後期型になるとシャッターダイアルとアクセサリーシューの周辺部が黒いパーツが使われてます。これはシンクロのタイミング変更用のリングで、ちょいと下に押して回すんですが、どうして急にこんなもんを付けたのかしら〜。各社でこれをなくして行こうという時に、一体ナゼだ、ナゼなんだー!
この背面の画像でもお分かりでしょうが、このモデルは切り替え式ファインダーのため、ビューファインダーと距離計窓の位置が横一線に揃っていませんでしょ。こりゃー明らかに妙ちくりんな印象を増幅させていますね。ガンマの異常に右寄りのファインダー部もそうですが、機構のためならデザインのズレは気にしないのがイタリアーノ。でも、それがかえってたまらない魅力になっちゃって、結果としてこれがイタリアのデザインの真骨頂のように錯覚しちゃう気がしますね。メーカー側でわざとこんな風にしたかった訳でもないのにね。 |
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そうそう、忘れちゃいけないことですが、このカメラから距離計の基線長が5ミリ延びて、有効基線長は67.5ミリにもなります。ですんで、長焦点レンズも余裕ですな。でも接眼部がちびっちゃいのはイカんですなぁ。
このカメラの生産台数ははっきりとしませんが、売られていた年数の割りにはあまり多くはないようで、現在ではなかなか市場に現れないのが苦しいところ。当時の日本国内の雑誌を見ても、イタリアのカメラはほとんど紹介されておらず、せいぜいガミ16とレクタフレックス程度ですね。クリスタルなど採り上げられるわきゃーない。当然のことながら当時国内に入ってきたものはほとんどないでしょう。最近ではイタ公もちらほら見かけるようになりましたが、それでもまだまだ極少数でして、探したからといってなかなか見付かるものではないっす。特にこのクリスタル53は単純にイタ公マニアのみならず、ライカマニアからも意識されるので、本国のイタリアでも出てきた場合、結構高価で取り引きされるようです。やはり、特徴のあるカメラは多くの人々から意識されるんですね。
レンズはやはりステイナー50mm f3.5が標準で、3sと同様にいくらかのバリエーションが用意されていました。これ以外で今分かっているのは、ある年度のカタログに出ていたKrinar 50mm f3.5、Som Berthiot 50mm f2.8、Schneidar Xenon 50mm f2の3本で、「お安いですよ〜」から「お客さん、お目が高〜い」まで、3段階用意してました。しかし、一体どんな交換レンズが用意されていたのかは不明でござい。カタログに出てないんで、ひょっとしたら純正では用意していなかったのでは…。ちなみにボディのみの価格は53が57.000リラで、3S後期型が46.000リラでした。一体どれくらいの値段なんじゃー? 良くは分かりませんが、話によるとライカIII型の半額程度とのことです。
そうそう、忘れちゃいけませんが、このクリスタル53の後期型の頃には、クリスタルRというモデルが併売されまして、四角い窓の一眼式距離計を備えていました。既にキナーリアで売っていたヴェガIIaの後継モデルかな? ちゅーのも、ボディはヴェガのものを発展させたような八角モノなんすよ。デザインはちょっと大きな四角い二つの窓が近くに並んでることもあって、あんましカッチョ良くはないです(『クラシックカメラ専科』No.43「Viva!イタリア」参照)。
ところで、このクリスタル53のデザインはどう見ても奇妙っす。ワテはどうしても距離計の小さな丸窓が人の目のように見えるんですが、このカメラを見ているとパプア・ニューギニアの土着民の白い土を固めたおにぎりのような形をした大きな仮面を思い出してしまいます(←なんじゃそりゃ〜)。その、ちょっと外したデザインがこのカメラの大きな魅力なんですが、考えてみるとイタリアのカメラにはこうしたものが非常に多いですね。同じイタリアでも、有名なスーパーカーとはギャップ多し。
【追記】なーんかクリスタルの顔立ちがワテには違和感なくなじみのあるものに思えて仕方がなかったんですが、はっと気付きました。これはトプコンホースマンVH-Rとそっくりじゃん! なーるほどねぇ。
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This is the camera that the production was started with the Chinagria Domenico in 1953, and the highest peak model of the Kristall series. The design of the body doesn't change from formerly fundamentally. As for any Leica copies of Italy, there are many original things, but the camera made of Chinagria was comparatively ordinary. However, this Kristall 53 keeps the change system of the finder view rate and even the design face is overflowing to the Italian character. About the finder, when we see it head-on, the big view finder is conspicuous. The lever that is attached to right side is the thing for the change of a view. This covers to 28mm-105mm lenses. Yet, there isn't a change in magnification itself, this system is the type that expands and also narrow the frame. Therefore, the image that is reflected in the finder becomes a fairly small, in the case that it was set up to 105 mm. The top cover became a trapezoid and high by this finder change system.
The Steinar or Krinar 5cm F3.5 made in Italy, the Som Berthiot 50mm F2.8 made in France and the Schneidar Xenon 50mm F2 made in Germany were prepared as standard lenses. |
The image proffer: Mr.Marco Antonetto
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