FOTOCAMERE ITALIANE-Ferrania

Fotocamere Italiane - INDEX -

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フェラーニア フィルマ 7.5cm F11
FERRANIA FILMA 7.5cm F11

人呼んで「ブラックもなか」!

 この真っ黒なモナカのようなカメラは、正確にはフェラーニア名でカメラを生産する前に作られたモデルで、いわばフェラーニアのカメラ部門の前身であったトリノのフィルマ製になります。戦前の35年にフィルマでは生産が始まりますが、38年にフィルマがフェラーニアに吸収されて、ロゴだけ「Ferrania」に変更されてそのまま売られてました。これは127フィルムを使う4.5x6のベスト判。同じデザインで120フィルムの6x9判があり、これもフィルマ / フェラーニア双方の名で売られてました。ですから、事実上初のフェラーニアのカメラと言っても間違いはないでしょうが、いやぁ〜、やっぱどう見てもモナカですねぇ〜(笑。
 一目でお分かりでしょうが、これ以上有り得ない程の単純カメラです。レンズは75mmの単玉で、当然ノンコーティング。固定焦点で絞りもf11で固定。でも、フィルムの焦点面にカーブすら付けていませんが、ローラーは一応入ってます。
 で、そのフィルム送りは赤窓式。向かって左横の下にあるノブを回してフィルムを巻き上げますが、このノブはBoxを開く際には引っ張り出さないと外れません。いわばロック解除の最後の確認用みたいな役割も持ってます。
 んじゃ、普通のロックはどうなってるのかと言うと、これは両サイドの中央よりちょい下にあるふくらみがカギで、ワテが初めて手にした時は「???」でした。
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Filma2.jpg  何しろモナカですから、突起がほとんどないのですが、微妙なふくらみがサイドにあって、ここが押せるようになってます。それを両方から摘まむように押すと、Boxのロックが外れるんですが、前にも申しました通り、巻き上げノブが最後の砦になって、Box自体はこれに引っかかって外れません。野球のボールくらいの大きさですんで、そのカラクリが分かる前にイライラして剛速球で投げてやりたくなりました(←ウソ〜)。
 ボディはほとんどネジが使われませんが、前面のカバーを止めるネジが左右に見えます。あとは内側のフィルムストッパーにたった一個。でも、「Fototecnica Bakina」の全部で一個には負けます(笑。
 ファインダーは反射式で、なーんのフードもないですから、日中は見づらいですが、一応擦りガラスが使われているのは良し。
 とにかく突起を作らないように角にも丸みを持たせているように、徹底した「モナカ」になってますが、ボディのロックさえもビニールのボディカバーで分からなくしてしまう徹底ぶり。そのカバーの模様までモナカってますから、ここまで完璧なブラック・モナカはないでしょうなぁ。
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フェラーニア アルファ 80mm? F9
FERRANIA DELTA 80mm? F9

Alfa1.jpg  フェラーニアは今では3M傘下に入ってますが、イタリアでフィルムっちゅーたらフェラーニアを指すほどなんすよ。で、コダックやアグファと同様にしっかりとカメラも作っていたんすが、その一号機は1935年のその名もズバリ"Box"と言う箱型カメラで、その後FilmaなどのBoxカメラも売られました。んでもって戦後の1945年に出たライカタイプの形状のボディを持つ金属カメラの第一号がこのアルファなんです。分かりやすいネーミングじゃー。
 機構はフィルムメーカーの作るカメラの常で、非常に単純っす。つまり、ノンコーティングの単玉で絞りがF9固定のレンズと、多分1/30秒の単速シャッター(I)にバルブ(P)を加えただけのエバーセット式シャッター、フィルム送りも赤窓式と、まあ、簡易カメラの王道を行くっちゅー感じ。でも、当然目測ながら、フォーカシングできるのは立派かも。後のこの手のカメラからは焦点も固定と言うものが多いですからねぇ。 Alfa2.jpg
Alfa3.jpg  フィルムサイズは127で、4x6判になりま。裏蓋は蝶番で開き、裏にはちゃっかり自社製フィルムの絵がプリントされてま。ボディは薄い金属製で、ぐっと推したらつぶれそうな印象です。シボ革も貼られておらず、ただザラついた塗装が施してあるだけなんす。

フェラーニア ベータ 80mm F9?
FERRANIA BETA 80mm F9?

 次にベータですが、こいつはフィルムサイズが120フィルムを使う6x6判で、ちょっと大柄になります。でも、アルファや下記のエータと決定的に異なるのは、ボディがベークライト製なことなんですな。何でこいつだけ素材を変えているのか理解に苦しみます。
 これに対して機構は全く変わらぬ単玉・単速ギロチンエバーセットの赤窓式巻上げです(たった22字で説明完了〜)。フィルムサイズを変えて色々なバリエーションを揃えておきたかったのでしょうね。でもやっぱ素材を変える必要はないのに…。
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Beta2.jpg  レンズは単玉なのは申し上げ候ですが、明るさははっきりとした表記がなく不明。ただ、アルファとエータは固定鏡胴なのに対して、こいつは1cm程の沈胴式になってま。で、表記は明るさではなくて焦点距離がF=80となってまして、一般的には大文字のFが明るさになるのですが、その辺はあまり気にしていないようです(ワテもでやんす〜)。でもやっぱこれだけ表記を変える必要はないのに…。
 裏蓋を開けるとこいつにもフェラーニアのフィルムのマークが。他のフィルムを入れちゃダメですぞ。
 シャッターはバルブと1/30秒程度の単速ですが、切り替えはちょっとだけ高級感のあるレバーがレンズ脇に付いてます。でもやっぱこれだけレバーの形状を変える必要はないのに…。
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フェラーニア エータ 80mm? F9
FERRANIA ETA 80mm? F9

Eta1.jpg  こやつも上記アルファやベータと同年に出たモデルなんですが、モロ廉価版です。「廉価版って、アルファから何を省けるの〜?」と疑問に思われる方もさぞ多いことでしょうが、省いちゃったんです、軍艦部を! 大胆でしょ? で、完璧なモナカ型の蝶番式になり、上部にビシッと切れ目が横に走ってます。ファインダーブロックも見事に取って付けたようなしょぼいものになりましたが、光学系は全く変わらんので、見え方は同じです。元からしょぼかった証明ですな。
 も一つ大胆に削ったところがありまして、それはフォーカシング機構です。アルファでさえプレスして溝を付けたような、最高にしょぼい(←なんか矛盾する表現)感触のヘリコイドだったんですが、それさえも省略ですから、こうなると「良くやった」と褒めてやりたくなります。巻き上げノブもプラスチックになってますし、この徹底したしょぼさはもう並じゃありませんな。物資の不足した終戦直後とは言え、日本では考えられないでしょう。 Eta2.jpg
Eta3.jpg  でもやっぱ裏蓋を開くと自社フィルムの絵だけは忘れずプリントしてます。商魂たくましいです。
 ところで、製造年は『Made in Italy』によるとアルファが1945年となってるのに、別の本ではアルファもエータも1940年となってるんですよ。どっちが正しいのかは不明。もう知らん…。

