Petri Lenses & Accessories

 

Petri C.C Auto 28mm & 35mm

Petri C.C Auto
28mm F3.5/35mm F2.8

 C.C Autoの35mmは初期から用意されていた交換レンズで、ペンタ用Pマウントのものと基本的には変わりません。V3やフレックス7の頃には白鏡胴のものが135mmと共に出ていましたが、良く見るのは絞りリングと被写界深度目盛りの部分だけ白になったツートンのタイプです。画像のものは全体が黒仕上げになっています。
 28mmは初期には見られず、少し後になって登場しました。35mmよりも全長が短くなっていますが、それでも若干細長いレンズです。
 両方とも屋外で普通に絞り込んで使うと卒なく良く写りますが、開放では周辺光量は結構低下する傾向にあります。

 

Petri FT Petri C.C Auto 35mmF2.8 Photo
 

作例「円海山のネコ」
PETRI FT Petri C.C Auto 35mm F2.8
シャッタースピード〜1/60秒、絞り〜f5.6

 使用フィルムはフジカラー記録用100(G100と同じもの)で、ナニワカラーキットで現像後、EPSON GT-X980(フラットベッドスキャナー)で3600dpiで取り込んだものをPhotoshopで縮小し、アンシャープマスクを掛けていますが、スキャナーで取り込む際に自動で露出補正されていること以外は、カラーバランス等、一切手を着けていません。

 C.C Auto 35mmは、以前各社のF2.8〜F3.5級の35mmレンズともども、Sony α7を使ってその描写を同一条件でテストしたことがありますが、ちょっとした手違いでペトリとUVトプコールだけ開放絞りでのテストになって、他のレンズに比べてどうしても劣った画像になってしまいました。開放では無限遠の描写が甘くなる傾向にありますが、近景では充分な描写になりました。この作例のように、普通に絞って使っている限り、シャープネス・コントラストとも全く問題がなく、四隅まで良く写ってくれます。フィルムの性質にもよりますが、色乗りは55mmレンズと同様にさほど良いとは言えないものの、個人的には現代の実風景よりも色がキツイようなデジカメの描写は好みでないので、素朴な雰囲気を醸し出してくれるこのレンズはお気に入りの1本です。

 

Petri C.C Auto
21mm F4

 ペトリのC.Cオートレンズでは唯一の超広角レンズ。
70年代に入って生産されたもののようで、生産本数は相当少ないため、現在ではなかなか入手が難しくなっています。
 フィルター径が77mmと大変大きな前玉が特徴的で、レンズ構成枚数は6群9枚になります。
『写真工業』誌の昭和52年3月号で、各社の20・21mmレンズの比較テストでこのレンズも取り上げられましたが、なかなかの評価を得ていました。個人的に所有する各社の20・21mmクラスのレンズの中でも、REオートトプコール20mmに次いで高い成績を残してくれました。開放絞りでは多少なりとも粗が出るものの、F8に絞り込めば他社の優秀なレンズに引けを取らない解像力やバランスの良い収差補正が実感できるものになります。残念ながら、このレンズが登場して少しして、ペトリは倒産の憂き目にあい、このレンズもあまり売れないまま終焉を迎えました。ちなみにペトリではなぜか24mmないし25mmの超広角レンズはリリースされませんでした。

 

EE Auto C.C Petri
28mm F3.5/35mm F2.8

 69年のFT EEの登場に伴い、自動露出に対応した絞りがフリーになるところを設けています。分解して比較してはいませんが、28mmの光学系は従来のものと変わらないようです。35mmは大幅に短くなってコンパクトに設計し直されています。
 35mmは写りも開放での描写が改善されていて、多少色合いも鮮やかさが増していて、55mm F1.7と良く似た感じに描写してくれます。
 28mmは従来通りで、中心部は大変シャープですが、周辺光量がf5.6でも不足気味になります。f8に絞って使うと四隅まできれいに写ります。

EE Auto C.C Petri 28mm & 35mm

 

Petri C.C Auto / EE Auto C.C Petri 135mm F3.8

EE Auto C.C Petri
Petri C.C Auto
135mm F3.8

 ペトリの135mmにはF3.5のものとF3.8のものがあり、EEレンズはそのうちF3.8だけに用意されました。このレンズは細身で軽量ですが、3群3枚構成で思いの他長く、鏡胴と口径を揃えたフードを付けっ放しにしてキャップを被せるようにしているため、他社の200mmレンズ並に見えます。
 写りは設計に無理がないために四隅までシャープです。色合いはこのレンズも若干黄色味が出ます。
 C.C Autoはヘリコイドリングが旧デザインのままでしたが、EEレンズはゴムローレットが巻かれています。ちなみにC.CオートとEEは絞りの回転方向が逆になります。

