FOTOCAMERE ITALIANE-PERSEO

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ペルセオII型 B.ペルセオ50mm f3.5
PERSEO mod.II B.PERSEO 5cm f3.5

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 ミラノのOfficina di Precisione Meccanica e Fotografica S.r.lで1947年に作られ、翌年に発売されたライカコピー機。二つの距離計用丸窓に挟まれた四角いビューファインダーがそれを感じさせますが、どうもこのカメラは色々なところが外れてますね。その最たるものがシャッターボタン。よく見て頂きたいんですが、このカメラのシャッターボタンは軍艦部の前面にありますでしょ〜。
 ライカコピーのフォーカルプレーン機で、前面シャッターのカメラなんて見たことがありません。しかもレンズに近いところにはなく、妙に端に付いていますんで、そりゃもう押しづらさ満点でしょう。
 軍艦部自体も考えてみるとファインダー部の出っ張りが一切なく、平らな上面になってます。でもノブやダイアルは普通に出っ張って取り付けられてます。この辺は気にしなかったんでしょうかねぇ。

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 さーてさて、こちらのペルセオをちとご覧あれ。何だかちびっと違う感じがするでしょ。ん?気付かないって? ほら〜、正面にネームが刻まれてるでしょ。シャッターボタンの位置もちょっと中央に近付いてますしぃ。それに巻き上げ&巻き戻しノブがでっけーし、シャッターダイアルもアクセサリーシューの位置もちゃう。で、下のスタンダードモデルを見ると軍艦部のパーツはほぼ同じであることが分かりますでしょ? んなのに、ボディの裏蓋の蝶番の向きが逆だし、不思議だぁ。たった200台しか作られなかったモデルなのに、なしてこげなバーヂョンさつぐるんだべさ? 大して変わんねのにねぇ。
 こちらのペルセオはイタリーのコレクターであるMr.Francesco Crisciのものでして、レンズはノンオリジナルのWega用Trixarが付いているものの、何でも『300 Leica Copies』にこのカメラの画像を提供されたんだそうですよ。まあ、ほとんどの方からすると興味の対象外でしょうが、イタリアンカメラ好きの者にとっちゃよだれモノですね(←ほとんどいねぇっちゅーの)。シリアルは不明ですが、多分、カウンターが内蔵されたこちらが後期モデルなのでしょう。ちなみにフィルムの巻き戻しボタンがレバー型になり、巻き上げノブの後ろに移動してます。
 ところで、ペルセオの裏蓋は正面右側のロックから分かる通り、蝶番式にパカッと開くタイプですが、絶対普通のバルナック型のタイプより効率的です。ただ、余計な部品が飛び出るので、デザイン的にはマイナスですが、バレーリオではこうした点には無頓着だったのかもしれませんね。
 シャッター速度はB.1/20〜1/1000秒で、スローはありません。幕も一般的な布幕ですので、基本的な機構は実は平凡なカメラです。ただし、フィルムのコマのサイズも変わってまして、縦24x横34mmで、いわゆる日本判(24x32)とも違うビミョー判でして、普通の36枚撮りフィルムで40枚の撮影ができました。でも、その割りに横長のボディですねぇ。
 背面の画像を確認して頂ければ分かるのですが、このカメラのつむじ曲がりなところに、距離計窓が通常の左側ではなく右側に付いていることが挙げられます。ですので、正面から見て右側の距離計窓が巻き戻しノブの軸を避けてビューファインダーと不思議なほどくっ付いています。距離計のカムは左側の窓の中にあるミラーと連動しているのが一般的ですが、そうなるとこのカメラの場合カムの位置と窓が近過ぎますね。精度の点で苦しかったことは想像に難くないですな。
 メーカー名は妙に長ったらしいですが、このメーカーは一般的には「Boniforti & Ballerio」と表記されます。で、この二つの名は人名で、戦前に二人で木製カメラを作っていたそうなんですが、ボニフォルティ氏が亡くなって、このペルセオは事実上アゴスティーノ・バレーリオ氏が一人で設計・製作したものなんですね。この後、中判距離計付きカメラのコーベルも作りました(下記参照)。これもオモロいカメラです。だって、高速側がフォーカルプレーン、低速側がレンズシャッターなんて、他にはまずないっしょ?
 そりゃそうと、このカメラは何だか憎めない愛嬌のある面構えです。しかし、イタリアのライカコピーは日本と違ってそっくりさんはほとんど作りませんね。わずかにBorlettiのEffebiとBoscoliのFiumeaがIIIbまんまコピー機を作ってます(この二つはただのネーム違い)。まねっこは好まない性格なんでしょうね。でも、ほとんどのメーカーが消えちゃいましたが。ちなみに、まんまIIIbを作っていたBoscoliは今でも立派に会社を運営してますよ。まねっこは偉大だったりして。

ペルセオI型 B.ペルセオ50mm f3.5
PERSEO mod.I B.PERSEO 5cm f3.5

 こちらはペルセオのI型で、距離計のないモデルです。よく見ると裏蓋のストッパーが向かって左側に付いていますね。考えてみるとこちら側に付いているのも珍です。シャッターボタンが左にある限り、絶えず握っているのは左側ですから、ここに出っ張りを付けると違和感があるのでしょう。すぐに距離計の付いたII型ではここを改善していますが。

