホテルバンフのすぐ脇から入れるので大変便利であるが、ちょっと複雑ですぐには分かりづらいところでもある。GASGASに乗る人がどうやって入るのか尋ねてきた。それはそうとGASGASは正に現代のモトクロッサーのような乾いた金属的な排気音のするバイクである。

ゲートらしきものを超えたところ
01104.jpg

後光の射したハスラー氏
01105.jpg

 今回、ハスラー氏は7年ぶりにDT200WRを整備してこれを走らせたが、タンクの中はまっ茶色で、キャブの中もショーモない状態だったそうだが、当日はばっちり快調に走らせていた。
 丸山林道を進み、上下に分かれる分岐点で、いつも上に登る丸山林道の本線を走っていたので、今回は下に降りて雑魚川林道を進むことにした。この道はカヤノ平のところでゲートがあり、事実上通り抜けできないが、もともと往復する予定だったので、とりあえず最後のゲート地点まで行こうということになったのである。
 この道はほとんど使われることがなくなったのか、丸山林道に比べると落ち葉の量が多い。走りづらいということもないが、落ち葉のおかげで石がどこにあるのか分からないのはやはりちょっと気になるところである。

 右の写真は雑魚川林道における狭いブラインドコーナーでの走行シーン。上はXLR250ですいっと走るいっつあん。彼が乗るとXLR250がXLR80に見えてくるから面白い。極端に飛ばして走ることもないが、実際とても上手い。見るからにトライアル乗りで大柄なXLRをおもちゃのように扱ってしまう。人のことは言えないが、いっつあん、Fタイヤはそろそろ換えないといけないですぜ(^^)。
 真ん中は名古屋から延々と自走で来て下さったWANさん。それにしてもこのHPNのR100GSは大きい。前にも書いたが、これで国内の狭苦しい林道をヒラリヒラリと走り回るのであるからやはりすごいものだ。しかも今回のツーリングはノーマルのリアタイヤを付けていたが、これは私の目から見たところ、どうやってもロードスポーツ用にしか見えない。ビッグオフローダー達はこんなものであの砂利道を走り回るのであるから、全くスゴイ話である。このHPNもまさかこうした藪のような道を走らされるとは思ってもみなかっただろう。
 一番下はスーパーシェルパで参加した
ヤスゾウさん。彼もいっつあんと同じくしなやかに乗るタイプであるが、全く派手さはない。それでいて結構速いのであるから、実に良い感じである。ちなみにいっつあんとは中学時代からの友達で、長いことクサレ縁(?)が続いているそうだ。私の幼なじみの友人も長らくオフロードバイクに乗っていたが、30代を境にしてバイクを降りてしまったので、いっつあん・ヤスゾウさんの友人関係がとても羨ましく思える。それにしても、10年前は多くの人が林道ツーリングをしていたはずなのに、なぜ最近はほとんど見られなくなってしまったのだろうか。アカの他人でも林道ではまるで友達であるかのように気楽に話し合えたものだが、今やそうした楽しみが本当に減ってしまったものである。だからこそいっつあんやヤスゾウさん、WANさんのように、一緒に走り回ることのできる友人がこのWebを通してできたのは、何だか奇跡的な感じがしないこともない。

コーナーリング三態
01106.jpg
01107.jpg
01108.jpg

オッサンズ

011012.jpg

011013.jpg

011015.jpg

011016.jpg

011017.jpg

011020.jpg

011014.jpg

 上と左の写真は雑魚川林道の途中にあった滝をバックに写した記念写真。上段左から、いっつあん+XLR80に見えるXLR250R、WANさん+巨大なシロナガスクジラHPN BMW R100GS、一つ目WRさん+ちょっと寄り目のDT200WR、T口宴会部長+RTL220のエンジンを積んだTL125イーハトーブ改、ハスラーさん+7年ぶりに復帰したDT200WR、コムさん+新車よりもきれいに見えるヤマハトレールRT1、ヤスゾウさん+もうどこにでも行けそうなスーパーシェルパの順。これにわたくしめ+カワサキビッグホーンが加わり、計8人の不思議な組み合わせのツーリングとなった訳だ。
 それにしても皆さんなかなかウェアを決めているものである。私はジーンズにディスカウントストアで買ったウィンドブレーカーといった出で立ちだったもので、一人貧乏くさい感じになってしまった。以前からなぜか林道ではMXパンツを履くのがおっくうで、考えてみるとここ10年ほどの間にツーリングの際にMXパンツを履いたことは皆無である。おかげでコケる度に膝に擦り傷を付けているが、分かってはいるけどどうも面倒な気がしちゃうのである。

