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I.S.O. BILUX

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発売年:1950-1952年
メーカー:Industria Scientifica Ottica
サイズ:142x80x51mm(レンズ沈胴時)
重量:710g
シャッター: 布幕横走りフォーカルプレーン T.B.1〜1/1000秒
標準レンズ:IRIAR 5cm F3.5 3群4枚構成(エルマー型)
レンズマウント: オリジナル・スクリューマウント
生産台数:1000台未満
シリアルナンバー: 3360
分類番号: グループ2

 I.S.O.は当時のイタリアの光学界の権威であったアルジェンティエーリ博士が戦後に興した会社で、47年にルクス(LUX)を発表した後に50年に発売したのがこのビルクスである。特徴はファインダーアイピースがレンズの焦点距離に合わせて交換できることと、トリガーワインダーを内蔵している点である。またヘリコイドもコンタックス型のギアを用いたタイプで、迅速な撮影を目的としたカメラである。このモデルは53年になると小変更され、レポーター(Reporter)と言う名に変わり、ドイツの光学メーカーであったヘンソルト(Hensoldt)社に卸され、ヘンソ・レポーターとしても売られた。

 標準レンズはイリアー 5cm F3.5で、構成は3群4枚であるが、絞りは前玉の直後にあるのでエルマー型になる。絞りは大陸絞りで、最小絞りはF18。ヘリコイドはボディ側にあり、鏡胴を回転させることはできない。別にARION 5cm F2.8も発表されたが、これはレポーターの頃にはIRIAR名に変更されている。
 交換レンズはIRIAR 8cm F4.5、ARGON 8cm F2.5、IRIAR 12.5cm F3.5が用意されたが、これらはボディのヘリコイドを最短に合わせてロックし、鏡胴側のヘリコイドを使用してピント合わせをするようになっている。また、ファインダーも横のボタンをスライドさせて取り外し、各焦点距離のものと交換して使う。

作例 「つまらん」

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使用カメラ: I.S.O. Bilux Iriar 50mm F3.5
フィルム: AGFA Vista 100 シャッタースピード〜1/50秒 絞り〜f4

コメント: イリアーはさすがにドイツのヘンソルト社にも認められただけあって、結構開放からシャープである。レンズ構成はエルマー型であるが、意外と線は細目でスッキリしている。ただし、画像によっては2線ボケ傾向があるので、ボケについては全面的に良いとは言い切れない。カラーバランスは問題ないし、なかなか素直な描写のレンズであると思う。

by トプ・ガバーチョ

I.S.O. Reporter

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発売年:1953-1956年頃
メーカー:Industria Scientifica Ottica
サイズ:142x80x57mm(レンズ沈胴時)
重量:710g
シャッター: 布幕横走りフォーカルプレーン T.B.1〜1/1000秒
標準レンズ:IRIAR 5cm F2.8 3群4枚構成(テッサー型)
レンズマウント: オリジナル・スクリューマウント
生産台数:1000台未満
シリアルナンバー: 5488
分類番号: グループ2

 52年、"Bilux"の機能を単純化し、トリガーレバーなどを省いた"Junior"を一時販売したI.S.O.は、そのボディデザインと統一したフルスペック機種であるこの"Reporter"を翌53年に発売した。同時にジュニアは"Standard"と名を変えて併売されることになった。
 レポーターの変更点は細まかい部分がほとんどであるが、唯一マウント部は大幅な変更と言える。ビルクスではただスクリューマウントの穴が空いていただけであったが、レポーターではそこに回転する距離目盛の刻まれたリングが付けられた。また、エプロン部上のヘリコイドギアも押さずにそのまま回転するようになったので、マウント部の距離目盛の入ったリングを回してピント合わせができるようになった。

 使い勝手はビルクスとほとんど変わらないが、やはりこのヘリコイドギアの変更は非常に使いやすくなった。ビルクスはここを押さねばロック状態になり、ウンともスンとも言わなかった上、回転トルクも要するので、思いの他ピント合わせ作業が大変だったが、このレポーターではそのようなことは皆無である。しかし、このマウント部の変更のため、ビルクスのレンズはレポーターでは使えなくなってしまった。また、ファインダーも着色されて像の分離をより良くしたのだが、無着色のビルクスの方が見やすいと思う。更には巻き上げトリガーもビルクスでは1回半であったが、このレポーターでは正味2回引かねばならない。
 底面のダイアルはシンクロタイミング調整用。ストロボでは「0」に合わせる。

 その他の目立った変更点としては、マウント内部のコロの位置が随分深くなったことが挙げられる。また、高速側のシャッターダイアルのデザインも変更され、窓からシャッタースピードを確認するようになった。
 レポーターの標準レンズはこのIRIAR 5cm F2.8の他に、IADAR 5cm F3.5、ARION 5cm F1.9がある。また、交換レンズはビルクスの頃から作っていたARGON 8cm F2.5(この頃にはAGLAR名に変更)、IRIAR 12.5cm F3.5の他に、新たにフランスのソム・ベルチオ製のANGULOR 2.8cm F3.3が加えられた。なお、8cmと12.5cmの望遠レンズはビルクスと同様にヘリコイドギアが使えず、ボディ側のヘリコイドを最短距離に合わせ、エプロン部の下にあるマウントロックボタンをスライドさせて固定し、その上でレンズのヘリコイドリングを用いてピント調整をするようになっている。

Henso Reporter

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発売年:1954-1956年頃
メーカー:Industria Scientifica Ottica
サイズ:142x80x56mm(IADARレンズ沈胴時)
重量:710g
シャッター: 布幕横走りフォーカルプレーン T.B.1〜1/1000秒
標準レンズ:IADAR 5cm F3.5 3群4枚構成(エルマー型)ARION 5cm F1.9 4群5枚
レンズマウント: オリジナル・スクリューマウント
生産台数:500台未満
シリアルナンバー: 6158
分類番号: グループ2

 53年にレポーターを完成させたI.S.O.は、54年にドイツのウェッツラーにあったヘンソルト(Hensoldt)社の要請を受けて、ネームをHENSOと変えたモデルを発売した。このヘンソルト社であるが、1849年にMoritz Carl Hensoldtと義弟のCarl Kellnerによって興された由緒正しい光学メーカーである。主に望遠鏡や双眼鏡などを作っていたが、1900年代にはツァイス向けにプリズム関連の部品を卸していた。しばらくして、54年にツァイスが筆頭株主になり、結局64年には完全にツァイス傘下に入ることになった。その後もライフルスコープなどの光学製品を作っており、商標は未だに残っている。

 ヘンソ・レポーターは全くイーゾ・レポーターと変わらない。ただ、あえて言うならば、裏蓋開閉ノブの周りの「chiuso」「aperto」の文字がドイツに合わせて「zu」「auf」に変更されていることが挙げられる。また、レンズにも「-Dr.HANS HENSOLDT-」の文字が追加され、ボディの刻印ともども、I.S.O.やItalyの文字は一切見られない。
 シャッターボタンの回りのリングは巻上げとともに回転するが、ここを取り外すことでライカ式のケーブルレリーズのネジが現れる。その前に見られる窓はスローシャッターの表示で、スローシャッターの変更は背面のダイアルで行う。こちらにはT.1〜1/30秒が表示されている。一般の位置にある高速ダイアルはB.1/30〜1/1000秒で、これらはビルクスから全く変わらない機構である。
 それにしても、このカメラの作りの良さは、ドイツ製と言われても疑うことのない程の見事な出来栄えである。

by トプ・ガバーチョ

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