 

Petri C.C Auto
135mm F3.5

135mmレンズはM42の頃からラインアップされていましたが、その頃は手動プリセット絞りで、開放値もF2.8と明るいレンズが出ていました。その後すぐに右側のF3.5が登場し、左のF3.8と一緒に併売されました。面白いことに明るいF3.5の方が全長がかなり短いのですが、フィルター径はどちらも52mmです。前玉は確かにF3.5の方が大きいものの、そう大きな違いはないです。ペトリがなぜこのF3.5をEE化しなかったのかはナゾですが、明らかに携行性も使い勝手もこちらの方が良いです。コーティングはほとんど淡いマゼンタの単色で、アンバーとシアンのあるF3.8と異なります。

Petri C.C Auto 135mm F3.5

 

PetriCCAuto135mmF28-640.jpg

Petri C.C Auto
135mm F2.8

面白いことにペトリは135mmレンズを3種類も用意していました。そのうち最も明るいのがこのF2.8モデルで、前玉の口径が大きくなっています。鏡胴はF3.5と同じく短くなっていて、若干太い点以外はなかなかコンパクトです。ただし、レンズフードはなぜか標準レンズ並みの深さのものが付いていて、ちょっと心許ない感じです。コーティングはシアンが中心で、一枚だけアンバーと言うよりオレンジのものが見られます。

 

Petri C.C Auto
EE Auto C.C Petri
200mm F4

 200mmまでは従来のC.C Autoと並行してEE対応のレンズも作られていました。レンズ構成は4群5枚で、アンバーコーティングが主体で奥には淡い青に近いマゼンタの色合いが見えます。これは両方とも同じです。レンズフードの135mmと同様にあらかじめレンズにねじ込んでおいた上で先にキャップをはめるようになっていて、これがペトリの望遠レンズの特徴でした。
 色合いは冷色系の写りになりますが、シャープネスは大変良好で、コントラストも良く出ています。当時の各社の200mmレンズの中でも上々の性能を持っていたと思われます。

Petri C.C Auto / EE Auto C.C Petri 200mm F4

 

Petri C.C 200mm F3.5
 

Petri C.C 200mm F3.5

 手動プリセット絞りのレンズは60年代にC.C Autoと併売されましたが、70年代には300mm以上の超望遠レンズ以外はカタログから外されてしまいました。面白いことに、135mmとこの200mmではプリセット絞りのレンズの方が自動絞りのレンズより明るいものが用意されていました。このレンズは開放値がF3.5となかなか明るいレンズで、C.C Autoよりも一回り太く重い仕上がりです。前に付く絞りリングを任意のところに合わせ、手前の銀色のプリセットリングの「▼」を絞りリングの「■」に合わせれば絞り込まれ、左に回してマークを外すと開放になります。

 このレンズの写りですが、色合いが他のペトリレンズとあまり揃っておらず、若干の黄色味が強い描写になりますが、周辺部まで均一に写る点では評価できます。シャープネスは後のEE200mmに比べると多少甘くなりますが、コントラストは悪くないので、どちらかと言うと線が太めな印象のため、それがシャープ感を生み出してくれるように思います。

 

Petri C.C Auto 300mm F5
Petri C.C 300mm F5.5

 ペトリマウントの300mmレンズは自動絞りのF5と手動プリセット絞りのF5.5が70年代になっても併売されていました。C.C Autoのレンズは口径が一回り大きく重い仕上がりになっています。やはりフードは鏡胴の先端と口径を揃えて常時付けっ放しにして使うようになっていて、ケースもその長さに合わせて作られています。
 レンズ構成はC.C AutoのF5が3群5枚で、コーティングはアンバー主体でマゼンタも使われています。これに対しプリセットのF5.5は2群4枚構成で、アンバーの単色コーティングです。

Petri C.C Auto 300mm F5 & C.C 300mm F5.5
 

 写りはどちらも冷色系の色合いになり、良く似た感じになります。解像力は74年度版の『カメラ・レンズ白書』ではC.C Autoの方が勝っている評価でしたが、実際に撮り比べてみると両方ともなかなかのものがあります。拡大画像で周辺部を見るとC.C Autoの方が線が甘くなるようなことはないものの、中心部の線はほとんどにじむことのないプリセットのF5.5の方がしっかりしたイメージでした。ちなみにC.C Autoは東京光器(トキナー)に発注していたレンズのようです。