よれよれのビッグホーン
011018.jpg

 この写真は我が愛車の350TRビッグホーンのもの。良く見るとウィンカーがない。先にも書いたが、実は午前中の林道走行前にコケて片側が割れてしまったので、いっそのこと全部取ってしまえってな感じで外した状態である。しかし、こうしてみるとウィンカーがない方がすっきりしていてカッコいい。タイヤは2分山でFサスのオイルシールは逝くし、チェーンは伸び伸び、Fブレーキは死亡、Rブレーキも減りまくりと満身創痍状態である。こうして見ながら改めて考えてみると、自分でも良くこんなバイクで林道を走っていたものである。何しろFブレーキでは何十メートル進んでも止まらないのだから(これホント)。それでも思いっきりブレーキを握っていた自分が不思議である。おかげで握力トレーニングにはなったと思うが、虚しさもたっぷり残る。

 日が傾き、影が長くなったところでちょっと休憩しつつ写した写真。秋の信州の美しさの中にいるとついついバンザイをしたくなるのも分かるだろう。でもいっつあん、ちみって根っからの信州人のはず。こうした風景は見慣れていると思うが…。ということは根っからのエンターティナーでもあることの証明か。
 WANさんはちょっと体調を崩しているそうだが、夕焼けのこの時間になっても、いやな顔を見せずに最後まで付き合ってくれた。実は彼もダートを走ると頭痛も消えてしまうような根っからのオフローダーなのかもしれない。

いっつあんバンザイの図
011022.jpg

オッサンズ全車集合
011026.jpg

 全員の支離滅裂な組み合わせのバイク達。BMWのエンジンはその排気量とはうらはらに、実に静かである。低く重みのある排気音だが、とてもジェントルな印象であった。RT1はDT1の太くこもったような音ととは打って変わって、結構バンバンと激しい音がする。やはり排気量が違うと全く異なる印象である。ビッグホーンもウルサイが、RT1には余計な音がないので幾分すっきりとしている。意外なのはスーパーシェルパ。現代の4ストトレッキングバイクなので静かなのかと思いきや、なかなか見事な排気音である。ボッボッボッといった感じで結構太い音がしていた。
 しかし、今こうして見ると、見事なまでにメチャクチャな組み合わせである。他の人の目には一体どんな風に映っていることだろうか。

011024.jpg

 左はヤスゾウさんとスーパーシェルパ。バイクのカラーリングとヘルメット、ウェアに至るまで、皆きれいにまとまっているところがニクイ。
 右側は随分高いところに登ってビデオ撮影をするハスラー氏。底がつるつるのMXブーツであんなところを登ってしまうのだから、いやはやカメラマンもまっつぁおってなものである。いっつあんのジャンプシーンを撮影した後、ヤスゾウさんも負けじとジャンプしたが、電池切れでそのシーンは虚しくも写っていなかった。

011025.jpg

 雑魚川林道は倒木のために途中で走れなくなっていたので、ホテルに戻ってようやくチェックインした。それにしても、温泉にボリューム満点の食事に宴会と、至れり尽せりであったが、これで一人あたりたったの8800円というのは安い。実はこれには昼のコーヒー代と昼食代まで入っているのだから、本当にこれでいいのだろうかという気分になってくる。これをご覧になっていらっしゃる皆さん、このホテルバンフ北志賀はとてもアットホームな雰囲気で、何から何まで本当に良心的なので、志賀高原のツーリングの際には是非利用されることをお勧めする。マスターの稲川さんと妹さんが中心になって経営されているようだが、二人とも何だか友達のようで気楽に話ができるところが素晴らしい。