フェラーニア ゼータ・ドゥプレックス / ドゥプレックス2 105mm F11
FERRANIA ZETA DUPLEX / DUPLEX2 105mm F11

2ZetaA.jpg  この機関車トーマス的なBoxカメラはゼータと言いまして、1945年に発売された面白い機構をちょろっと備えたモデルなんですな。何が面白いって? それは秘密、と言うのはウソで、後でお話させて頂きま。
 実は同年によりシンプルなゼータの初期モデルが発売されてまして、次に左の黒いゼータ・デュプレックスが、翌46年に右のグレーの(黒もあり)ゼータ・デュプレックス2が発売されたんですよ。
 レンズは焦点距離が明記されてませんが、『LA PRODUZIONE DELLE FOTOCAMERE ITALIANE』によると105mmとなってます。信じましょう。んで、絞りは一応2段階になっていて、にっこり笑った口のようなところのレバーを真ん中にするとF11、左にするとF16になります。じゃあ、右は?と言うと、こちらにするとイエローフィルターが登場! おっと、カラクリその1をもう暴露しちゃった。ちなみに2型はレンズ左にレバー移動し、F11・F16・F22と単に3段絞りになりにけり。 2ZetaB.jpg
Zeta3.jpg  シャッターはおそらく1/20秒くらいの単速で、バルブとの切り替えはデュプレックスが向かって左側面のシャッターレバーの下にありまして、デュプレックス2はレンズ右横のつまみを移動させるようになってます。
 フィルムの装填は巻き上げノブを引き抜いて向かって右側面のボタンを押して箱を外します。中を見るとフィルムレールの上下のところに変な板がひらひらしてますが、これが初期モデルにないフィルムサイズ変更のマスクでして、フィルムセット時に開いておけば6x9、閉じておけば6x4.5になります。あ、最後のカラクリを言っちゃった。もうありません。
 フィルム送りは定番の赤窓式。フィルムサイズが変更できるので、窓が二つ用意されています。でも、これも両者で形式が異なってますが、やはり2型の方が洗練されてますね。それにしても、「Z2」と大胆にプリントされてますが、バイク好きのワテには「ゼッツー」と言うとバンカラなカワサキの男臭いナナハンを思い出しちまいます。でも、フェラーニアではずいぶん可愛らしいカメラになるのですなあ。シャッターを切ったら「フォンフォーン!」と集合管のような音がしたりして。

フェラーニア・エリオフレックス / エリオフレックス2
FERRANIA ELIOFLEX / ELIOFLEX 2

2Elioflex1.jpg  ミラノにあったイタリア最大のフィルムメーカーだったフェラーニアでは、戦後の混乱が落ち着いてから多くの簡易型のカメラを製造していました。この1950年製のエリオフレックスも例外ではなく、一見普通の二眼レフのようですが、実態はそりゃーもー単純そのものの簡易ボックスカメラみたいなものです。何しろ、せっかくの二眼レフなのに、ピント合わせは目測なんだもん。え?「んじゃ、二眼レフの意味ないじゃん」だって? そう、ワテもそう思いま。だって無意味だもん。
 では、このビューファインダー側のレンズは何のためにあるのか? ただの光学ファインダーなら、屈折させると左右が逆像になって使いづらい二眼レフ風にするより、レンジファインダー風にした方がいいに決まってるでしょ。でもあえてこうしたのは、思いますに蛇腹のスプリングカメラにも屈折させたファインダーが付いていたでしょ? あれの流れで、当時の人たちは、あまり屈折した光軸に違和感を感じていなかったのではないのでしょうかね。でも、やっぱ右の画像のように透視ファインダー用のフレームを立ち上げることもできます。 Elioflex.jpg
 実は48年にフェラーニアではロンディネーというボックスカメラとも二眼レフともとれるカメラを作っていますが、そのファインダーはスプリングカメラに付いた屈折ファインダーに良く似た感じでしたね。そのロンディネーを発展させてビュー側のレンズを大きくしてまんま二眼レフにしたのがこのカメラなんですよ。もちろん当時はローライ等の二眼レフが売れていましたから、それにあやかって「なんちゃってローライ」に仕上たのでしょう。上下のレンズに挟まれた、シャッター/絞りの両ダイアルにそれが伺えちゃったりします。
 で、そのシャッタースピードですが、これはギロチン型の簡単なもので、B.1/25〜1/200秒までの5速が用意されています。フィルムを巻き上げるとチャージされるところは立派ですが、巻き上げそのものは赤窓確認式で、自動ストッパーはありません。でも、巻き上げていたらシャッターもチャージされていることになり、その場合シャッター羽根を見ると黒くなっていますが、シャッターを切ると赤い羽根が現れ、これによって巻き上げていないことが分かる訳です。ちょっとしたアイデアですね。

 これに対して絞りはF8〜22までの4段階が用意されていまして、それは右のように真四角の形状を採っていました。これまた簡単な形ですよね。レンズがまた簡単で、ガリレオ製ですがただの単玉レンズです。多分、周辺部の像の乱れのため、わざと開放絞りでも右のように光路を狭めたのでしょうが、一見F3.5くらいに見えるものの、結果としてF8というくらいレンズになりました。ちなみに53年のエリオフレックス2型ではここが改善されて、F6.3の三枚玉が使われています。 Elooflexlens.jpg
 で、そのレンズはエリオフレックスがガリレオ・モノグ85mm F8(OFFICINE GALILEO MONOG 85mm F8)で、エリオフレックス2ではフェラーニア・アナスティグマティコ75mm F6.3(FERRANIA ANASTIGMATICO 75mm F6.3)となってます。

2Elioflex2.jpg  こちらはそのエリオフレックス2を並べた画像ですが、ビューレンズは同じ口径であるものの、撮影レンズはf値の明るい2型の方が小さいんですよねー。まあ、こちらは単玉ではないので、小さくてもレンズを周辺までフルに使っているからでしょう。でも、レンズ名がFerraniaになっちまったのは遺憾です。つーか、イカンですなあ。やっぱガリレオの名前が消えちゃうと、魅力も半減。絞りの機構は全く変わらんもので、数値だけF6.3〜F18の4段階に変更されてま。写りは見た目にはなーんも変わりませんですが、どちらにせよ周辺部の歪みはどうしても出ちゃいますね。

