FOTOCAMERE ITALIANE - O.R.M.A.F.

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ORMAF Speed Master 408

ORMAF s.r.l.

O.R.M.A.F. スピードマスター 408 ルクスライト128mm f5.6
O.R.M.A.F. Speed Master 408 Luxlight 128mm f5.6

ORMAF正面

 イタリアンカメラには変わったカメラを専門に作るメーカーが色々ありましたが、このO.R.M.A.F.(オルマフ)と言うメーカーもかなりの高珍度なメーカーです。何しろ1962年に市場に現れた時から、1枚に4コマ同時撮影のパスポート等の証明写真用のカメラOnlyでやってきたんですから。てか、それで商売が成り立つのかどうか不思議なもんですが、驚くべきことに今でもこのメーカーは「ORMAF s.r.l.」として健在で、しかも、未だに証明写真用カメラを作っているんだから、ビックリ度は2乗ですね。かえって専用カメラに特化したのが功を奏したのかも知れませんが、何はともあれ大したものですよ。
 で、このメーカーは、当初「L.A.I.F.E.」(Laboratorio Artigianale Italiano Foto Elaborazioni)と言うところからCELERと言う名前で長方形の木箱に4つのレンズと1つのビューファインダーを付けたカメラを発売したのが始まりです。すぐに次のモデルからO.R.M.A.F. CELER 105と言うモデルをとなって、フェラーニア・ファルコSなどでも使われていたオフィチーネ・ガリレオ製ののテーログ105mm f6.3レンズを使っていました。その後107と言うモデルからインスタントフィルムを使うようになり、CELER 128と言うモデルでレンズがLux f5.6と言う名の、製造元不明単玉レンズになります。次の128Rではレフレックスファインダーが付くようになりました。

側面のつまみはシャッターレバー

上部の反射ファインダーはピントの確認ができます

 これらを受けて、外見を大幅に変更してコンパクト化を図ったのがこのスピードマスター408で、製造年は1970年頃になります。この次のモデルの508は、レンズもボディもファインダーも同じで、ただ正面のパネルのみデザインが変わってロゴマーク等が一新されただけでしたが、それが72年に出ていますから、この旧ロゴの408はやはり70年頃登場とするのが妥当のようです。
 その後はボディを長方形のシンプルなラインに戻し、Studio Masterシリーズとして今も作られている訳です。
 前置きが長くなりましたが、このO.R.M.A.F. Speed Master 408と言うモデルは、ポラロイドフィルムを使って一度に4枚のパスポート写真を撮るもので、レンズはLuxlight 128mm f5.6となっている単玉です。一応シアン系コーティングが施されています。
 4つのレンズの中心部にあるノブは絞り用。内側にこのレンズフードくらいの面積の薄い金属盤があって、そこには大中小3つの穴が並んだものが各4つ配されています。つまり、計12個の穴が空いている円盤を回転させることで、四つのレンズに同じ大きさの穴が当てはまる仕組みです。これらはf8/f11/f16で、開放にはなりません。単玉ゆえf5.6だと像が乱れそうですんで、これで良いでしょう。
専用フードはただはめ込むだけ
レンコン風ギロチンシャッター  シャッターは1枚の板に4つの丸い穴が空いたものが2枚あって、それぞれが上下するギロチン式。1/100秒の単速ですが、正面下部にダイアルのようなノブがあり、これを−(マイナス)側に回すと多少スプリングの力が強まってスピードが強まります。+(プラス)側にすると遅くなって、イメージ的に1/50・1/100・1/150の3速と言った感じになります。ちなみに横向きにしてシャッターを切ると、板がスムーズに送られずにスプリングを強めてもちょっと遅目のスピードになります。
 インスタントフィルムバックの取り付けは半円形のノブを回して固定。反対側は付いていませんが、先にそちらを噛み合わせ、この画像の後ろの上下にあるノブを回して出っ張り部分をフィルムバックの端に乗せて外れないようにします。
 後ろから見て右上に付くファインダーはアルバダ式のビューファインダー。パララックスももちろん補正されていますが、ちょいとテキトーですね。
 左側に付くグリップは、スタジオ撮影では不要な気もしますが、なぜか付いています。
4つに別れた暗箱
 正面中央上部のレンズはビューファインダーのようですが、実は反射板の入ったレフレックスファインダーのレンズです。つまり、驚異の5眼レフと言う訳です(笑。3段目の画像で分かりますが、上部に覗くところがあって、そこに擦りガラスの板がはめられています。これでピント位置を確認するんですが、カメラ自体はスタジオで固定して使うものだけに、ヘリコイド機能はありません。1〜2m程度の位置でレフファインダーを確認しつつ、被写体ないし自分が前後してピント合わせすることになります。
 2段目の画像で確認できる、側面のノブはシャッターのボタンならぬレバー。これを上に引き上げる(と言うより下から押し上げる)と最上部のちょっと手前で「カチャン」と音がしてシャッターが切れます。そのままノブを下げると遮光板も下がって元に戻ります。
 ボディはプラスチックと言うよりベークライトみたいな重たい感じの樹脂製。本体はざらざらした砂地塗装を施してあるような感じですが、これは型自体に施された模様になります。さすがに当時のプラスチックの質の問題からか、底部の三脚座のメスネジをはめ込んだ部分の表面がひび割れ気味になってます。また、シャッターのノブも実は割れてしまっていて、まるでボタンのような状態になってましたが、自分でエポキシパテを盛って指掛かりの良い形にして、黒くとそうしておきました。後で確認してみると、オリジナルもこれとそっくりな形でした。
 こんな具合に、カメラ自体の作りは簡易カメラ並ですが、写真を生業としている人達が使う専用のカメラであることは間違いなく、全くもってヘンテコなプロフェッショナルカメラと言えますね(^o^)v

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