 

Petri C.C.Auto 400mm F6.3
 

Petri C.C 400mm F6.3

 ペトリは300mm F5まで自動絞りのC.C Autoレンズを発売していましたが、同じ300mmでもF5.5からは手動プリセット絞りの超望遠レンズをカタログに載せていました。この400mmは3群3枚構成で、かなり細長い印象のレンズです。実際筒の口径はマウント部のスピゴットのリングとそれよりも細いことが画像からも分かるでしょう。
 当時色々な中小規模のレンズ専門メーカーが格安の超望遠レンズを販売していましたが、このレンズもそれらと似たような印象です。性能的にもあまり冴えない結果が『レンズ白書』に記されていますが、結構中心部から広範囲でシャープに写ります。周辺部はわずかに甘めになりますが、全く気にならないレベルです。

 

Petri C.C 500mm F5.6

 ペトリの500mmと1000mmは大変生産数が少ないので、ほとんど目にすることはないでしょう。画像の500mmは専用の木箱が付いていましたが、残念ながらマウント部が欠落していてそのままでは使えません。後日、M42マウントのスリットを切った筒を取り付けたいと思います(画像はボディを取り付けてテープで固定した状態です。参考まで)。

 

Petri超望遠レンズ等

 Petriの300mmレンズは2種類ありましたが、F5.5はトキナー製の手動プリセット、F5は自社製の自動絞りになります。400mmもトキナー製の手動プリセット絞りになります。
 それらに対し、80-200mmズームは自社製の自動絞りレンズですが、あまりに大柄なので一見300mmと見紛う外観ですね。なぜコンパクトな85-210mmがあったのに、これを販売したのかが販売戦略的に良く分からないです。

左から、
Petri C.C Auto Zoom 80-200mm F4.5
Petri C.C Auto 300mm F5
Petri C.C 300mm F5.5
Petri C.C 400mm F6.3

 

Petri Zoom 85-210mm

 ペトリは望遠ズームを当初2種類出していましたが、どちらもレンズメーカーに外注していました。この85-210mmは長らく販売されていたものですが、製造はSUN光機が行なっていました。実はREズーム・オート・トプコール87-205mm F4.7も同じ光学系のものですが、東京光学で設計された資料が残っています。SUNがそれを買ったのか同じような設計でコピーしたのかは分かりませんが、良く似たスペックで外観も似たものが3社からほぼ同じ頃(60年代半ば以降)に売られていました。
 ペトリから最初に出たのは左のPetri Zoom C.C Auto 85-210mm F4.8で、ズームリングが半周だけヘリコイドリングに被っていて、鏡胴の先端がフードとして初めから前に飛び出ているのが特徴です。

Petri C.C Auto Zoom 85-210mm
 

 次に、69年にFT EEが発売すると、このズームレンズもEE Auto C.C Petri Zoom 85-210mm F4.5になります。開放値がわずかに明るくなっていますが、見たところ光学系もコーティングも変わりありません。元になったSUNズームとも同じです。この数値は、多分誤差許容範囲内のものから、明るさを変えて標記しただけのものと思われます。TTL露出計の針で確認する限り、F4.8もF4.5も同じ位置を示していました。
 70年代に入ってしばらくすると、FT
IIのマウントをM42に変更したFTXやTTL / TLRや、それを使った色々な銘柄のOEMモデルが海外で販売されました。それらの交換レンズとして、やはり28mmから85-210mmまでをM42化して販売していました。このPetri Auto Zoom 85-210mm F4.5もスペックに関してはEE Petri Zoom C.C Autoと同じですが、ヘリコイドリングやズームリング、絞りリングのデザインが変更されています。コーティングも従来通りのアンバー主体ですが、旧モデルではマゼンタが使われていたのに対し、こちらはシアンコーティングが奥に見えるのが異なる点です。
 以前、EE Petri、SUN Zoom、RE Zoom Auto Topcorで撮り比べたことがありましたが、その時は3つとも異なる描写になったのが意外でした。PetriとSUNは周辺光量が落ち気味で、Topcorは左右の辺の解像力が弱目でした。ただ、モノコート時代の初期のズームレンズとしては、必要にして充分な写りを見せてくれます。比較的コンパクトで携行性が良いのも利点ですね。

 

Petri FA-1 EE Petri C.C Zoom Auto 85-210mm F4.5

作例「基地」
PETRI FA-1 EE Auto C.C Petri Zoom 85-210mm F4.5
シャッタースピード〜1/250秒、絞り〜f5.6(自動露出)

