Kristall 53
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発売年:1953-1960年頃
メーカー:Chinaglia Domenico
サイズ:133x76x47mm
重量:560g
シャッター: 布幕横走りフォーカルプレーン B,1〜1/1000秒
標準レンズ:Krinar 5cm F3.5(トリプレット型)
レンズマウント: L39・スクリューマウント
生産台数:1000台未満
シリアルナンバー: 11931
分類番号: グループ1b |
ベルーノのキナーリア・ドメニコは、1950年にクリスタル2型でカメラ市場に参入し、ミラノの卸業者であるグイド・ノニーニによってカメラを販売した。最初期の2型、シンクロを備えた2a型、中間速度を使えるようにした2s型、距離計の省かれたスタンダード、スローシャッターを加えた3s型を矢継ぎ早に送り出した後、この53型を53年に投入する。さらに廉価版のRというモデルも後に作られたが、結局は50年代半ばには急速に力を失ってしまった。しかし、その割に60年代半ばまで細く長くカメラを作っていたらしい。 |
標準レンズは当初ステイナー(Steinar)5cm F3.5であったが、すぐにネームだけKrinarに変更された。レンズの構成は3群3枚のトリプレットであるが、イタリア製である以外、メーカーははっきりしない。初期の2型にはガンマと同じKoristka Victor 55mm F3.5が付いていたので、コリストカの35mmカメラ用レンズの可能性もある。その他ではソム・ベルチオ5cm F2.8、シュナイダー・クセノン5cm F2が用意された。カタログを見る限り、クリスタルから交換レンズは用意されていなかったものと思われる。 |
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クリスタル53の最も大きな特徴は、ファインダーの視野の切り替えが可能なことである。前面のビューファインダーの右にあるレバーを動かすことで、28mm・35mm・50mm・75mm・90mm・105mmのファインダーとして用いることができる。ただし、これは内部の絞り羽のような二枚の黒い板が視野を広げたり狭めたりするだけで、倍率が変わるものではない。
距離計の基線長は45mmもあり、倍率も1.5倍のため、有効基線長は67.5mmにも達するので、非常に正確なピント合わせが可能。ただし、ご覧の通りビューファインダーの大型化のために接眼部が上下にズレてしまっている。これはご愛嬌と言うべきだろう。
シャッタースピードにも工夫が見られ、中間速度が使えるようになっている。よって、B.1〜1/1000秒で倍数系列にもなっていないものの、全17速ものシャッタースピードを選択できる。ちなみに、スローシャッターノブは軍艦部上にあり、この点、ボディ前面にあるタイプよりも使い勝手が良い。また、この画像の後期型では、シンクロタイミングのダイアルもシャッタースピードノブに組み込まれていて、E〜13まで選択できるようになっている。 |
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作例:「オバンとスター(?)」
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使用カメラ〜クリスタル53 ステイナー5cm F3.5
フィルム〜フジカラー・スーパーG100 ナニワカラーキット現像
シャッタースピード〜1/50秒 絞り〜f4.5程度
ステイナー5cm F3.5は、Wega用のトリクサーと同じレンズである。しかし、我が家にある両者の描写は対照的で、トリクサーは非常にシャープな印象であるにもかかわらず、このステイナーはどうも甘い感じが残る。周辺部が流れ気味で、これはf8でも消えない。発色は平均的で、これと言って特徴のないレンズであるものの、コンパクトで軽量なため、使っていて全く苦にならない。 |
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