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これまた奇怪な35mmカメラでしょ? レンズが前に3つ付いてますが、別段3コマ連続で撮るものではないんですぞ。実はこれ、三原色カラーのカメラなんです。「何じゃそりゃ?」と思われるでしょうが、簡単に言うとモノクロフィルムをカラーで見るというシロモノなんですよ。「え゛? 何それ?」と言う声が聞こえてきそうですが、まあ、そう言うこってす。詳しくは後で説明させて頂くことにして、まずはスペック等をご紹介致しましょう。 |
O.M.I.はOttica Meccanica Italianaの略でして、戦前から光学機器を作っていたローマにある会社です。特に戦時中の軍用航空カメラに秀でたものがありましたが、戦後は47にこのサンシャインと、50年代に入ってRollinaと言う冴えない35mmカメラを作っただけで終了。でもこのサンシャインのように奇想天外な独創性を持っており、非常にアイデアに満ち溢れたメーカーでしたが、気合が空回りしたんでしょうね。このカメラもほとんど売れずに終わってます。 |
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で、レンズは35mmのオミテルナと言う名のf3.5のレンズが3枚付いていまして、これはノンコーティングの2枚玉(?)のようです。それで35mmフィルム上に10x12のサイズで別々に焼き付けるのですが、各レンズの後ろに赤・青・黄の三原色のフィルターが備え付けられており、それを通った光でモノクロフィルムに感光させる訳。そうして出来上がったフィルムをまたカメラにセットし、専用プロジェクターにかけるんですな。 |
シャッターはB・1/25・1/50秒の全3速。二枚羽でチャージも不要ではありますが、ギロチン君ではなくしっかりしたレンズシャッターっす。絞りはf3.5開放とf9の二種類とフィルターのかからない開放/f6.3/f9の三段階を各レンズで分担させるものが用意されてまして、シャッターボタンの一段後ろに並ぶつまみでスライドさせて選択するんですよ。プロジェクターにかける際は三色開放の絞りを使い、バルブシャッターで素通しにしときます。 |
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ボディのサイズは120x78x58mmで、モロにずんぐり形です。ビハインドレンズシャッターの上、更にフィルターの入った絞り板が入っているので、フランジバックを深く取らざるを得なかったんでしょう。重量は量ってないのではっきりとは分かりませんが、結構重いことは確かです。 |
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巻き上げは自動巻き止め式ですが、シャッターとは別段連動してないっす。で、上の画像にあるように、フィルムをセットしてガラスの付いた圧板を閉じるんですが、どう言う訳か、現代のフィルムのサイズより微妙に小さめでして、上下がちびっと苦しいんです。でもって、巻き上げと巻き戻しの苦しいことと言ったら並じゃありません。36枚撮り分巻き戻していたら、ノブが小さいせいもあって指が腫れちまいました(ToT) |
上の写真は専用プロジェクターにセットしたところ。カメラと同様にアルミダイキャストで作られ、色もグレーの結晶塗装が施されてます。よくカメラ本にはこの状態で紹介されてましたんで、「一体どうやって撮るのよ?」と思ってましたが、裏蓋を取り外してセットするだけ。この状態で巻き戻し時に使う巻上げノブをフリーにするボタンが常時押されることになりますんで、この状態で現像済みフィルムをセットして巻いて行けばOK。でも、また指が痛くなります(←指地獄)。
ほとんど話題にも上らない超マイナーカメラなので、知ってる人もえれ〜少ないんですが、実はこのカメラには二つのタイプがあるんです。この画像のカメラは47年発売の、プロトタイプに近い極少数だけ生産されたもので、同年に、巻上げノブが大型化されたものの、シャッタースピードが単速になり、その他の機構も単純化されたユニバーサルと言う一般市販モデルが200台ほど売られることになります。まあ、すぐにカラーフィルムの時代が来ますので、結局はほとんど売れることなく撤退を余儀なくされたんでしょうが、いとあはれなりけりですなあ。 |