 さてさて、問題のファインダー部ですが、覗いて見ると強い凸レンズがいきなり付いていて、何だか目を近付けることができません。最低でも20cmは離れて見ないと、目がくらくらしてしまいます。当然フォーカシングスクリーンはありませんので、明るいファインダーですが、ミラーの形やレンズの丸い枠まで見えちゃうのはご愛嬌。気にしないこってす。ファインダーの蓋の上面にはスポーツファインダーが付いていて、これを立ち上げて中心を合わせて撮る限り、意外と精度は良いようです。それにしても変なカメラですね。なお、このようなヘリコイドと連動しないビューファインダーを持つ二眼レフはブリリアント式と呼ぶそうですが、マジで無意味だと思いますね(笑)。

フェラーニア ファルコ S ガリレオ・テーログ105mm F4.5
FERRANIA FALCO S OFFICINE GALILEO TEROG 105mm F4.5

FalcoS1.jpg  こちらのご立派なスプリングカメラは、1949年製のファルコSと言うモデルです。ファルコは英語のファルコンと同じ隼のことです。このシリーズは46年に始まる簡単なオリジナルモデルがありまして、これをバージョンアップしてシャッターとレンズをより良いものにしたのが48年のファルコ2型で、さらにそこから巻き上げとシャッターボタンロックの機構を連動させ、f6.3のレンズをf4.5のレンズに変更したのがこのS型になります。マルコさんの『Made in Italy』ではシュタインハイル製のレンズが付いたタイプが紹介されていますが、いくらかのバリエーションがあったんでしょうね。個人的にはこのガリレオ製のレンズの方が嬉しいかな。それにしても、このファルコSはフェラーニアのカメラにしては良くできてますよ。
 さて、まずはそのレンズですが、オフィチーネ・ガリレオ製のテーログ105mm F4.5という三枚玉が使われてます。このレンズはしっかりとシアン系コーティングが施されてて、作りも上記のエリオフレックスのものと違って安っぽくないせいか、かなりイケそうな雰囲気を匂わせてくれます。
 そのレンズに付けられているのがプロンターSシャッターで、B・1〜1/250秒まで備えてます。シンクロとセルフタイマーも付いてるもんで、ほとんどの撮影に対応できます。絞りはF4.5〜F25までの大陸絞り。ただ、レバーがF4.5またはF25よりもちょっとばかり回ってしまいます。一体、正確な値はどうなんでしょうね?
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FalcoS3.jpg  フィルムの巻き上げは向かって右側の大きなノブで行います。すると左側の小さなノブが、フィルムが引っ張られることで回りまして、するとシャッターロックが解除されるんですね。こうして二重撮影を防止してるんですが、まあ、これは普通かな。
 左の画像では、前蓋に三脚穴が空いていますが、実は普通に底面にも開いていまして、結構細かいところにまで気を利かせた作りになっていますね。
 フィルム送りは平凡な赤窓式。この時代ではよほどの高級機でもない限り、自動巻き止めにはなってないですから、こればかりは仕方ないでしょう。奥の方がファルコSですが、さすが上級モデルの方は絞り別の被写界深度表が貼り付けられています。赤窓を閉じる蓋のレバーも見えますが、安価なモデルとの差がかなりあります。 2FalcoD.jpg
 と言うことで、このカメラは決してドイツのメーカーのものに比較してみると高級機な訳ではないのですが、どの部分も手堅く作られていまして、フェラーニアのカメラにしてはなかなか良くできたモデルですよ。考えてみると、フィルムメーカーのフェラーニア製の6x9判カメラはこのシリーズだけ。もっと作ってフィルムの消費量を増やす作戦をとれば良かったのにね(^∇^)v

フェラーニア ファルコ フェラーニア・アナスティグマティコ105mm F8.8
FERRANIA FALCO FERRANIA ANASTIGMATICO 105mm F8.8

Falco1.jpg  こちらは46年製の単純バージョン。でもロゴは既にオシャレな可愛らしいものになってます。今のロゴはこの字体をイタリックから普通に戻し、「F」の文字の左上を欠けた形にしていますが、昔の方が良かったかなー。車やバイクもそうですが、やはり当時のイタリアのデザイナーは進んでたんですねぇ。
 で、レンズはノンコーティングの3枚玉。F8.8と暗いのは、6x9判のくせにレンズ口径が2cm未満ゆえ仕方ないことですが、最初は単玉かと思っちゃいました。ですんで、一応絞りもシャッターもレンズの2枚目と3枚目の間に置かれています。形体だけは立派なレンズシャッター機になりますが、実は簡易カメラの範疇に入ってしまうカメラなんですよ。
 それでは、どれほどのスペックなにか見ていきましょう。まずはどのメーカー製のシャッターなのかと言うと、それはお許しを。だってB.1/25〜1/100だけのエバーセットものなんですもん。おかげでいつでもシャッターは切れちゃいます。ただし、廉価版とは言えしっかりボディー側にアームが伸びていて、軍艦部上のボタンと連携しているように、最低限の工夫は見られます。 Falco2.jpg
2FalcoB.jpg  ノブ類はえらく安っぽいです。特に巻き上げノブはデザインも何も考えなかったのか、木枯らし紋次郎の笠のようです。しかも、巻き上げがスムーズなのは当然として、ちょっと重くなる程度で逆方向にも回ってしまいます。
 ファインダーも単純な透視式。でも、反射式のやつも初めからレンズ側に固定されて付いてます。
 基本的な構造はこの後のII型やS型と何ら変わりませんが、やはり赤窓の開閉が省略されていたり、フィルムセットの機構が単純化されたりで、様々な細かいパーツにもその差は歴然ですから、カメラの重量もS型と比べると半分くらいの印象です。国産メーカーがボディ外観だけ揃え、ペンタプリズムの代わりに穴を開けたファインダーの一眼レフもどきを作ったら驚きますが、このファルコはいわばそんなようなカメラだったりして(笑)。 2FalcoA.jpg

フェラーニア アストール ガリレオ・テーログ7.5cm F4.5
FERRANIA ASTOR OFFICINE GALILEO TEROG 7.5cm F4.5

