Opema II
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種類: II型
発売年: 1949年
メーカー: Meopta
サイズ: 132x74x64mm
重量: 約615g
シャッター: 布幕横走りフォーカルプレーン B、1/25〜1/500秒
ファインダー: 二重像合致一眼式
標準レンズ: ベラー45mm F2.8
レンズマウント: オリジナル・スクリューマウント(38mm径ピッチ1mm)
生産台数: 約15000台
シリアルナンバー: 036311
分類番号: グループ2 |
オペマは1949年。チェコスロバキアのメオプタ社から発売された。チェコスロバキアは分裂してしまいもうない国だが、メオプタ社は現存している。現在は軍用光学兵器や引き伸ばし機などを製造しているようである。以前カメラの用品書でメオプタの引き伸ばし機を見たことがある。メオプタ社は1933年創業、1936年から引き伸ばし機やその他写真用品を製造してきた老舗である。オペマのほかに16ミリカメラ、ミクロマや二眼レフ、フレクサレットシリーズなどが有名である。 |
オペマは距離計がないI型(ライカスタンダードに相当)とII型(ライカII型に相当)が有る。I型が約3〜4000台程度、II型が約15000台前後と見られているが、ライカやニコンのような正確な数字は出てこない。II型がオペマの主力というわけだが、推定であるものの、多分ライカIII型に相当するオペマIIIの構想も有ったのではないだろうか? というのもシャッターダイヤルの下に不自然なカラーがあるからである。厚さも結構あり、ここへスローダイヤルをいれニコンSのように高速と低速を一軸で並べる予定であったのではないか?ただこれは極初期型にはなく前期型で表れ、後期型では消えている。つまり前期型の時期に構想があった可能性がある。 |
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オペマIIを見ていくと、やはり他の多くのヨーロッパ製(アメリカも)レンジファインダー同様、ライカのまねをするというよりは別のアプローチからせめてライカを超えようという姿勢が見られる。コンタックス、カスカ、フォカ、エクトラなど、みな独自のマウントを持ち、形なども明らかにライカを意識せず独自性を持とうとしている。 |
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この独自性こそが当時のヨーロッパ系カメラと日本のものとの大きな違いである気がする。日本は良い手本に学ぶという慣習があり、「学ぶ」の語源は「まねぶ」うまい人を真似してうまくなるという考えが根底にある。習字などでも手本を見たり時にはなぞったりするのもそのためであろう。オペマはコンタックスとライカのよい部分を取り入れなおかつ独自性を出そうとしている。まず、フィルム装填はコンタックスの方式を取り入れ、底蓋が裏蓋ごとはずれバルナックライカタイプよりははるかに装填が楽である。ファインダーもコンタックス同様一眼式を採用。標準レンズでの速写性に寄与している。ただ、コンタックスのように基線長が長くないので望遠のピント合わせは不利。シャッターはライカのような布幕横走りフォーカルプレーンを採用。シャッターも回転式のものである。その他のつくりであるが、やはりライカと比べると落ちる感じがする。特にシャッターダイヤルの変更の時に持ち上げたダイヤルがなかなかはまりづらい点などもある。ただ、シャッター音や巻上げなどは悪くない感じである。マウントがなぜか口径38mm、ピッチ1mmのスクリューマウント、そこまでライカと一緒にしたくなかったのであろうか? レンズはサードパーティーなどなく純正のみで数が少なく入手は困難である。ラインナップは思ったよりは多く90mm F6.3、45mm F2、2.8、3.5、90mm F4.5、135mm F4.5、180mm F6が有る。ただけっして使いやすくはなく、唯一の広角30mmもかなり暗いし、距離計も非連動、望遠もみな暗く、その上最短距離が遠い。これは有効基線長が短いためであろう。180mmなどは距離計にも連動せず、風景無限遠の切り取りぐらいにしか使えないだろう…。
オペマはI型II型以外にバリエーションはないが、II型でも幾度かマイナーチェンジされている。主に極初期型、前期型、後期型に分かれる。それほど大きな変化はないが、フィルム巻き上げノブは時計回りと反時計回りと有るので注意が必要。私のは普通の前期型。巻き上げ方向は反時計回りである。前期型から品質がよくなっている。フィルム面積がニコンI型や初期のミノルタ35と同じ24x32mm。西洋と東洋で同じ比率のサイズが生まれたというのは偶然とはいえ面白い。
オペマの使い方には特に難しいところはない。ただ巻き上げノブの方向が時計回りの型と反時計回りの型がある。注意するのは巻き戻しの時、ライカのようなRレバーを倒す方式ではなく、シャッターボタンの基部を根元まで押し込み矢印のR方向へ回す。これを押し込み忘れて回すとスプロケットはフリーにならない。シャッターダイヤルの速度設定が幾分し辛いのも難点。あとは、使う上での注意ではないが、とにかく交換レンズが見つかり辛い上、使い辛いレンズが多い。唯一の広角30mmは距離計非連動なうえ、暗い。望遠レンズも90・135mmは距離計に連動するも、暗い上に最短撮影距離が遠く、180ミリにいたっては距離計非連動なので、ほとんど特殊レンズといえる。なかなかメインシステムとしては使いづらい。せめてマウントがL39ライカスクリューであればもう少し使い勝手がよい機体だっただろう。しかし、標準をつけてスナップで使うのであればそれほど苦にならないであろう。
使い方ではないが、一つ注意点を述べておく。自分でカメラを調整される方も見えると思うが、オペマはシャッターのテンションを少し強くするとすぐシャッターリボンが切れてしまう。造りも手作り的要素が強くいったん壊れると修理は難しいようである。 |
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作例
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「廃屋」
オペマII
ベラー45mm F2.8シャッタースピード〜1/50秒
絞り〜f2.8半
アクロス100
標準レンズはテッサー型。戦後型ながら新種ガラスは使われていない。コーティングはパープルの単層。開放付近ではかなり眠く、コントラストも低い。一絞り半絞った4.5くらいで幾分シャープネスとコントラストがでてきているが、まだ中央部を見るとフレアっぽい。良い画像を得るにはF8くらいまで絞ったほうがよさそうである。滅茶苦茶ひどいレンズというわけでは
ないが良いレンズでもない。新種ガラスを使わない2.8テッサー型ではこんなものであろうか? |
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「黒い悪魔!?」
オペマII
テレミラー135mm F4.5
シャッタースピード〜1/500秒
絞り〜F5.6半
アクロス100
望遠テレミラーはレンズ構成は不明。ただ、テレゾナー型ではなさそう。このレンズは一絞り絞った6.3のあたりでかなりシャープである。家の愛犬コロの写真を見ても、毛が一本までシャープに写っている。標準より圧倒的に良いレンズのようだ。ただ、レンジファインダーの135ミリ、扱いはかなり難しい。やはりフィルム一本と押しても、単体ファインダーを使用するため、被写体切れや有効基線長に短さによるためかピンボケが多かった。出来れば遠景切り取り用に使ったほうが無難。 |
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