 使用フィルムはフジカラー記録用100(G100と同じもの)で、ナニワカラーキットで現像後、EPSON GT-X980(フラットベッドスキャナー)で3600dpiで取り込んだものをPhotoshopで縮小し、アンシャープマスクを掛けていますが、スキャナーで取り込む際に自動で露出補正されていること以外は、カラーバランス等、一切手を着けていません。

 この画像は85mm側で撮ったものですが、同じ時に同じ被写体を210mm側で撮ると、随分岩肌の色合いがグレーになっていました。ズーミングによる焦点移動はありますが、この場合は無限遠なので関係ありません。フィルターは使っていませんが、内湾までしっかり写っているものの、外海は霞んでしまってはっきり写りません。天候の問題もありますが、以前各社の80-200mmクラスのズームレンズの比較テストをした際も、どちらかと言うと無限遠はそう強くない感じでした。

 

Petri C.C Zoom 45-135mm F3.5

Petri C.C Auto Zoom 45-135mm F3.5

 70年代に入ってしばらくすると、ペトリはズームレンズを自社製の80-200mmやサンに発注していた上記85-210mm以外にも、シグマにもいくつかのレンズを発注しました。後にM42マウント用のものがメインでしたが、ペトリスピゴットマウントのものもありました。この45-135mmは74年の『カメラ・レンズ白書』でテストされていますが、C.C Autoのスピゴットマウントではおそらく最後のズームレンズになると思われます。
 写りは大分黄色っぽい感じになり、絞りを開けると中心部から線が甘めで、周辺部はもわっとしてしまいます。f8位になると充分使えるレベルになりますが、初期の標準〜中望遠系ズームゆえに仕方ないでしょうね。

 

PETRI 28mm M42

 こちらのレンズは末期のレンズで、それぞれAUTO PETRI 28mm F2.8とPETRI MC AUTO 28mm F2.8になります。一目で分かりますが、この二本は全く光学系が異なり、生産していたメーカーも当然異なります。AUTO PETRIは良く分かりませんが、MC AUTOは地野光学製です。
 AUTO PETRIは大変鏡胴が太く、フィルター径が58mmもあって、無駄に大きいレンズです。性能は正直言ってグズグズです(笑。開発した際にテスト撮影すれば欠陥があるのが分かると思うレベルのダメっぷりです。
 これに対し、MCはMF-10とともに販売されたレンズで、色乗りも良くシャープに写ります。

AUTO PETRI & PETRI MC 28mm M42 mount

 

Petri C.C Auto 135mm F2.8 M42 mount
 

PETRI C.C Auto
135mmF2.8 M42

 ペトリは最初期の手動プリセットレンズからF2.8の135mmを作っていましたが、低価格路線の販売に有利な格安のF3.8に注力していたようで、ペトリマウントのF2.8は現在中古市場にあまり現われません。そのレンズも前期は口径が55mmだったのに対し、後期では58mmに広げられ、太く短いイメージになりました。このM42マウントの輸出用レンズもその頃のもので、ヘリコイドのローレットがゴム巻きになった以外はほぼ同じで、コンパクトなF3.5よりもさらに短くなっています。専用フードも標準並みに短いのが特徴です。末期のM42レンズは他社製のものに切り替えられ、同じF2.8でも形が大幅に異なります。

 レンズのコーティングは上記スピゴットマウントのF2.8と異なってアンバーの単色単層です。前玉の面積はかなり大きいの点は同じです。F3.8のトリプレットに対し、こちらはF3.5と同じようなテレゾナー型ですが、後述するカレナールとは後玉の位置が異なり、別の設計のものだと分かります。F3.5と逆光気味の条件で撮り比べたところ、発色は冷色系のF3.5よりもより黄色味が弱く、冷色系と言うか色コントラストが弱いイメージです。シャープネスも中央部は悪くないのですが、左右を確認するとちょっと眠い感じになるのは否定できません。ただし、浅いレンズフードの割りに、逆光にはF3.5のようなフレアーが盛大に出ることはなく、この点では勝っていました。重量はそこそこになりますが、コンパクトですので、携行性は大変良いです。

 

C.C Auto Petri Zoom
70-230mm F4.5

 ペトリ末期の海外向けモデル「TTL」のカタログに並んでいたレンズの一つです。それまでペトリは28mmから200mmまでは自社製のレンズを使っており、21mmや超望遠・ズームレンズは他社製のOEMでした。特に85-210mmはSUN光機のもので、長らくそれを使っていてM42モデルを出してもこのレンズだけは変わりませんでしたが、末期の海外向けM42マウントでは単焦点レンズも含めて別のメーカーのものを使うようになっていました。この70-230mmもヤシノンやソリゴールと同じもののように見えますが、同スペックのシグマのものかどうかは分かりません。同じカタログには45-135mmや55-300mm等のシグマにはないレンズが載っていて、別のところに発注していた可能性があります。

