|
ベンチーニやフェラーニアなど、イタカメには妙に簡易カメラが多いのですが、それらは概ね60年代以前のもので、カメラの普及率がまだまだそう高くなく、カメラ自体が高級品だった頃、これを極力簡単な構造にして安く庶民に提供すべく作られていました。ですんで、それらはトイカメラではなく、立派な家庭用カメラだった訳です。まあ、作りに大きな開きがあって、イタリアン簡易カメラには精密感は皆無ですが、オリンパスPEN EEみたいな感覚だった訳です。 |
で、ここでご紹介するムーピと言うカメラもそうした簡易カメラなのかと言うと、実はこのカメラ、作られたのが1975年と、かなり遅くになって出てきたものなんですね。ですから、この頃は最早このようなカメラは完全にトイカメラになっていて、後のフジカラー「写るんです」的な使い方をされていました。ちょっと旅行先で気軽に使って、何本かフィルムを通した後は壊れるか捨てるかで、逆に言うと今になってはなかなか残っていない貴重品とも言えます(←いえ、言えません^∀^)。 |
|
|
フィルムは60年代後半からの簡易カメラお決まりの126インスタマチック。これでフィルム巻き上げ・巻き戻し機構が大幅に省略されますから、使わない手はありません。後の110カメラも同じようなことがありましたね。何しろフィルムのパーフォレーションがコマ毎に1つだから、フィルム送り機構がえらく単純化できます。 |
レンズはノンコーティングの単玉ですが、一応貼り合わせの2枚構成のようです。ただし、焦点距離が何mmなのか、レンズの明るさがいくつなのか、一切記載されておらず、不明です。ただし、レンズのヘリコイドのようなデザインのリングを回すことで、中の円盤が回転し、絞りを決めることになります。この円盤には大きさの違う穴が3つ空いていて、晴れマークで一番小さい穴、晴れ/曇りマークで少し穴が大きくなり、フラッシュのマークでほぼ開放になります。 |
|
シャッターはエバーセットのギロチン式で、おそらく1/50秒程度の単速になります。一応、巻き上げないとシャッターボタンが押せないようになってますが、この辺もインスタマチックフィルムを使ったものだから安直に入れることができた機構です。実際120ないし127フィルムを使う簡易カメラは、フィルム巻き上げも赤窓で、シャッターと巻き上げも全く連動してませんでした。
軍艦部上面には他にフラッシュキューブ用のソケットがあり、これまたインスタマチックの定番でした。今ではなかなか入手困難になりましたが、まだ探せば売れ残り品が出てくるのは有り難いですが、使ったらなくなると思うと、使えないのがツライところ(笑。
画面サイズは一コマ28x28mmのスクェアで、これもインスタマチック共通のスペック。ASA(ISO)100のフィルムでは、遅い単速シャッターとお天気マーク絞りに固定焦点ですと、晴れた日には露出オーバーになりますが、一応それなりに写ります。ベンチーニとフェラーニアの126カメラと比較したところ、ベンチーニが最も良く写り、フェラーニアはイマイチ、ムーピは前ピンのような感じでした。テストレポはこちら。
ところで、ムーピはフィレンツェのカメラメーカーですが、75年にこのF6とS4、8ミリカメラのMUPLEX S8を出して終了。と言うより70年頃からF6とS4を売り出して、MUPLEXを74年に出した後、終了と言うのがホントのところなんでしょう。『Made in Italy』では75年となっていますが、『La Produzione Fotocamere Italiane』では70年&74年となっていて、製造年に関しては相変わらずかなりいい加減です(笑。 |