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 フェラーニアは一部のものを除いてしっかりとしたカメラは作っていませんでした。純フェラーニアと呼べるものの中では上記ファルコSと、このアストールだけ。コンドールIとII以降で、精密なシャッターを持つものはリンチェがありますが、中味はドイツ製。結局は自社で生産したそれなりレベルのモデルは50年代前半で終了〜。おイタさんは引き際が潔いんですね。このアストールも52年発売で、後継機種は一切作られていません。
 アストールの意味は英語のHAWKと同義の鷹を表しますが、フェラーニは鳥の名がお好きだったようです。
 ボディは自社のものですが、シャッターはプロンターSVが、レンズはオフィチーネ・ガリレオのテーログが使われていますので、主要部分はやはり他社製なんですね。
 で、このプロンターシャッターはB.1〜1/300秒までの8段階で、古い割に未だにしっかり作動中です。ガリレオ製のレンズ、テーログもうっすらとシアンコーティングが施された3枚玉で、結構良く写るんで気に入ってます。ピント合わせは目測ですが、逆ガリレオ式ファインダーは約0.5倍ながらスッキリ。

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 まあ、シャッターやレンズは見慣れたレベルのものですが、ボディは面白い仕掛けがありまして、このカメラ、実は120フィルム使用の6x6判なんですよ。一見35mm判っぽい感覚ですが、35mmでは巻き戻しノブになるはずの向かって右のダイアルが巻き上げノブ。巻き上げは単純な赤窓式です。で、反対側のダイアルは巻き戻しノブではないんですが(←120なんだから当たり前)、これがただの飾りではなく機能していて、面白いカラクリを演出してくれるんですぞ。
 そのカラクリとは、このノブを時計回りに回せばすぐ分かるんですが、最初はビックリこきます。と言うのも、折り畳まれていた鏡胴が「ジャキーン!」と飛び出てくるんですもん。つまり、金属製鏡胴のスプリングカメラだった訳。我が東京光学の幻のファーストモデル、「LORD」も金属2段鏡胴のスプリングカメラだったんですが、このアストールの鏡胴も2段に折り畳まれるようになっていて、ロードのような距離計連動機ではありませんが、シャッター回りがすっぽり鏡胴内に納まるのは見事です。

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 他にこれと言って目立った面白さはありませんが、この頃のレンズシャッター機はシャッターチャージが巻き上げに連動してませんので、一旦シャッターを切ったら、二重露光防止のために、軍艦部上面のレバーを一度横にしないとシャッターボタンが押せなくなります。押せない状態ではファインダー内部に赤い半透明の板が現れ、シャッターを切った後であることを示してくれますが、どうにも面倒くさいことには変わりなかったりして。

フェラーニア デルタ ビアプラン7cm F8.8
FERRANIA DELTA BIAPLAN 7cm F8.8

Delta1.jpg  1949年発売のなかなかお洒落な簡易カメラ。画像では分からんでしょうが、実際はとても小さくて、何やらハーフサイズ並みの大きさなんすが、フィルムは127を使用します。ですんで、ボディはギリギリまで切り詰めたサイズなんです。具体的に申し上げますと、レンズを引っ込ました状態での縦x横x奥行きは、それぞれ79x117x52mmで、そうですなあ、キヤノン・デミ程度の大きさとでも言いましょうか。とにかく、これで4x6cmの画面サイズをカバーするのだから立派です。

 ボディのデザインですが、さすがはイタリアン、大衆機といえどもいいアジ出してます。フォトテクニカのエルマンもモナカ形でしたが、こちらの方がよりモナカでして、上面の筋なんかは真性モナカ。で、左右に付いているダイアルは、向かって左側はフィルム装填のために上部を引き抜くストッパーを解除するもので、右側が巻き上げ用。セルフコッキングでも自動巻き上げストッパーも付いていないので、単純に赤窓で確認しながら巻き上げることになります。 Delta2.jpg

 シャッターも非常にシンプルでして、多分1/30秒程度の単速にバルブを加えただけのものです。絞りもF8.8のままで変更できません。それにしても、これでもそれなりに写ってしまうのだから、精密な露出って一体…、と思っちゃいますね。わざわざ入射光式露出計を持って照度を測り、よし撮るぞと思って構えたカメラがコレだと笑えます。ギター侍に「しっかり露出計で測ってカメラを構えろって、いうじゃなーい。でも、それ単速ですからっ!残念っ!カッコだけ立派なイタカメ斬り!」と言われちゃいそう(^∇^)b

Delta3.jpg  で、これがフィルムを装填する時の様子。上がすっぽり抜けるなんて大胆でしょ? 東京光学のミニヨンもこうでしたが、あちらは蛇腹でしたからねー。ちなみにレンズは引き出さないと抜けないんですよ。レンズには一応フォーカシング機構が付いていますが、ま、オマケみたいなもんです。

フェラーニア タニット
FERRANIA TANIT

Tanit1.jpg  何だか上のデルタと似たようなデザインのカメラですが、こちらは4x3ベスト半截判サイズの、一回り小型のモデルです。このモナカ型軍艦部は、フォトテクニカのバキーナにも通じますが、イタリア人はモナカが好きだったのでしょうか(←何をいう〜)
 発売年は、ある本では47年となっていて、またある本では55年となっていまして、一体どっちなんじゃい(`д´)。しかも執筆者が同じだったりして。ま、この辺は簡易カメラだけに、RF機とは力の入れようも異なるのでしょうね。見た目の作りからしてまず55年が正解でしょう。
 シャッタースピード、固定絞り値ともに表記がないので一切不明ですが、これもフィルムフォーマットからして多分60mm F8か9程度のカメラで、スピードも1/30秒でしょう。レンズを見るともちろん単玉ですが、ノンコーティングですんで、ひょっとすると47年というのが正解かな。ちなみにこんなカメラですが、意外と入手は困難なようで、コンドールII程度のレア度のようです。国産機でもどうでもよろしいモデルは意外と出てこないものですが、あちらも同じなんですね。 Tanit3.jpg
Tanit4.jpg  シャッターボタンが斜めに付いているのはなかなかおしゃれ。それで、フィルムの装填も押さえの金具が手元に引き出せるのは、とっても簡単で良いです。こいつはなかなか工夫されていて、狭いスペースを有効に使ってますね。
 後は赤窓式巻上げ+目測式ピント合わせ+ギロチン式単速シャッターと、簡易カメラではお決まりの機能しかないです。
 ストラップ金具を兼ねた裏蓋ロック金具はクロスターなどのカメラも採用していますが、逆さになった時に裏蓋が取れてしまわないか心配です。しかし、こうしたカメラは中身がなくってえらく軽いので、そんな心配も無用ですね。
 ちなみにタニットは古代神話に現れるカルタゴの月の女神タニスのことだそうです。