Petri C.C Auto Zoom 70-230mm F4.5 M42 mount
 

 レンズのサイズはまるで300mm F4.5クラスのレンズのように大きく重く、ちょっと持ち運びには難があります。肝腎の写りですが、絞り開放では周辺部の光量低下が甚だしく、f8に絞ってもその傾向は残ります。中心部は悪くないですが端に向かうにつれ解像度は落ち、特に開放では光量低下もあって顕著に見えます。色合いは85-210mmが冷色系なのに対し、こちらは比較的ナチュラルで悪くありません。しかし、やはり軽々と1kgを超える重量とフードなしで25.7cmの長さはどうも気楽に持ち歩けるレンズではないです。どうしても細くて短く軽い85-210mmに手が伸びてしまいます。

 

Petri Zoom 80-200mm M42 mount

PETRI AUTO ZOOM
MC 80-200mm F4.5

 ペトリが77年に倒産し、労働組合が会社を復興させて80年にカメラの生産を再開した際に、地野光学に発注していた望遠ズームレンズ。右のMarexar-CX Zoom 80-200mm F4.5は地野光学のブランドですが、ペトリMF-10の初期には、このままの名前でセット販売され、しっかり「ペトリ工業」の保証書にこのレンズのナンバーが記載されていました。とにかくまずは販売を優先させて、化粧リングの別生産が遅れてしまったためにマレクサー名のままとりあえず出してしまったのでしょう。
 左はしばらくしてPETRI名の化粧リングをはめ込んだもので、PETRI AUTO ZOOM MC 80-200mm F4.5になりますが、面白いことにマクロ機能が追加されていて、微妙にレンズの配置が異なっています。両方ともマルチコーティングされているせいか、なかなかコントラストが良好で、色合いも結構ナチュラルで普通に使えるレンズです。

 

PETRI AUTO ZOOM MC
70-210mm F4.5 MACRO

 MF-10とともに発売された80-200mmズームは、当初「PETRI」名の化粧リングが間に合わず、供給先の地野光学のブランド名の「Marexar」名でセット販売されていました(右側のレンズ)。すぐにこれはPETRI名に改められましたが、その後光学系も見直されて、70-210mmとして新たにセットに加わりました。事実上このレンズがペトリ工業製の最後の35mm一眼レフ用の交換レンズになります。
 レンズの口径はわずかに大きくなりましたが、鏡胴の長さは1cmほど短くなっています。レンズフードはそれまでの引き出し式ではなくなってしまいまして、フィルター径も52mmから55mmになりました。

PetriZoomMC70-210-640.jpg

 

Carenar EEB 28mm F3.5 / 135mm F3.8

carenar EEB
28mm F3.5/135mm F3.8

 ペトリFTEの輸出向けバージョンのカレナSFL 2向けに用意されていたレンズで、EE Petri C.C Autoのシリーズとマウントも含めて同じものです。EE Petriと同じく、この他に35mmと200mm、85-210mmがcarena名で販売されていました。135mmだけは絞りリングのローレットが上記EE Petriと異なるものが使われています。レンズフードにはPETRIの文字が刻まれていないのは当然として、carenaの刻印も135mmのマークもなく、ただ真っ黒になっていますが、ペトリ向けのものと形は全く同じものです。多分REVUE向けのものと共通なのでしょう。

 

carenar
28mm F2.8/135mm F2.8

 ペトリ末期のOEMモデル、カレナSRH 1001とセット販売されていたM42マウントのレンズで、その頃のペトリは自社で新たなレンズを開発する余力はなく、様々なレンズメーカーに発注してPETRIの名を冠して発売していました。しかし、カレナはボディと標準レンズこそペトリに生産依頼していましたが、レンズは独自にやはり色々なメーカーのものをcarenarとして出していたので、必ずしもこれらがPetriと直接的なつながりはないかも知れません。鏡胴の作りはマミヤTLシリーズの頃のセコールや、ヤシカTLエレクトロの頃のヤシノンに似ています。両方ともかなり前玉が大きいのが特徴です。

Carenar 28mm F2.8 & 135mm F2.8

 

