Tanack IIIF
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種類 : IIIF 前期型
発売年:1954年
メーカー:田中光学
サイズ:
重量:
シャッター: 布幕横走りフォーカルプレーン T、B、1〜1/500秒
ファインダー: 二重像合致二眼式
標準レンズ:タナー5cm F2.8
レンズマウント: L39スクリューマウント
シリアルナンバー: 27959
分類番号: グループ1a |
元々シネ用レンズやアクセサリーを造っていた田中光学は、1954年、タナックC型/F型でカメラ製作に参入した。このタナックにはまだ型番がはっきりされておらず、装着されるレンズでII型(F3.5)・III型(F2.8)と呼ばれていたが、タナックにはスロー付とスロー無しがあり、前者をC、後者をFと田中光学では設定していた。 |
ライカで言うとIII型のコピーであるが、いくらかの改良点が見られる。まず、フィルム装填の面倒なバルナックライカに対しタナックは裏蓋が蝶番で開閉して簡単にフィルムが装填できる。この工夫はミノルタ35に次いで国内2番目の採用である。さらにライカIIIb型と同じようにファインダーと距離計窓を近接させており、これは国内最初である。
タナックは値段も安く、ニコンやキヤノンは言うに及ばず、レオタックス、ニッカ、ミノルタよりもさらに安かった。中級機並みの値段で高級機を狙った意欲作だが、正直つくりは良くなく、巻き上げの感触も悪くシャッター音も大きい。
その後タナックはIIIS、IVSと進化していく。IVSで一つの完成となり感触など作りもかなり改善されている。その後、一眼式距離計等倍パララックス自動補正ファインダー、倍数系列で1/1000秒、セルフタイマーを備えたタナックSD(この高機能で低価格であったため、儲けはなく少数生産)や独自のバヨネットマウントのV3、さらにV3を改良したVPの開発中に倒産。1959年のことである。ライカM3の発売、一眼レフの台頭に弱小メーカーである田中光学はついていけなかったのだろう。 |
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ただ、田中光学の凄いところはレンズが自前でほぼフルラインアップであった点である。現在確認したレンズは35/2.8(所有)、35/3.5、50/1.5、50/1.8、50/2、50/2.8(所有)、50/3.5(沈胴と固定鏡胴)、85/2、100/3.5、135/2.8、135/3.5(所
有)である。
タナックの使い方は基本的にバルナックライカと同じ。裏蓋が開くためフィルム装填はすこぶる楽。注意点は板金ライカ及びそのコピーはフィルムを巻き上げる時にレンズキャップをしていないと漏光する可能性が高い点。後は裏蓋開閉レバーがゆるいので不用意に開きやすい。 |
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作例「雨の寒村」
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タナックVF
タナー50mmF2.8
1/60秒 F5.6半
ベルビア100
タナーレンズで試写したが、全体的にはシャープネスは十分な気がする。ただ、さすがに新しいGロッコールと比べると、線が太い。色が全体に赤と黄色が強く見えるが、これはベルビアのせいかもしれない。雨のため青みがかかるのを嫌って今回はベルビア100を使用した。カラーだけは使うフィルム、色温度でもかなり左右されるので一概には言えないが、Gロッコールと比べてもそれほど悪い感じではないが、色の鮮やかさは落ちるようだ。どちらかというとあっさりした感じで、線はやや太いといったところか?Gロッコールはさすがに20世紀末のレンズ、シャープで線が細く、色のりもよい。ただ、開放付近では周辺光量が落ちるのは対称系レンズの特徴である。タナーも十分実用につかっても問題ないレンズだと思う。 |
by 絶版倒産カメラ狂
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