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こいつは一見「おっ!精密35mm判ミニカメラか?」と思わせる外観がいいでしょ? 実際、我らが東京光学が戦後すぐの1948年から生産したミニヨン35に大きさも雰囲気も相通じるものがありますもん。で、このクレインはローマにあった会社で、そこから1952年に発売されました。値段はたったの7,000リラですから、安さのみが売り物の35mmカメラで、ミニヨンとは正反対の「性能? 何それ?」と思いっ切り主張しているかのようなカメラなんですなー。 |
まず、上の画像から全体像を見てみますと、横幅が103mmで高さが61.5mm、沈胴時の奥行きが51.5mmですが、撮影時は11.4mm引き出しますんで、およそ67mm程と言った感じになります。でも、これは背面のレバーの突起も含めたものですんで、実際に使っている感じではこれより3mm程度薄くなります(←こまけ〜)。
軍艦部を見ると、向かって左から巻き上げノブとシャッターボタン、逆ガリレイ式のファインダー、カウンターノブ、アクセサリーシューの順に並んでますが、巻き戻しノブはどこに行ったのよ? |
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で、レンズは5cmとだけ書いてある純単玉。微妙にシアンコーティングが施されているようですが、1群1枚には変わりありません。絞りはなく、開放値が問題になりますが、カメラ本体には全くそれが刻まれてないんです(泣)。でも、後継機種のレンズも同じものなんですが、それが当時の広告でf9と表記されていましたので、このカメラのf値もf9と考えられています。ピント合わせは前玉と言うか全群回転式。先端を回し切ると∞で、ピンで止まると1m。一応後ろにシンクロ接点が付いてます。 |
シャッターはIとP(バルブ)だけのエバーセット式ギロチン君。でも、一旦シャッターを切ると巻き上げない限りロックが掛かります。最低限のことはやってありますねぇ。しかし、一体「I」って何分の1秒なのよ…。
また、背面のファインダー下の突起は巻き上げストッパーの解除レバーで、これを右にちょっと動かせば巻き上げられるようになってます。別段パーフォレーションなど無視ですんで、回転量は一定です。 |
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フィルムの装填は底蓋のツマミを「A」に合わせて外し、圧板を抜いてから行いますが、実はフィルムの詰まったパトローネ以外に、巻き上げ側にもフィルムマガジンが必要なんですよ。巻き上げながらマガジンに撮ったフィルムを送り込めば、巻き戻しが不要になりますんで、ある意味便利ではありますが、別にフィルムマガジンを携帯しないといけないのはやはり面倒かな。ガンマと同じ発想ですね。と言う訳で巻き戻しノブが消されてそこにアクセサリーシューが収まっていた訳。後期モデルでは不思議なことにダミーのなんちゃって巻上げノブ(もちろん回転しません)をここに設けてしまい、せっかくのシューを外しちゃってるんですよ。ちなみに、後にシャッターをP・25・50・100の4段階にして、巻き戻しも普通に行われるように進化したクレインKIIが発売されましたが、レンズ回りは変わりません。
それにしても、三脚穴すら省略しちゃうのはやっぱ潔すぎ。レンズだってびっくりすることに、円形の一部を切り抜いた「C」字形のバネで後ろから固定しているだけですもん。以前使おうとしら、レンズがゆらゆらしていたんで不思議に思ったら、何とこれが緩んで後退してたんですな。こんな風にレンズを固定するのはなかなか見ませんでしょ? フォトテクニカの“おばかさん”バキーナといい勝負っす(^∇^)v |