EXAKTA FE2000専用レンズ

 M42ながら独自の機構で開放絞り値の自動伝達を可能にし、シャッター優先ながらTTL-EEを達成したFE2000用のレンズ。
開放値を伝える出っ張りとEE用のカムが追加されていますが、交換レンズはPetri製ではなく別のところにイハゲー・ウェストが発注していたものになります。

EE AUTO EXAKTAR 35mm F2.8
EE AUTO EXAKTAR 135mm F2.8

 

Petri M42 Mount Lenses

 ペトリの初代一眼レフのペトリ・ペンタ以降、M42マウントを廃して専用バヨネットマウントになりましたが、72年の輸出用TTL/FTXからM42マウントが復活し、また、末期のMF-1でもM42マウントが使われたことから、色々な種類のものがリリースされましたが、それらの大半が他社製のOEMものになります。
なお、Marexerは地野光学のレンズでMF-10が発売された時に同時に梱包されてセット販売されていたものですが、すぐに化粧リングをPETRI名にしたものに代えられました。
AUTO PETRIの28mmは三竹光学製で、大柄な割にレンズの性能は驚くほど低いのが特徴(?)です。
70-230mmはシグマ製とのことです。

前列左から、
C.C Auto Petri 135mm F2.8
Petri MC 135mm F2.8
PETRI MC AUTO 28mm F2.8
AUTO PETRI 28mm F2.8
K.C. Petri Orikkor 135mm F3.5
後列左から、
Marexer -CX Zoom 80-205mm F4.5
PETRI AUTO ZOOM MC 80-205mm F4.5
AUTO PETRI 80-205mm F3.9
PETRI MC AUTO ZOOM MACRO 70-210mm F4.5
C.C Auto Petri ZOOM 70-230mm F4.5

 

PETRI 2X Tele-Converter.jpg

PETRI 2X
TELE-CONVERTER

 ペトリ純正のテレコンバーター。ゴムローレットが巻かれているところから、70年代に入ってからのものと思われます。EE機構には対応していませんが、普通に絞り込み測光としては使えます。
 とても軽くてコンパクトなので、個人的に登山時の荷物を増やしたくない時に重宝しています。また、ペトリの105mmはほとんど市場に出て来ないので、長焦点レンズ代わりに使うこともできますが、もちろん周辺部の描写は甘くなるので、中央をクローズアップさせるような構図で使うと良さそうです。
 このテレコンバーターを自社で生産していたのか、はたまたケンコー等のメーカーに委託していたのかは分かりませんが、基本的にレンズコーティングがアンバー主体のペトリの各レンズと全く異なり、このテレコンで使われているのはシアンのみですから、多分他のメーカーに発注していたものと思われます。

 

PETRI Reries

どこのメーカーでも出していましたが、ペトリからもレリーズが販売されていました。もちろん自社ではなくて、写真用品メーカーに発注していたものですが、どこ製かな不明です。60年代から現代にかけて、このタイプが標準になりましたね。
PETRI Release

 

PETRI P Mount Adapter

P mount adapter

 ペトリは最初にペンタでPマウントを採用しましたが、次のモデルのペンタV2以降、独自のスピゴットマウントに切り替えてしまいました。そのため、古いレンズを有効に使えるようにマウントアダプターが用意されました。しかし、これがちょっと問題で、スピゴットマウントにはボディマウント側に締付け用のリングが付いていて、その直径を超える太さの筒は、たとえこのアダプターを付けても、スピゴットリングに引っ掛かり、所定の位置まで落とし込めない難点があります。つまり、かなり細身のレンズ以外は使えないことになります。実は、中間リング用に作られたものとも言われています。

 

PETRI EXTENSION
TUBE SET

 M42のスクリューマウントで連結される中間リングの先と後に、それぞれペトリのスピゴットマウントのアダプターを装着して用いるセット。早期のものは中間リングの淵に2本の線がワンポイントで入っていました。自動絞りには対応していませんので、レンズの絞りをManualにセットして使わないと、Autoのままでは全て開放絞りになってしまいます。
Petri Extension Tube

 

Carenar Close up lenses & Extension tube

carena
Close up lens
Extension tube

 こちらもカレナSRH 1001とセット販売されていたアクセサリーで、Petri名のM42マウントの輸出向けモデルのものと基本的に同一のもののようです。

 

PETRI EXTENSION
BELLOWS

 一本レールの簡易ベローズは各社で出していましたが、それらの多くが同じ下請けメーカーで生産されたものです。ペトリのベローズはレールが折り畳めないようにコストダウンされています。また、中間リングのようにM42+アダプターとなっておらずにマウントは固定されていますが、縦位置撮影用にボディ側マウントは回転させることができます。

