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Gamma I

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発売年: 1947-1948年
メーカー: Officine Meccaniche di Precisione
サイズ: 136x73x52mm(レンズ沈胴時)
重量:700g
シャッター: 金属二枚板横走りフォーカルプレーン B.1/20〜1/1000秒
標準レンズ: Koristka Victor Gamma 55mm F3.5 3群3枚構成
レンズマウント: オリジナル・バヨネットマウント
生産台数: 700台前後
シリアルナンバー: 00287
分類番号: グループ3

 ガンマは戦後間もなくRossi兄弟によってローマに興されたメーカーで、46年に彼らの独創的なアイデアを具現化したモデルを開発し、翌47年にミラノで発表された。その名も"Gamma 47"とされ、軍艦部にしっかりと刻印されている。広告では当初距離計窓も四角いものであったが、同年に発売されたガンマI型は写真の通りライカ風の丸窓を採っていた。300番台以降ではマイナーチェンジされ、圧板やフィルム送り確認方法が変更され、フィルムを円滑に送るためのローラーが設けられるようになった。さらにもう一度マイナーチェンジされ、I型後期のモデルではビューファインダー下の距離計調節部分の蓋ネジが廃されて、吊り環用アイレットもなくなった。

 やはりこのカメラが最も意識されるのはロッシ兄弟のアイデアの塊であるそのシャッター機構で、二枚の湾曲した金属板を"幕"として用いると言う奇抜なものである。もちろん駆動力はゴムではなくコイルスプリングで、シャッター板に歯が刻まれていて、ここにギアを当てて勢い良く送り出すようになっている。しかし、金属板は巻き取ることができないので、結果としてこれを湾曲させて、その逃げを前面に設けて膨らませたものが一見グリップに見える出っ張りである。

 もう一つ、このカメラには巻き戻し機構が省略され、ダブルマガジン式になっている。撮り切ったら内蔵されたフィルムカッターでフィルムを切断し、そのまま巻き上げ切れば良い。ではなぜそのような設計にしたのだろうか? これは実はシャッターが大本の原因なのだが、このシャッターは"逃げ"の問題からどうしても中央に置かねばならず、シャッターを駆動する動力も中央に置かねばならない。これによって、本来中央部付近にあった距離計窓が、向かって右に押されてしまい、最終的にビューファインダーともう一方の距離計窓が右端に追いやられ、巻き戻しノブを設けることができなかった訳である。底面に付ければ良いとも思えるが、裏蓋・底蓋一体で抜き取るタイプなので、やはりそれは無理があるのだろう。いずれにせよ、何としてもこのシャッターを形にしたかったのだろう。
 また、面白いことにI型はバヨネットマウントを採用しているが、コロが向かって右に付いている。これもファインダーが右に寄ったことがもたらした結果だろうが、何から何まで「シャッターこそ全て」と言った感がある。

作例:「壁」

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ガンマI型

コリストカ・ヴィクトール・ガンマ55mm F3.5

シャッタースピード〜1/200秒

絞り〜f6.3

イルフォードFP4
ID-11現像

このレンズはコーティングの問題か、フレアが比較的多い。よって、線が甘く見える場合が多々あるが、それが今のレンズにはない柔らかさみたいなものを感じさせてくれる。こんな言い方をしているが、正直言って優秀なレンズとは言い難い。

by トプ・ガバーチョ

Gamma II (R,Aeronautica)

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発売年: 1948-1949年
メーカー: Officine Meccaniche di Precisione
サイズ: 135x77x66mm
重量: 600g
シャッター: 横走りメタルフォーカルプレーンシャッター
B,1,2,5,10,20,30,50,70,100,250,500.1000
標準レンズ: Koristca Victor 55mm F2
レンズマウント: L39ライカ・スクリューマウント
生産台数: 700台前後(II型の総数)
シリアルナンバー: 10319
分類番号: グループ3

 イタリア製ライカコピーカメラの中で、もっともユニークなのがガンマである。何がユニークか? カメラのデザインもそうであるが、その機構が非常にユニークで、ライカコピーとは呼べないのではないかと思われる。曲面状のメタルシャッター幕にはじまり、ダブルマガジンを使うため巻き戻し機構が無く、裏蓋の開閉構造がライカとは全く違っている。
 このガンマ、普通のII型(書籍によってIII型とあるが、私には詳細は分からない)と違っていて、向かって右肩に"R.Aeronautica"と刻印されている。つまりイタリア空軍用ガンマというわけである。