フェラーニア ゼフィア シュタインハイル・カッサー45mm F2.8
FERRANIA ZEPHIR STEINHEIL CASSER 45mm F2.8

Zephir3.jpg  フェラーニアが最初に35mmカメラに手を伸ばしたのが59年のリンチェ(Lince)からなんですが、このゼフィアも同時に似たデザインで作られました。位置付けはリンチェの廉価版みたいなもので、手にした瞬間「ん? 軽ッ!」っと思わず声が出てしまいそうです。それもそのはず、軍艦部や底部こそ金属のカバーが付いていますが、本体はほとんどプラスチック製。オマケにせっかくの金属カバーの部分も真鍮ではなく薄いアルミっすからね。そりゃもう軽いの何の。でも、基本的な構造はしっかりしてるのが不思議。
 レンズはシュタインハイル製のカッサーで、これは後のリンチェ2と同じ銘柄ですが、3枚玉なのに随分コーティングの具合が淡いように感じますね。
 フェラーニアの35mm判のカメラは、どうやら提携していたドイツの工場のものをそのまま使って、外見だけフェラーニアが主導したようです。実際、50年代のカメラにしては随分垢抜けてますでしょ? 軽いっすが…。
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Zephir4.jpg  シャッターは4枚羽のしっかりしたものですが、“RECTAMATIC”と称した絞りとの自動的と言うか勝手な連携があって、絞りをf2.8〜f4の時は1/60秒、f4〜f8のゾーンで1/125秒、f8〜f16のゾーンで1/250秒に、それぞれ強制的にセットされてしまいます。f4・f8だけ二つのシャッタースピードが選べることになりますが、絞りリングに描かれたお天気マークを鏡胴側の風景画に合わせて使うこともできます。でもASA80指定ですから、そんなフィルム今はないので適当にいくしかないです(笑)。
 ファインダーはリンチェのような高級感は皆無で、ただのガラス板。コーティングも何も施されていない素通しものですから、「なくてもいいじゃん」と思いますが、まあ、仮にもカメラは精密機械ですから、ちょっとは高級感を出したかったんでしょう。軽いっすが…。
 ゼフィアは英語で言うZepyer(ゼファー)、スペイン語のセフィーロ (Cefiro)と同義の「やわらかな西風」を指します。
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フェラーニア リンチェ ディグナー45mm F2.8
FERRANIA LINCE Dignar 45mm F2.8

Lince1A-300.jpg  50年代の半ば以降、オフィチーネ・ガリレオと折り合いが悪くなったフェラーニアっすが、レンズは自社ブランドのものやノーネームの安価なものを販売しつつ、若干高級感のある大衆機として59年に登場させたのが“リンチェ”です。35mm判ですから、それまでの簡易カメラ路線のようには行かず、機構的に多少なりとも複雑なものになりました。それが値段に反映され、イビス等は6000リラ前後だったものが、このリンチェでは14000リラになっています。とは言え、ガンマ・ペルラ等が4万リラでしたので、充分格安な35mmカメラだった訳です。ちなみに機構的に近いベンチーニ・コロレッテは11800リラで、より格安でした。
 フェラーニアは自社でカメラを生産することなく、多くがイタリア国内の下請けに任せていましたが、35mmカメラはオフィチーネ・ガリレオのシリーズを除くと、ドイツのメーカーに丸投げしていました。このリンチェも外には何ら書かれていませんが、クリーニングのために軍艦部を外すと、内側にMade in Germanyと刻印がありました。おそらくリンス2と同じく、ダコラ社製なのでしょうね。 Lince1b-300.jpg
Lince1c-300.jpg  レンズはこのカメラには表記が見えませんが、当時の広告にはDignar 45mm f2.8となっていて、分解清掃したら3群3枚のもので、おそらくゼフィアのカッサーと同じものでしょう。こちらの方を上位機種にした関係上、レンズ名だけ変更したものと思われますが、後のリンチェ2からはまたカッサーの名に戻ってます。そんならゼフィアのレンズをディグナーとすれば良かったのにね。
 シャッターは5枚羽のしっかりしたレンズシャッターですが、スピードはBの他は1/20・1/50の次は一気に1/200秒になって終わりです。なぜ1/100秒を省いたのかは不明。
 絞りも良くできた6枚羽で、ベンチーニの35mmカメラよりハイスペックですが、一般のカメラからすれば極当然の仕様です(笑。
ファインダーは青い色のハーフコートがされていて、内側にはアルバダフレームのプリントされたガラス板が入ってます。中途半端に反射して見づらいファインダーです。
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 巻き上げはレバーの一回巻きですが、巻き戻しはクランクになってないので面倒です。でも、ベンチーニのように太い巻き取りドラムでごまかしてスプロケットを省略しておらず、ここもさすがはドイツ製だけあって手堅い作りになってますね。至極当然の機構ですが(^∇^)v
 なお、Linceは長らく日本では「リンス」と表記され、ここでも英語から引用した名前かなとばかり思って、それを踏襲して表記してきましたが、調べたらLinse(リンス・リンゼ)とは全く関係なく、英語で言うLinx(リンクス)と同義のイタリア語で「オオヤマネコ」のことだそうです。当然カナ表記もイタリア語読みの「リンチェ」と訂正させて頂きます。

フェラーニア リンチェ2 シュタインハイル・カッサー45mm F2.8
FERRANIA LINCE 2 STEINHEIL CASSER 45mm F2.8

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 59年にリンチェを世に出してから、61年にボディのデザインを一新させたこの“リンチェ2”を送り出したんですが、レンズもそれまでの「Dignar」から、シュタインハイル製のカッサーにアップグレードしてます。アップグレードと言っても結局は3枚玉でして、シュタインハイルは歴史的には重いものがありますが、やはりライツやツァイスのレベル、次のシュナイダーやローデンシュトックのレベルの下に来るイメージが一般的でして、まあ、当時からドイツ製としては比較的安価な納入価格だったんでしょうね。結構大衆機でシュタインハイルのレンズを使っているものを見かけます。とは言え、カスカ2用になると同社のレンズはどれもえらく高いのですがね。
 そのカッサー名のレンズも、実は前述のディグナーと大して変わりがなく、多分基本的な設計は同じものなんでしょう。
 ボディはダコラ社製と言われていますが、実際色々な銘柄で似たカメラが売られていました。