Petri Extension Bellows

PETRI BELLOWS

 上記の60年代のベローズは小林精機(KOPIL)に発注していたものでしたが、68年に同社が倒産した後は、同じモノレール型ながら、大分モダンな形状のものになりました。とは言え、アオリ機能は付いておらず、ここでも必要最小限の操作のみになっています。旧モデルからわずかに進化した点は、三脚を取り付ける台座側でも前後させることができるようになり、マウント部も回転して縦位置撮影が容易になったことが挙げられます。
 蛇腹の繰り出し量は最大で95mmになり、標準レンズでおよそ2倍の拡大率になります。ペトリには専用マクロレンズは発売されておらず、中間リング等と併用して無理に拡大率をアップさせても、レンズの解像力は落ちてしまいますので、このくらいの倍率が妥当なところなのでしょう。
PetriBellows2-640.jpg

 

Petri CdS Meter

PETRI CdS METER

 ペトリV3とV6、V6IIには外付け式CdSメーターをクリップオンで取り付ける台座がありましたが、それ以外のマニュアル機ではこのアクセサリーシューに取り付けるシンプルなCdSメーターが用意されていました。もちろんシャッターにも絞りにも連動しませんので、手動でフィルム感度とシャッタースピードをメーター側のリングでセットし、針の指す絞り値を読み取ってカメラ側の絞りリングを回す仕組みです。大変コンパクトで、他社のレンジファインダーカメラ等でも有効に使えます。

 

PETRI CdS METER

 ペトリ・フレックスV3〜V6II用に長らく生産されていた外付け式のCdSメーター。もちろん外光式ですから、ファインダー内で露出を測ることはできません。
 使い方は、まず上から見て右側面に出っ張ったボタンを押しながらメーターをボディ側の軍艦部前面に出た二つの突起に噛み合せ、ボタンを離すとロックが掛かります。その際にメーター上のシャッターダイアルの位置とボディ側のシャッターを揃えておく必要がありますが、装着後にメーター側のダイアルを回せば、カメラ側のダイアルの突起がメーター側の溝にカチッと落ち込んで自動で噛みあうようになっています。セットが完了したら受光レンズのところのリングを「OFF」の位置から「L」か「H」に回し、スイッチを入れます。「H」は日中の屋外用のモードで、「L」は室内等の暗い場合に選択します。普通は「H」で問題ありません。そして被写体に向けて針が示す位置に黄色いプリントの自分が選んだ絞り値が合うように、連動するシャッターダイアルを回すか、逆にシャッタースピードを決めておいて、針が指すところの絞りを読み取ってカメラに手動でセットするかになります。
 電池はH-D型一個を使用し、丁度四角くなったメーター本体の下側に電池ケースが設けられています。
 ペトリはシャッターボタンが前面にあるので、このような形でシャッターダイアルに簡単に連動させることができます。しかし、やはりTTLに慣れていると面倒くさいことこの上なく、また、外部測光式は被写体に向けているつもりでも、結構外れていることが多く、かなり大雑把な測光になるのは仕方がないですね。

PETRI V3 / V6 CdS Meter
V6 & CdS Meter

 

Accessory shoe

Accessory Shoe

Vシリーズのボディを用いるモデルは、69年のFT EEがホットシューを備えて登場するまで、ずっと取り外し式のアクセサリーシューが用意されていました。ペンタからペンタV3初期までは巻き戻しクランク側の軍艦部側面にネジ穴が刻まれ、ここにシューをネジで固定します。V3後期からV6はファインダーアイピースに挟み込むタイプになりましたが、ペンタV2やV3前期のアイピースにもスリットがありますので、この場合どちらのタイプのシューでも使えました。

 

Standard Lens Hood

 71年にペトリが発表していたシステム一覧を見ると、面白いことに広角用のレンズフードはそこに記載されておらず、標準レンズ以上の焦点距離のもので用意されていました。しかし、ペトリの考え方なのでしょうが、望遠レンズのフードは300mm以上の超望遠の場合は別として、200mmまでの常用範囲のものについては鏡胴の口径と同じ太さのフードがねじ込まれ、その先にキャップを被せてそのままケースに仕舞うように考えられていました。つまり、フードは初めから一体化させたような発想で、浅目に作る必要があるズーム85-210mm F4.8では、フードを別に作らずに、筒の先を初めから延長してフード代わりにしていました点からも、そのこだわりが見て取れます(末期のM42用レンズは多くが他社製で、これに当てはまりません)。
 これに対し、28mm・35mm用の広角レンズフードが何ゆえ設けられていなかったのかははっきり分かりませんが、標準レンズ用は複数のサイズでしっかり設けられていました。