 一般的に空軍用は、"Aeronautica Militare"と刻印され、レンズにはOfficine Galileo 50mm f2が付いているが、このガンマにはVICTOR KOSISTKA 55mm f2が付いている。しかも、このレンズの前面には55mm f2.8と刻印されているが、実際には絞りはf2まであり、被写角深度の表示もf2と刻印されている。やはりイタリア製と言うしかないのか、それとも偽物空軍用なのかは、このカメラのみが知ることなのであろう(シリアルNo.でわかる?)。大口径レンズ好きな私にとって、偽物だろうが本物だろうが問題ではなく、問題はレンズの写りなのである。

 ガンマを使ってみると使いづらいのであるが、巻き戻しが出来ないことを除けばバルナックライカよりは使いやすいのではないかと思う。
 ガンマII型,III型はライカ・スクリューマウントなので、ライカ用レンズが付けられるが、フランジが少し違い無限が来ないことがある(無限が来るものもあるようで、これもイタリアカメラのなせる技なのかと思ってしまう)ので気をつけるべきだろう。
 VICTOR KOSISTKA55mmf2の描写であるが、軍用レンズなのかイタリア製にしては優秀だと思われる。開放で像も色彩も柔らかく、ボケも悪くはないし流れもそんなに気にはならない。絞っても、その傾向はあまり変わらないが、シヤープネスは上がってくる。
 ところで、ガンマのレンズ群をご紹介しておくと、
Officine Galileo Tesog 35mmf4.5 同 Eptamitar 50mmf2
Koristka Victor Gamma 55mm f3.5 同 f3.5
Som Berthiot 50mm f3.5 同 f2.8 同 55mm f1.5 Angenieux 50mm f1.8 同 f2.9
Xenon 50mm f2 Unidentified 50mm f1.5 Filotecnica Gamma 90mm f4
などがあるようだ。

by ジオグラフィック、T-REX
 

Gamma III (France Version)

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発売年:1950-1951年
メーカー: Officine Meccaniche di Precisione
サイズ:135x77x66mm
重量:840g
シャッター: 金属二枚板横走りフォーカルプレーン B.1〜1/1000秒
標準レンズ:SOM Berthiot Flor 55mm F1.5
レンズマウント: L39ライカ・スクリューマウント
生産台数:700台未満
シリアルナンバー: 11110
分類番号: グループ3

 イタリアン製カメラのデザインは日本製やドイツ製のコピーライカと比べて優れていると思う。その中でガンマIII型は特に洗練されたデザインを持っていると言える。また、デザインばかりではなく、他のコピーライカにはない機構も持っている。そこがガンマの面白いところだと思う。
 このガンマIIIの軍艦部にRomaの刻印もなく、裏蓋にはフランス語表示されている部分があり、レンズもフランス製が付いている(下の画像参照)。
本来ここはイタリア語であるから、これは正にフランス向けに作られ、輸出されたカメラである。 GammaIII5.jpg

 一般的にレンズはアンジェニューZ2 50mm F2.9やベルチオ50mm F2.8などが付いているが、このガンマには同じベルチオでも、SOM Berthiot Flor 55mm F1.5が付いている。実際ベルチオのレンズを装着したガンマを稀に見かけるが、それらは大体フロール50mm F3.5、または50mm F2.8である。私が55mm F1.5のレンズを装着したガンマを見たのは、これが初めてであった。
 ところで、このFlor 55mm F1.5は中望遠クラスのレンズと間違うくらい大きく重いが、大口径好きの私にとってはかえって喜ばしいことである。また、その描写はいかにも癖玉好きが欲しくなるもので、開放ではフレアとボケがグルグ回るような感じになるが、2段ほど絞るとシャープで安定した描写へと一変する。
 ガンマ用のベルチオ製交換レンズは、28mm F3.3、75mm F2.8などがあげられるが、たぶん憶測であるものの、90mmや35mmなどのレンズも存在しているように思える。
 ガンマのレンズを探すのはかなり難しいと思うが、皆様も探されてみると思いがけない面白いレンズに遭遇する可能性があるだろう。