 このリンチェ2の面白味は何と言ってもイタリアンな感覚全開のデザインでしょうね。なんでしょう、このカクカクした立方体は? なんだかこのカメラを見ていると、どうも怪物くんのキャラのフランケン(こんな顔だったっけ?→)を思い出してしまうんですよねぇ〜(笑)。それにしても「リンチェ」の音のイメージとはほど遠い…。 furanken.jpg

 それはそうと、このカメラのスペックですが、機構的には何も目新しいところはないです(キッパリ!)。絞りはF2.8〜F22の7段階。大陸絞りではないので普通に使えます。シャッターは5枚羽で、スピードはBと1/25、1/50、1/200秒のたったの4速。1/100秒がないのは片手落ちと言われてもしゃーないですなぁ。別段フランケンみたいだからと言って、シャッターボタンを押しても「フンガー」とは音がしません(←コラ〜)。ちなみに、リンチェ3になって元来のVARIOシャッターからVEROシャッターに変更されています。でも、リンチェ3は軍艦部だけ一瞬ハンマートーンに見える深いグレーメタリック仕上げのものがあって、エプロン部が従来のままなので何だかアンバランスになってます。
 ファインダーはブライトフレームの入った大きなもので、等倍ではないですが、なかなか見やすいです。パララックスの補正線も上部に見えます。中心部の「+」マークはいらないけど。
 巻き上げレバーはオリンパスペンFにも使われたデザインの埋め込み形。巻き戻しダイアルも埋め込まれたデザインになっていて、パーツの突起を極力減らしたかったんでしょうなあ。アクセサリーシューも絶えずスプリングの力で蓋が下から押されている状態で、フラッシュを取り付ける時はこれを押し下げるようにして挿入しますが、ここまで突起をなくそうとしたわりに、エプロン部はもっこりと出っ張ってます。ですんで、結構肉厚で持ちづらいデザインになってます。でも、シャッターボタンが前面に付いているのはナイスかな。下のダースト・アウトマティカもそうですが、結構イタリアンは軍艦部上の出っ張りを嫌うのかな? フォーカルプレーン機ではあんなに凸凹していたのに、不思議なもんですなあ。

フェラーニア リンチェ・スーパーT シュタインハイル・カッサー45mm F2.8
FERRANIA LINCE SUPER T STEINHEIL CASSER 45mm F2.8

LinceSuperT1.jpg  61年にリンチェ2を出して、矢継ぎ早に別系統のボディを持つアグファのカメラのようなセレン光式露出計を持ったエレクタ(Electa)1とそれを自動露出化したエレクタ2を発売したフェラーニアですが、63年にはエレクタ2の改良版とも言えるリンチェ・スーパーマチックを出しました。これとは別に、リンチェ2のボディを利用してセレン光式露出計を加えた上で距離計を初めて備えた最上級機種としてこのリンチェ・スーパーTを同年に発売しました。コンドールでは距離計を備えていましたが、ここへ来てやっとそれが復活したんですね。オフィチーネ・ガリレオと決別してから10年近くかかってます。
 まあ、フェラーニアから売られていたとは言え、彼らが精密カメラなど作る訳もなく、日本製の安価で優秀なファミリーカメラに対抗するにはとても国内のメーカーではコスト的に不可能で、下でご紹介するビローラなどでドイツとのつながりのあったのを利用して、このリンチェ・スーパーも西ドイツでOEM生産されてました。と言う訳で、やはりなかなか作りはしっかりしてますが、どうもコンドールと比べると安っぽいですね。 LinceSuperT2.jpg
LinceSuperT3.jpg  シャッターはプロンター500LKで、B.1/25〜1/500秒までの7段階。絞りはF2.8〜22までのやはり7段階。ASA感度は10〜800までの9段階で、スローシャッターこそないものの、かなり広範囲に撮影できた優れものです。
 距離計は「Ferrania」のプレートの下にある四角い窓で、カウンターの軸の後ろに光軸を通す苦しい設計ですが、これがあるとないとではカナーリ使い勝手が異なってきます。ファインダーは一眼式の常で、妙に緑がかっていて、中心部の二重像が赤味を持っていまして、ブライトフレームは黄色っぽい感じ。
 露出合せはファインダー内ではなく、接眼部のすぐ上にある小窓で行います。追針式のものですが、軍艦部上面の三日月形の切り欠きからも確認できます。こうして見ると、スペック的には全く日本製の中級ファミリーカメラに遜色のないものになってますが、フェラーニアの名前だけで売られたカメラの中では距離計付きモデルは後にも先にもこれだけなんですよね〜。ま、3M時代にはもっとローコストで距離計付き自動露出カメラが作られるようにはなりましたけどね。
 リンチェのシリーズはダコラ社のカメラのデザインを小変更したものが使われていましたが、例えば最初のリンチェはイルフォード・スポーツマンと言う名のカメラとしても売られていましたように、複数の銘柄のものが見られます。以降、フェラーニアでは簡易カメラを除いて、多少手の込んだ35mmカメラはドイツでOEM生産されるものが多くなりました。
 なお、“Lince”は長らく英語圏からの外来語かと思っていましたが、「大山猫」を示すイタリア語で“リンチェ”と発音するのが正しいそうです。