ホテルバンフ北志賀にて
011029.jpg

WANさんにんまり
011031.jpg

 初日の夕方にヤスゾウさんと別れ、2日目の朝にコムさんT口さんとも別れて、残る5人で山田入林道方面に向かった。途中、トランポを高山村のチェーン着脱所に止めたが、その前に志賀高原そば祭りに顔を出して、今年も若干の野菜を仕入れた。ちなみに去年は白菜を大量に仕入れたが、今年はねぎとリンゴを買った。変なお土産ではあるが、とりあえず母も喜んでくれるだろう。
 左の写真は小串炭鉱跡での昼食を買うべく、セブンイレブンに寄った時のもの。こうして見るとビッグホーンは今のトレール車と異なり、随分後ろのほうに座ることが良く分かる。何だかダートトラックレーサーにも見えないことはない。
 さて、昼食を仕入れた我々は山田入林道の下の入口である七味温泉を目指したが、ここはものすごく混雑していた。北志賀の林道には誰もいなかったのに、なぜだかここにはたくさんのアマチュアカメラマンが望遠レンズを付けたカメラをずらりと並べていて、とても危なっかしい。しかし、昨日は道も悪くなかなかすっきり飛ばせなかったので、ここでは人がいないことを確認してちょっと飛ばしてみた。道はさほど悪くないので、注意して走ればなかなか楽しめる。これぞ林道ツーリングの醍醐味だと、一人勝手に喜んでいた。

 調子に乗って走っていたら、ついさっき買ったばかりの昼食をどこかに落としてしまった。うおー、昼抜きかぁーと思い、気休めにちょっと戻って探しに行ったが、やはり見付からなかった。しかし、このところ毎回何かを落としている。妙なクセが付いてしまった。
 ビデオ撮影をするとのことで、ハスラー氏が先に上の方に向かって、その後順次一台ずつ進むことにしたが、ここからつづら折れの道が続くので、かなりキツイコーナーが多く、BMWにはちょっとつらいかもしれない。だが、さすがはWANさん、こうしたところでもあの巨大なシロナガスクジラをすいすいと操っている。もし自分がああしたバイクに乗っていたら、“ハンドルで曲がる”しか手はなかっただろう。

「コンビニ弁当落ちてなかった?」「見なかったよ」
011032.jpg

つづら折れの中の一つ目氏
011034.jpg

 毎回ここに来ると、こうした上の位置から下のつづら折れを撮影する。面白いことにかなりの距離を撮影することができるので、ビデオ撮影ポイントとしてはもってこいの場所である。路面は比較的フラットでグリップもなかなか良いので走りやすい。ただし、こうしたつづら折れがいくつも続くので、極端にスピードを出し過ぎるととても危険である。といっても、ここで無茶をしたら命がないので、あまり皆バカなことはやらないだろう。
 WANさん、私、一つ目氏の走行の様子をビデオに収めたハスラー氏は、なぜだかこちらに来るので、「あれ?いっつあんは撮ったの?」と尋ねると、「あっ、いっけね」とビデオを取り出したが、最早いっつあんはそこまで来ており、間に合わなかった。頑張って走ったものの、虚しく散ってしまった訳である(^^)。

 さて、山田入林道を抜けた我々は、ここも定番になっている小串炭鉱跡に向かい、昼食を取ることにした。舗装区間をしばらく走ったが、ここはいつも冷たい風が吹いており、軽装で走るとかなり冷え込む。
 炭鉱跡までのダートの下りはかなり荒れていて、路面の質は今回の林道の中では最も悪い。とにかく石が多く、よたよたと走らざるを得ない。しかもつづら折れ一辺倒で、石以外の部分も締まりのない火山灰質で滑りやすい。雨が降ろうもんならすぐに流されてしまいそうな状態である。さすがにこのようなところなので、皆ゆっくりと走っていたが、そのくせ結構神経を使うようで、なかなか疲れるものである。
 炭鉱跡の慰霊堂にお布施を入れて手を合わせて昼食を取ったが、遺族の方達が周囲を整理していたが、我々に栗を分けて下さった。さすがに飲み物を落としてしまった私には、栗のばさばさした感覚はちょっとキツかった。おにぎりはいっつあんが、カレーパンはハスラー氏が分けて下さったので、お腹はばっちりである。