Standard Lens Hood
 

 その標準レンズ用のフードは、初期のオリコール50mm F2用の5.1cm径、C.C Auto 55mm F1.8その他用の5.4cm径、C.C Auto 55mm F1.4等用の5.7cm径の三種で、それぞれフィルター径が49mm・52mm・55mm用のものになる訳です。これを筒の先端に被せて横に出たノブをねじ込んで、内側の板バネになった金属のリングを押し出してレンズの筒に押し当てて固定するタイプです。皆上面にPETRIの刻印がありますが、オリコール向けのものだけは底にもOrikkor名が刻まれています。どれも作りは大変良くて、望遠レンズ用の単純なねじ込みフードとは全く質感が異なります。これまで使ってきた各メーカーのフードではトプコンRE用のバヨネットタイプのものが最も良くできていると思いますが、さすがにペトリはトプコンのように逆さに装着してキャップを付けてカメラケースに収まるようには設計されてはいません。しかし、52mm用・55mm用はレンズに付けっ放しにして、汎用の58mm用クリップ式レンズキャップをフードに付けられるので、撮影時に一々フードを付け直すことがなくて便利です。フード用の専用革ケースはストラップに通して吊るすようになっていますが、撮影時に邪魔になるので使うことはほとんどないですので、レンズに付けっ放しにしてキャップが使えるのは有効ですね。ちなみに、52mm用と55mm用では固定ノブの位置が異なり、52mm用では向かって9時の位置に、55mm用は7時の位置にあって、ともすると同じに見えて間違えそうな二つを、一目で見分けやすくするためにこんなところをわざわざ変えたのかも知れませんね。

 

 

SLR SET BAG

 ペトリ一眼レフカメラ用セットバッグ。小型で持ち運びに具合が良いサイズですが、あまり収納性は良くありません。ケース付ですと画像の通りカメラ1台とアクセサリー類少しに135mmレンズ1本を収めることができます。ケースなしなら下に広角レンズと135mm、アクセサリーやフィルム類を収め、中敷を下ろして上にカメラと他の広角レンズを1本入れておけます。見た目に結構おしゃれで、今でも違和感なく使えると思います。
Petri SLR Set Bag

 

Petri MF-10 Set Bag

MF-10 SET BAG

 80年にペトリ工業がMF-1を復活させて、グレードアップしたMF-10ともどもセット販売した際に使われたカメラバッグ。MF-10のセットは標準ズーム38-80mmを着けたボディに、望遠の80-200mmズームを収め、これにバウンスマンと言うストロボとケーブルレリーズがセットになったものです。バッグにPETRIのマークはないですが、カタログにしっかり写っていますので、この状態で販売されていたのは間違いありません。人工皮革ですが、なかなか良く考えられた作りで、前面に小型三脚を留めるベルトが付いているのも使い勝手が良いです。

 

Mr. Bouncer

 PETRI MF-10の発売とともにカタログに載ったオート・ストロボで、「ミスター・バウンサー」と呼ばれたものです。タカラ製作所(Topman)から発売されていた「バウンスマン」と同じもので、ヘッド部分を上方に持ち上げると、それに連動して角度に応じて発光窓の上辺の隙間から反射板が少しずつ出てくる仕組みになっています(最大90度)。
 背面に「Thristor(サイリスタ)」と表記されていて、シリコン制御の半導体が用いられているようです(Topmanのバウンスマンにも同じプリントがあります)。
 ガイドナンバーは明記されていませんが、ASA100で11m・f2.8となるので、GN28相当のストロボになります。広角用のアタッチメントは用意されていなかったようで、発光窓に取り付ける溝等はありません。
MrBouncer-640.jpg
 

 使い方は他の汎用ストロボと変わりなく、ストロボ側に付くセンサーで距離を測定し、発光量を変化させるタイプで、あらかじめ用いるフィルムの感度に合わせた絞り値をカメラ側で固定しておかないといけません。例えば、ASA100なら1-3m内ならf8、1.3-13m内ならf4にしておくことで、ストロボ側で適当な光量に調整してくれます。ただし、f4では7.5mまでが最大カバー範囲になるので、あくまで13mと言うのは絞りを自分で明るいf値にするか、高感度フィルムを使うかしないと届かない数値ですから、ただの遠距離側を示す程度のものと捉えておかないといけません。
 

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