フェラーニア・ロンディネー リネアー7.5cm F8.8
FERRANIA RONDINE LINEAR 7.5cm F8.8

Rondine3.jpg  1948年、フェラニアはファルコのようなスプリングカメラと単純なボックスカメラを作っていましたが、このロンディネーはボックスカメラの代表選手ですね。127フィルムを使うとてもちっこいカメラで、機構もベンチーニ並に単純です。でもデザインはさすがにイタリー。とても可愛らしい印象で、結構今になって人気が高いんだそうですよ。ちなみに当時は黒・赤・青・緑・茶という具合に、レザーの色を選択できたんですよ。
 127フィルムを使いますが、サイズはスクエアではなく4.5X6cmで、縦長になります。こんな小さいカメラなのに立派でしょ? でも、厳密には4.2X5.7cmという感じですが。それにしても、この小ささで35ミリカメラよりも面積の大きなフィルムを使うんですから、考えてみると驚きものですなあ。
 ファインダーはご覧の通り上部に付いた枠を立てるだけの簡単なもの。ただし、二眼レフと古い蛇腹のスプリングカメラに付ける屈折ファインダーの合いの子みたいなファインダーがレンズの上にポツリと付いてるでしょ? これがこのカメラの可愛らしさを深めているような気が。はっきり言って別になくてもよろしいパーツなんですが、やっぱないとあまりにも素っ気ないデザインのカメラになります。でも使わん、まず使わん、やっぱ使わん、と言ったアイテムなんですが(^∇^)v
 フィルムの装着は上の画像のように横から中を引き抜き、そこに中判カメラで多いΩ形にフィルムを曲げてセット。フィルムの巻き上げは右手で横にあるノブを回し、背面の赤窓でコマ送りをチェックしながら行います。わざわざ書くまでもないほど単純です。
Rondine1.jpg
Rondine2.jpg  シャッター速度は「1」と「P」とあるだけ。「P」はバルブですからいいとして、「1」って一体…。ま、見たところ1/30秒程度かなあ。絞りもなくて、明るさの表記もないんですよね。レンズ名だけはLINEAR 7.5cmとプリントされてますが、ただの単玉です。シャッターの後ろに小さなくり抜かれた穴があり、多分F11くらいに固定されてるのかなと思ったら、ある本でF8.8であると記載されていました。中途半端ですが、これではASA100のフィルムですと曇天か室内でしか使えないですよね。低感度フィルムのない現代では使える範囲が大幅に狭まってしまいます。
 で、ロンディネーにはいくつかのタイプがございまして、フォーカシングできない初期型、フォーカシング機能が付いた中期型、シンクロ接点を備えた後期型となりまして、この画像のカメラは後期型になりますね。更に、上部のファインダーを省略したものもありまして、それは名前をコリブリ(Colibri)と変えてました。しかし、たかが1個パーツを外しただけで別モデルですから、「新型登場!」なんて言われても、当時の人は期待しなかったでしょうなあ。
 なお、ロンディネーはツバメの意味で、コリブリはハチドリのことを指す名前だそうです。

フェラーニア・イビス プリマー75mm F9
Ferrania Ibis Primar 75mm F9

Ibis1.jpg  1950年発売の"イビス"シリーズのNo.1。でもって、単純度もNo.1っす。マジすごいっすよー。現時点でワテが所有する単純イタカメリストの中では、そーですねぇー、1位はべんちーに君のところのミニコメットちゃんですが、2位はフィロテクニカ家のサバ缶君とこのイビスちゃんのいい勝負。缶詰製法のサバ缶君はさすがにキョーレツですが、何せシャッターがBとIの2速ありますもん。それに対し、イビスちゃんはBすらないマジ単速。でも、沈胴式ですし、ボディの作りはこっちの方がいいし、結局どっちもいい勝負。
 しっかしまあ、よくもここまで割り切れたもんですが、沈胴にはナゼかこだわりがあるんですなー。75mmの単玉では確かにフランジバックがビョーンと長くならざるを得ませんから、こりゃ仕方がないですが、それにしてもイタカメには「何としても沈胴!」みたいな気風があるのも事実なんですよ。クロスターには1cmに満たない沈胴カメラがありますからねぇ。ちなみにこのイビスちゃんはただ引っ張り出すだけのタイプですが、スプリングのサポートがあっていい感じです。 Ibis2.jpg
Ibis3.jpg  フィルムはお決まりの127で、4x6のサイズになりま。モチ赤窓式っすよ。んでもって、単玉の周辺部の歪みを補正するつもりで、焦点面をカーブさせてはいます。"写るんです"はプラスチックレンズでも非球面ですから、周辺部が補正されてるのは当然なんすが、イビスちゃんはレンズ側にはコーティングもなーんも施してないっすから、写りは推して知るべしです。でも、単玉って中心部はいい写りをするんですよね。あくまでも中心部だけっすが。

フェラーニア・イビス 6x6 プリマー85mm F9
Ferrania Ibis 6x6 Primar 85mm F9

Ibis66A.jpg  上記イビスと同様、何だかアラブ文字みたいなネームの彫られたカメラでやんすが、これも立派なイタリアンでして、その名はイビス66。いびつではありません。このカメラはフェラーニア版のベンチーニ・コロールみたいなもんでして、シンプル度は120判では互いに覇を競い合うレベルですぞ。年代はこのカメラが1955年製造なので、かえってベンチーニに負けてるかもしれませんです。ボディの仕上げもアルミ・バフ仕上げのあちらの方が、明らかに勝ってるでしょうが、デザインは似たり寄ったりのレベルで、どんぐりの背比べですな。
 で、このカメラもシンプル過ぎて、な〜んの解説も必要がないんすが、一応スペックを記入しておくと、レンズはプリマーと名付けられた単玉の85mmで、ボディに表記はないのですが、絞りはF9だそうです。一見F2.8級のレンズに見えるんですが、単玉の常として、鏡胴内に小さな穴が空いていて、これが固定絞りになっているんですね。で、その前に付いているシャッターはエバーセットのギロチン式。これまた単速で、良くは分かりませんが、多分1/40秒程度のもののようです。別にバルブも付いていて、レンズ下部の爪を動かしてシャッターを変更するだけ。うーむ、シンプルだ〜。 Ibis66B.jpg
Ibis66C.jpg  このカメラにはシンクロ接点が設けられていて、鏡胴を引っ張り出すと、鏡のような筒の向かって左側の側面にコソーリ穴が空いていま。
 フィルム巻上げは6x6であることから、モロ単純な赤窓式。その赤窓も一切覆われることもなく、日差しが強い時に背面を日に当てていたら、変に感光してしまうでしょうなあ。間違いないっ! あ、一応、巻上げノブは逆方向には回らないように作られてます。←当り前じゃん
 裏蓋はご覧の通り取り外し式。ストラップの取付金具を両方とも引き下げると外れますが、よく見ると裏蓋が曲がってるでしょ? 圧板もカーブしていてフィルムを曲面でセットしますが、これは単玉の周辺部の歪みを多少なりとも軽減させることが目的なんですなー。アフォなりに頑張ってるっちゅうこってす。 Ibis66D.jpg
Ibis66G.jpg  んでもって、シャッターボタンはご覧の通りなるべくレンズシャッターに近付けるべく、妙に鏡胴に近いところにあるでしょ。おかげで軍艦部左側が妙にシンプルになっちまいました。ただ、唯一エライところは、このシャッターボタン、鏡胴を引っ張り出さないとシャッターから伸びる棒とかみ合わないんで、何度押してもスカスカ。んまあ、エライっつっても、これまた当り前なんすがね。ちと大袈裟に言っとかないと褒めるところがねーんです(ToT)。ちなみに、こちらはグレーバーヂョンだべさ。4x6にもありましたが、色以外なーんも変わったところがねーです。
 ところで、フェラーニアでは127フィルムを使った4x6判の上記イビスを50年に、ガリレオ・テーログレンズとプロンターSシャッターを備えた6x6判のアストールが52年作られ、デザインは前者、ボディは後者を利用して、後に作られたのがこのイビス6x6なんですなー。でも、せっかくアストールで焦点調整のできるしっかりしたレンズシャッターカメラを作ったのだから、イビスにもそれを盛り込んで欲しかったですのぉ。
 なお、イビスはトキを指す言葉で、英語とも共通です。学名ではニッポニア・ニッポンですが、さすがにそっちの名は使われませんでしたね(笑)。

