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Wega IIa

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発売年: 1953-1955年頃
メーカー: A.F.I.O.M.(Apparecchi Fotografici Italiani Officine Meccaniche)
サイズ: 135x75x45mm(レンズ沈胴時)
重量:約600g
シャッター: 布幕横走りフォーカルプレーン T,1〜1/1000秒
標準レンズ: Trixar 5cm F3.5 3群3枚構成(トリオター型)
レンズマウント: L39ライカ・スクリューマウント
生産台数: 2000台程度
シリアルナンバー: 31565
分類番号: グループ1b

 終戦直後、アフィオム(A.F.I.O.M.)はポルデノーネに工場を興し、ミラノに販売オフィスを置いて、このヴェガを53年に発売した。ヴェガはクリスタルを作っていたベルーノのキナーリア・ドメニコ(Chinagria Domenico)と関係が深く、ほぼ同じ中身のカメラを両社で発売していた。しかし、アフィオムはこのヴェガを販売して2年もすると撤退してしまい、以降、キナーリアがそのまま「Wega」ブランドを引き継ぎ、軍艦部にも「CD」のマークが刻まれるようになった。その後アフィオムは倒産したのか別の業界に転身したのかは不明である。ひょっとするとキナーリアに吸収された可能性もある。

 ウェガIIaはデザインを除いて比較的忠実なライカコピー機である。クリスタル2sとほとんど同じものであるが、両者とも軍艦部を低く押さえる工夫が凝らされている。このヴェガの場合、軍艦部のファインダーブロックよりも、巻き上げ・巻き戻しノブの方が背が高くなっている。また、極力低く見せるためにファインダーブロック上面が平坦ではなく、中央部に横向きの折れ目があり、できる限り前後を下げようとしている。よって、何やら一般のバルナック型カメラとは少々異質なデザインに感じる。ボディも八角形であり、シャッターダイアルと巻き戻しノブのベースの部分もボディの角と合わせた形で、全体として台形のブロックをくっ付け合わせたようなデザインになっている。

 ヴェガIIaの仕様はライカIIaにシンクロ接点を加えたもので、スローシャッターがないことを除けば、使い勝手で悪い点は見られない。そのシャッターもクリスタルと同様に中間速度が使え、回転式ではあるものの摘みやすい形状のダイアルや、歯切れの良い音だがショックのほとんどない感触など、なかなか優れている。ファインダーも二眼式で、アイピースは距離計とビューファインダーの間で互いに離れている。ただし、この距離計の基線長は40mmあり、倍率が1.5倍なので有効基線長は60mmに達し、精度は抜群である。さらには非常にクリアーで分離の良い無着色のファインダーであるため、明るく見やすい。
 こう書くと何やらいいことづくめだが、全体の作りはやはりイタリア製であり、本家ライカの精密感はさすがに感じられない。しかし、何となく愛嬌のある面構えや、軽快で使いやすい点など、個人的にはかなり好きなカメラの一つである。
 さて、ヴェガのモデルはこの他に距離計を省いたスタンダードモデルが存在する。これはクリスタルのボディと同じ角に丸みを持たせたボディで、面白いことにクリスタルのスタンダードモデルは逆にヴェガの八角ボディを用いている。ちょっと不可解なII型との差別化であるが、いずれにせよアフィオムとキナーリアの親密な関係がここからも伺えるだろう。なお、アフィオムネームがCDネームになったヴェガ・スタンダードは、II型と同じ八角ボディに変更された。
 その後、ヴェガIIaは50年代半ばにはクリスタルRと言うモデルにモデルチェンジされ、大きな二つの窓を持つ一眼式のファインダーになった。しかし、ファインダーブロックの幅は変わらないので、大きなファインダーのために基線長はかなり短くなってしまった。

作例:「記念写真」

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使用カメラ: Wega IIa Officine Galileo Ogmar 9cm F4
フィルム: フジカラー・リアラ 100 ナニワカラーキット現像
シャッタースピード: 1/200秒 絞り: f9

 この画像は標準のトリクサーではなく、ガリレオのオグマーで撮影した。ピントはバックの機関車に合わせているが、絞り込んでいるため、もっと奥の建物までしっかりピントの山が広がっている。しかし、前の人はボケている。なかなか味わいのある色合いで、ピントもそこそこしっかりした落ち着いたレンズである。ちなみに標準のトリクサーは3枚玉にしてはどこまでもシャープで発色が良い。イタリアンレンズの中では、1・2を争うレンズであると思う。

by トプ・ガバーチョ

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