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フェラーニアにも機関車トーマスっぽい面構えのBoxカメラ、ゼータがありましたが、こちらはもうちょっと素っ頓狂な顔つきの、いかにも平和そうなカメラ、デルビィです。
メーカーのRo-Toとは“Ropolo - Torino”の略で、戦前の38年には「Elvo(エルヴォ)」を、戦後の48年からは「Simbi(シンビ)/ Nea Fotos(ネア・フォトス)」を発売しいたように、古いメーカーです。これらはいずれもベークライト製の127フィルムを使う簡易カメラでしたが、Box型ではなく、「シンビ」は見た目だけは35mmレンズシャッター機の雰囲気です。 |
それが50年になるとベルトリーノと言う資産家を迎え、彼の企画が前面に押し出されるようになって、カメラも一新されます。で、このデルビィもその時に登場したもので、以降、皆120のBoxカメラばかりになっちゃいます。
ワテの勝手な想像ですが、「Juve(ユーヴェ)」と言うカメラがこの頃出ているのに、全く同じ姿形のカメラがダーストから「Gill(ジル)」と言う名で戦前に出ていることからして、ロトがカメラの設計をしていたのではなく、デザイナーの持つ設計図面を買い取ったのか、他で製造していたカメラを買い取って売っていたんでしょう。 |
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さてさて、このデルビィですが、これは単純な120フィルムを使う6x9判のBoxカメラで、レンズも焦点距離が明記されていない単玉である上、シャッターもT(バルブ)とI(1/30秒)だけの単速ギロチンと言う塩梅。巻き上げも赤窓ですから、「これ以上単純化できないでしょー」と思わせますが、一寸の虫にも五分の魂、このカメラも一つだけカラクリがありまして、それは背後の二つの赤窓が暗に物語っています。正面の二つの反射ファインダーは、縦位置・横位置用のものですから、Boxカメラには付き物ですが、覗いて見ると細い縦線が左右に刻まれていて、画像をトリムしています。 |
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回りくどいことを言ってすんませんですが、つまり、6x9判と6x4.5判の切り替えができるようになってる訳です。向かって右横のレバーを前後させるだけで内側のマスクが畳まれたり開いたりする訳です。
絞りも一応f11とf16に切り替えられますが、レンズそのものは前記の通りノンコーティングの単玉で、焦点も固定ですから、焦点面をカーブさせて周辺部の収差をできるだけ押さえてます。ま、でもこりゃ気休め程度のものでしょう。かえってサイズ切り替え用の2枚の遮光板もカーブさせなければならなくなってますから、作る側からするとちと面倒になったんじゃないかなぁ。
それはともかくとして、右の通り面構えと同様に、素っ気なく薄っぺらい紙の箱に入れられた状態で売られていたように、なーんの飾り気もないカメラですが、妙な愛嬌がありますねぇ。 |
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