FOTOCAMERE ITALIANE - PeB

Fotocamere Italiane - INDEX -

PeB

P.&B.

PeB アウダックス アナスター 105mm f8
PeB Audax Anastar 105mm f8

Audax正面

 PeBとはP.& B.のことを指すもので、トリノにあったメーカーです。何しろ資料が少なくて、メーカーについてはそれ以上分かりません。― 完 ― と言うのは冗談ですが、実際この「P」と「B」が何を指すのかサッパリ分からないのは事実です(笑。『Made in Italy』でも『La Produzione Fotocamere Italiane』でも、会社に関する記述はほとんどなくて、分かっているのは戦時中から終戦直後まで、トリノでファミリー向けのカメラを数機種作り、それらを卸業者のRopolo社を通じて販売していたと言うことくらいです。何やらピアツェンツァのPhoto Alfaと言うメーカーに繋がりがあるようです。
 PeBはまず40年(46年との説もあり)にこのAudax(アウダックス)を発売し、それと並行するように角を丸めてより高価なレンズと反射式ファインダーを加えたImpero(インペロ)と言うモデルも作っていました。他にもすぐにレンズをf6.3にしたTennar(テナール)と言うモデルを出してます。

折り畳むととてもコンパクト

ファインダーは枠のみ

 アウダックスは自社生産の2枚羽レンズシャッターで、T.Bの他は1/25、1/50、1/100秒の3速ですが、エバーセット式ではない、しっかりしたものなのは清掃の際に分解して良く分かりました。でも、中身を確認するまでは、全体的に材質も作りも安っぽいところから、どうもただのギロチン型リーフシャッターをイメージしちゃいました。そのシャッターは向かって5時の位置にある小さなレバーを横に倒します。シャッターボタンと言うかレバーは7時の位置にありますが、これは蛇腹を伸ばした際に、前蓋に埋め込まれたバーの先にある板と噛み合い、ボディ側のレリーズボタンと連携しているのはなかなかのものです。レリーズボタンは蛇腹を畳んだ際に押し込むと、深く沈んだままになって携行性を考慮して作られてます。気配り良好ですが、それ以前にレリーズボタンのストロークが深過ぎ(笑。
 アナスター10.5cm f8と言うレンズは、意外にしっかりとした3枚玉で、時代が時代だけにコーティングはないものの、なかなか良く写ります。ただし、レンズの取り付けはリングネジで固定するものではなく、細い針金を丸めたようなリングバネを使って枠の上からレンズを固定しているように、とても立派とは言えないものです。焦点調節は前玉回転式。ベークライト製のリングを回しますが、これも経年劣化で割れちゃいそうでコワいです。 アナスター105mmはトリオター型
赤窓式のフィルム巻上げ  フィルムの装填はかなり楽で、裏蓋を外すと円盤状のノブが付いた薄い板羽がフリーになり、このノブを引き上げればすんなりフィルムを納めることができます。他社のものでは軸を引っ込めて入れるものが多いですが、結構ギチギチに作られていて、現代の厚めのプラスチック製スプールでは入れ辛いものが多いですけど、これは本当に楽です。PeB、グッジョブ(^∀^)b
 当初、購入したままの状態では蛇腹の傷みが激しくて、とても使えたものではなかったですが、その補修をすべく蛇腹を本体から外してみると、フィルムのレールに見える部分が実はそうではなくて、ただのトリミング枠であると分かりました。なぜなら、この左右の縦枠に爪が付いていて、それを内側に曲げて接着剤止めされた蛇腹の端を押さえ込んでいるんですもん。当然平面性など皆無で、逆にフィルムがここに当たると乳剤面ですから傷が付いちゃいます。感光面を平坦にするために2本のローラー・テンショナーが左右にあり、ここが蛇腹を止めていた枠よりわずかに出っ張っていて、平坦さを保っているんですね。でも、ちょっと古くなってロールのキツいフィルムでは、さすがに6x9判だと厳しいかも。
 フィルムの送りは単純な赤窓式。モノクロフィルムで撮る限り、密閉性が高いので隙間から感光するようなことはありません(←当たり前だっちゅーの)。ボディ底面のノブを起こして回しますが、この赤窓の位置がイルフォード・フィルムの遮光紙の薄い印刷の文字では読みづらいくらい濃い色で、良く見ていないと「1」などはうっかり見落としてしまいます(←オマエが悪いんだろがー^^)。
 前蓋のレバー兼支柱を引き出し、蛇腹を伸ばしてファインダーを立て、赤窓を確認してフィルムを送り、絞り・シャッター・焦点距離を選択してシャッターチャージをし、構図決めをして「パチリ」。現代のカメラからするととんでもなく面倒ですけど、一枚一枚をじっくり撮ることができるとも言えますね。

Fotocamere Italiane - INDEX -