作例:「燃ゆる秋」

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Gamma III Som Berthiot Flor 55mm F1.5
シャッタースピード〜1/1000秒 絞り〜f1.5

 開放で、ぼけがぐるぐる回る描写をするが、これも有効に使えば面白い写真ができるし、バックをすっきりした背景にすれば、ボケも流れずまた違った描写にもなる。正に使い方が楽しいレンズで、現代のレンズでは絶対に不可能な表現のできるレンズであるだろう。

by ジオグラフィック、T-REX
 

Gamma III (Synchro)

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発売年:1950-1951年
メーカー: Officine Meccaniche di Precisione
サイズ:136x78x78mm
重量:700g
シャッター: 金属二枚板横走りフォーカルプレーン B.1〜1/1000秒
標準レンズ:Angenieux 50mm F1.8
レンズマウント: L39ライカ・スクリューマウント
生産台数:700台未満(うち、シンクロ200台程度)
シリアルナンバー: 11395
分類番号: グループ3

 専用バヨネットマウントのためさっぱり売れなかったI型を改良して、L39マウントにしてII型を発売したが、その後巻き上げノブとカウンター周り、ファインダーアイピース等を変更して登場させたのがこのIII型である。実際にII方との差はあまり大きなものではないが、I型とは底面のマガジンの開閉ノブ等も加えられたことや、コロの位置など、変更点が多い。また、III型は最後のおよそ200台程度がシンクロモデルとなっており、その当初はシャッターダイアルの首に黒いリングが見られ、それを回してシンクロタイミングを変更するようになっていたが、画像の最終ナンバーに近いモデルでは省かれている。

 ガンマにはこの他に距離計を省略した"mod.I"やII型からスローシャッターを省いたモデル等が極少数作られた。また、標準レンズも多彩で、あちらこちらのレンズが付けられて売られていたようで、例えばイタリア国内の広告などで見られないレンズも数多く出回っていたことが伺える。基本的にはI型はコリストカの55mm F3.5で、II型はコリストカ以外にソム・ベルチオの50mm F2.8やシュナイダー・クセナー50mm F2.8が一般的であった。空軍モデルはガリレオ・エプタミター5cm F2が見られる。III型はII型に準じるがシュナイダー・クセノン50mm F2等が加わっている。

 交換レンズはソム・ベルチオのアンギュロール28mm F3.3やフロール75mm F2.8、オフィチーネ・ガリレオのテーソグ3.5cm F4.5、フィロテクニカ・ガンマ 9cm F4、コリストカのヴィクトール105mm F3.5等があったそうだが、これらはほとんどがスクリューマウントのもので、I型バヨネットマウント用が作られたかどうかは定かではない。
 さて、実際にガンマIII型を手に取ってみると、やはりあのシャッターの"逃げ"のこぶが他のライカ型カメラと違う感覚を生むが、うまい具合に配されていてちょうど良いグリップとして働いてくれる。シャッターを切ると確実にI型の大きなショックとは異なった、柔らかで、それでいてはっきりとした横揺れを感じる。これは金属板の止まる際の衝撃がもたらすのであるが、III型はショックアブゾーバーが改善されているため、何やら実に不思議な感覚である。

作例:「見てまっせ」

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ガンマIII型 ソム・ベルチオ・フロール50mm F3.5
シャッタースピード〜1/100秒 絞り〜開放 Agfa Vista 100 ナニワカラーキット現像

 現在ガンマ用にアンジェニューS1 50mm F1.8とソム・ベルチオのフロールを使用しているが、ここで使ったフロールはガンマから発売されたものではないようだ。しかし、基本的に同じレンズなので気にせず使っているが、一般撮影をする限り描写はあまり褒められたものではなく、無限遠状態で右側に結構はっきりとした流れができる。これは絞り込んでもあまり変わらない。作例のように近接撮影であると左に出ているはずであるが(左上の赤い柵が歪んでいる)、ボケでごまかしてしまうとはっきりしないだろう(笑)。発色は穏やかである。アンジェニューはどこまでもシャープと言った感覚であるが、やはり比較的地味な発色を見せる。

by トプ・ガバーチョ

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