【N.K.V.D】
1935年以降、FEDはNKVD(一般に秘密警察と訳されることが多い)に徐々に管理が移り、カメラのトップカバーに[NKVD]の刻印が加えられた。一般的に見られる戦前タイプのフェドは通称、フェドNKVDである。
FED創設者のジェルジンスキーは、紹介文にソ連のCIAことKGBの創立者、と書かれる人物で、NKVD(後のKGB)はスターリンの大量粛清執行で有名な秘密警察である。それが生産していたというので我々旧西側の人間にはなんとも恐ろしげなカメラだったのだが、実際のところカメラ生産自体にはそういった意味での政治的意図はなかっただろう。単なる取扱商品であり、人民アサリとか安価なスーツみたいなものではないだろうか。
よりいっそうソ連製カメラの理解を深めるためにもウクライナの歴史については以下のURLも参照されたい。日本語ページで判りやすくウクライナの歴史が書いてある。中央ヨーロッパは華麗な建物や豊かな文化に幻惑されてしまうが、過酷な歴史を持つ国が多い。ウクライナも例にもれず悲惨、苛烈な歴史を持つ。
A history of 20th Century (http://www31.ocn.ne.jp/~nero/index.html)
また、フェドから少しはずれるが、ソ連製コピーライカには同時期にVOOMPがあった。フェドよりも若干大きく、レンズは絞り位置から見てエルマーコピーで、ライカマウントではない40mmのスクリューマウントと言う仕様、生産は1934年から1935年まで一機種のみだった。このVOOMPは後にGOMZ(さらに後はLOMO)になり、このウクライナのコンビナートではスポルト、戦後にはレニングラードといった有名機種を生産して、現代ではコンパクトカメラのロモが大人気である。
VOOMPなど、ソ連製の初期のカメラについてはイタリアンコレクター、アスキーニさんのサイトも参照されたい。(http://www.geocities.com/asquinet/) |