テントはコワくて張れません
011036.jpg

浅間山
011035.jpg
011038.jpg

 昼食後、広場で適当に走り回って遊んだが、ちょっとしたジャンピングスポット(というかただの出っ張り)でジャンプシーンをビデオに収めることになった。まずは巨大なシロナガスクジラから。しっかり両輪とも宙に浮いているが、やはり重そうだ。次にいっつあんがジャンプ。さすがにちょっと高めに浮いてくれる。いっつあんはやはりエンターティナーだ。わざわざ前輪を高く上げて出っ張りを超えてくれたりした。次に私がビッグホーンで飛ぼうとしたが、何だかボテッという感じで、さっぱりカッコ良くない。ちょっと助走が短過ぎたようである。最後にハスラー氏が元気良くジャンプして楽しんでいたが、やはり軽いバイクは強い。
 そんなこんなで小串炭鉱を後にしたのは午後1時過ぎ。今度は湯沢林道を下ることにしたが、この道は毎年路面の様子が変化しているので面白い。去年などは9月と10月で様子が全く違っていたのであるから、本当にどうなっているのか読めない。しかし、今年はとても走りやすかった。どちらかというと私は下りの方が得意なのだが、今回はブレーキが死亡しているのでちょっと心配したものの、注意していればエンブレとRブレーキだけでも普通に走れるので、とりあえず楽しめた。

定番の赤い橋
011040.jpg

 しばらくの間皆で固まって林道を下っているうちに例の赤い橋に到着。ここは当然記念撮影をしないといけないので(←誰が決めたんじゃい)、一旦止まって休むことにした。それにしても、何回見てもきれいなところである。我々だけではなく、おばちゃんたちもここで撮影していた。しかし、こうして見ると皆大柄である。私も身長は177.5cmあるが、このメンバーでは平均的な身長になる。

 赤い橋で記念撮影を済ませた我々は、最後にちょっとだけビデオ撮影をすべく、ハスラー氏が先に撮影ポイントに向かい、追って順次一人ずつ走って行くことにした。右の写真はそのビデオから取り出した私の走行シーン。自分のカメラには自分の姿がどうしても写っていないので、ビデオから取り出したカットが数少ない自分の写真になるため、実に有り難いものである。場所はちょっと下りのコの字型の右コーナーで、若干砂利っぽかったがなかなか走りやすいところであった。一体どこにハスラー氏がいるのか分からなかったので、全体的に飛ばし気味で走っていたが、フッと見たらコーナーの端のくぼみにハスラー氏がひそんでいるのを発見。おっ、いたいた! よし、いっちょう決めてやるかと思ってちょっと頑張ろうとしたが、タイヤが2分山であることをすっかり忘れていた。当然ズリッとなる訳で、それが一番下の写真である(笑)。
 湯沢林道を抜けてトランポの駐車場に到着したのは午後2時半頃。本来ならまだまだ走り回るところではあるが、これから遠くまで帰らなければならないので、ここで皆と別れることにした。といいつつ、私達はハスラー氏の家でしばらく話をしてからさらに食事まで取って、長野を出たのが夜8時近くであった。帰宅は11時過ぎであったが、今回のツーリングは非常に充実していた。それもこれも新たな友人達のおかげである。WANさん、いっつあん、ヤスゾウさん、本当に有り難う。これからももっともっと一緒に走り回りたいものである。それにしても本当にインターネットをやり始めて良かった。なぜならこんなに素晴らしい新しい友人ができたのだから。人の縁というものは本当に分からない。ひょっとするとこれからも多くの新しい友人ができるかもしれないが、この大切な友人達とは一生楽しく付き合っていくことになるだろう。

エイヤー、どりゃー、ズリッ
0110c.jpg
0110a.jpg
0110b.JPG

見出しページに戻る