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 他にもII型で巻き上げノブの後ろに付いている巻き戻し用のロック解除ボタンがこのカメラでは背面に廻っていますし、シャッターダイアルや巻き上げ・巻き戻しノブのデザインもちゃいますね。カウンターもこのカメラは独立していて、真ん中に付いています。アクセサリーシューはどっかにどろんしちまったようですが、やはり付けられていた位置が異なりますね。で、決定的なのがシャッターボタンの位置でして、こっちの方が若干内側に付いてます。なしてこんなとこ変更したんだべさ、と思いたくなりますが、わがんねと答えが返ってきます。

The image proffer: Mr.Marco Antonetto

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コーベル クセナー105mm f3.5
KOBELL SCHNEIDER-XENAR 105mm f3.5

Kobell1.jpg  戦後ボニフォルティに付いて木製大型カメラを作っていたアゴスティーノ・バレーリオは、ボニフォルティの死後、独立して前記ペルセオを開発し、販売しましたが、どうも売り上げが伸びないまま35mmカメラからさっさと撤退。そして「中判・大判こそ我が原点じゃー!」と気炎を上げたかどうかは分かりませぬが、数年の研究期間をおいた後、1953年についにこの画期的な中判カメラ「コーベル」を発売することになりました。いやあ、それにしても独創的x2と言う感じ。オモロイカメラです。
 まずスペックを簡単に申し上げときま。画像サイズは6x9でフィルムホルダー併用の120フィルムを用いる距離計連動カメラです。でも、普段はピントガラスが付いていて、これを使ってじっくりピント合わせをしてももちろん可。で、最もオモロイところですが、実はこのカメラ、フォーカルプレーンシャッターとレンズシャッターの両方を備えてるんですよ〜。「え゛何で?」と思われるでしょうが、やっぱレンズシャッターでは高速側がキツイですから、そのためにフォーカルプレーンを入れちゃったのでしょう。大胆x2です。 Kobell2.jpg
Kobell4.jpg  そのフォーカルプレーンシャッターは6x9サイズなのに何と布幕縦走り。左右の端までずいぶんな長さになりますが、見たところ左右のズレもなく頑張って「ジャキーン」とシャッターが下りてくれます。意外とショックは少なく、この点一眼レフのようなシャッターブレにビビる必要はなさそうです。B.1/20〜1/1000秒がフォーカルプレーンシャッターの使える範囲。
 反対にレンズシャッターは一般的なシンクロ・コンパーで、B.1〜1/500秒となり、スロー側がたっぷし。フラッシュなども全速使えますから、暗いところはこっち。

 ところで、布幕縦走りシャッターと言うことは、上下に少なくとも二本の横軸が置かれていて、巻き上げギアも横軸になりますからノブも側面に付くのが道理。で、コーベルではシャッターダイアルと併用した巻き上げノブが向かって左横に出っぱってま。しかも回転式(!)なんで、触れないようにカバーが設けられてま。スピードを変更する時は、巻き上げ前にこのノブを摘まんで引き出し、軸側に付いたマークに速度を合わせます。1/1000秒の時だけノブの上にあるレバーを「1000」と書かれた側にスライドさせます。 Kobell3.jpg
 『Made in Italy』によると、このカメラはスイス空軍に納入されたようで、その際のテストで安定して1/1000秒を正確に出したようで、シャッターの優秀性が紹介されてま。でも、フィルムホルダーを使わにゃならんのはいささか面倒。で、55年にはフィルムを巻き上げるスペースをボディ内に確保したコーベル・フィルムというモデルを発売しましたが、これはせっかくのフォーカルプレーンシャッターの機構をそっくりくり貫いてしまったもので、これまた大胆なモデルチェンジだった訳。サイズも6x7.5になっちまいました。 Kobell5.jpg
 レンズは中判ではおなじみのクセナー。ここにガリレオのテーログでも入れてもらえれば良かったんすが、プロユースのモデルだけにより信頼度の高いものを使ったのでしょうな。ちなみにペルセオが27,000リラだったのに対し、100,000リラもしたんだって。(←と言われてもどのくらい高いのか分からん)
 シャッターボタンは前面に一つ、軍艦部上面に一つ、更にレンズシャッター部に一つ、そこからレリーズでつながれる取り外し可能なものが一つと、なーんと計四つもあるのが笑えます。一度に全部指を掛けることが出来る人はかなり指の関節がやっこい人だと言えましょう。
 ファインダーはアクセサリーシューに取り付ける外付け式。「コーベル・フィルム」では距離計窓の中間にバルナック型らしく四角いビューファインダーが付きましたが、元祖はなかった訳。距離計付きホースマンは逆に最後のER-1になって外付け式になったから、考えてみるとオモロイこってす。ま、こればっかりは内蔵型の方が使いやすいのは間違いないこってす。

Kobell6.jpg  コーベルのシリーズは『Made in Italy』によると、全体で約400台の生産だっちゅーこってすが、ここら辺は非常に怪しい数字で、実はあまり正確ではありません。まあ、少ないことは確かでして、ワテも探してはいたものの、今回初めて巡り合うことができました。初めて手にした時はその大きさにビックリ。確実にノリタやペンタックス6x7などの一眼レフに見劣りしない「オッス」なカメラっす。

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