フェラーニア・イビス 34 / 44 アクロマティコ 58mm / 65mm F7.7
Ferrania Ibis 34 / 44 Acromatico 58mm / 65mm F7.7

Ibis44A.jpg  同じイビスでも、がらりと趣を変えたモデルで、1958年の発売です。イビスシリーズの最終モデルですが、同じデザインでイビス34ちゅうベスト半裁判の姉妹機が出とりました。で、こっちはその名の通り127フィルムを4x4のスクェアで写しま。それまでの真っ黒いびつ、おっとイビスとちゃいまして、軍艦部がそれらしくきれいに仕上げられていて、「ちと高級かも」と思わせるものがありますでしょ? でも、これが大したことないんだなあ、実は。だって、これ、ただのアルミのプレスだもん。メッキじゃないっすよ。
 まあ、とは言え、それまでのモデルからすりゃぁ格段に機能は向上してま。シャッターもB、1/50、1/100秒と高速側が一つ加わりましたし、絞りもf7.7開放(と呼んでいいものなのか〜)にf12が加わりましたからね。絞りっちゅーても小さな丸いくり抜きの板が出てくるだけなんすが。シャッターだってエバーセット式のギロチン君のだし、別段基本的にはなーんも変わってなかったりして。 Ibis44B.jpg
Ibis44C.jpg  ちっちゃいファインダー接眼部の左にもっとちいちゃな穴が空いていますが、フィルムを巻き上げると下の赤い印が引っ込もうとします。これは新たな工夫です。でも、フィルム送り自体は当然赤窓式ですから、こんなもんあっても意味が全くないような気がしますねぇ。そうそう、赤窓の上に何やらパーツを引っ掛ける爪のようなものが付いてますが、一体これは何を付けるものなんでしょ? タニットにも付いてましたが、ケースで上から覆われちゃうし、意味不明です。
 こやつが先に申し上げました姉妹機のイビス34でやんす。やっぱ58年のカタログに出てますが、3x4判ゆえファインダーは縦長になってま。でも、面積は4x4に比べて必要以上に小さくなってるのはナゼ?
 シャッターやその他の機構は変わりませぬが、レンズは58mmが使われとります。また、赤窓も半裁判ですから、二個並んで置かれているのも違いと言えば違いですな。127フィルムを使うカメラだけあって、とても小さくて可愛らしいカメラで、上記タニットの直系の後継機種になりますです。
Ibis34.jpg

ビローラ・ベラ
Bilora Bella

Bilora1.jpg  こちらはフェラーニアをドイツでライセンス生産したモデルで、上記イビスとイビス44の中間のモデルになります。形を見るとイビス44のファインダーを小さくして鏡胴を初期のイビスのように沈胴式にしたような感じですが、正にそのまんま。イビスのシンクロモデルのデザインを変更して新たなモデルとして出そうとしたフェラーニアが、ドイツの提携工場でライセンス生産させてそこの名で出したもので、背面に“Made in Germany”とあるものの、鏡胴基部の下側には“Ferrania”の刻印が入ってます。それにしてもドイツでもこんな簡易カメラが売れたんですかねぇ。
 で、どこが初期のイビスから発展したかと言うと、まずバルブシャッターが組み込まれたこと。思えば最初のモデルにはそれすらなかったんですからねぇ。次にヘリコイドリングが入って焦点合わせできるようになったこと。考えてみると初期モデルは固定焦点だったっすからねぇ。そしてアクセサリーシューが付きました。そう言えば初期モデルにはなかったっすからねぇ。てか、イビスの初期モデルって改めてすんごいカメラだと言うことがよーく分かりました(笑。ただし、ベラの沈胴がスプリング式でなくなってるのはわずかな後退と言えま。 Bilora2.jpg
Bilora3.jpg  デザインは後期のイビス44に近いもの。沈胴なのでレンズは初期のイビスと同じ75mm F9なんでしょうが、カメラにはなーんも表記がないので分かりませ〜ん。M.マラヴォルティ氏の『LE FERRANIA』にもカメラの紹介はありますが、スペックの記載はありません。てゆーか、シャッタースピードが1/50−1/100となってますが、これは誤記。でも、一応それによると55年発売となっていますが、ま、これも話半分に聞いておくのが吉。

フェラーニア 3M・ヴェラマチック オビエッティーヴォ 40mm F8
Ferrania 3M Veramatic Obiettivo 40mm F8

Veramatic1.jpg  これまた派手な色使いのカメラですが、フェラーニアが3M傘下に入った64年に作られた簡易カメラですになります。時代を反映してか、水色にオレンジと言う随分大胆なカラーになってますが、64年の日本で、こんなすごい色のカメラってあったでしょうかね。ちょっと思い浮かびません。と言うことは、時代を反映ではなく、色に関しては10年先取りしているかな。ちなみに、しばらくすると「Ferrania」の名が消えてフィルムさえも「3M」名だけになっちゃいます。
 レンズはお決まりの単玉で、「Obiettivo」とはパンフォーカスを示すイタリア語で、事実フォーカシングは固定になってます。絞りは晴れと曇りの2つ「。曇り」はf8ですが、「晴れ」は一体fいくつなのかサッパシ分かりませんが、まあ、多分f11程度なんでしょう。シャッターは単速で、1/100秒程度。フィルムは126インスタマチックを使用しますので、ASA100ないし200になるはずですから、さすがにf8の暗いレンズでも、日中ではかなりオーバーになってしまいます。 Veramatic2.jpg
Veramatic3.jpg  裏蓋の開閉は向かって左横下の爪を押し上げておこないますが、ヒンジもプラスチックなだけに40年も経った今では折れそうで怖いですね。これはストラップの取り付け部分も同じで、ここに付けたら危険極まりないですが、80年代後半-90年代半ばのイタリア製品のプラスチックの貧弱さに比べると、60年代のものはかえってしっかりしているように思えます。ランチア・デルタの内装のプラ・パーツの割れ易さと言ったら…。
 それはそうと、「Ferrania」の名は70-80年代にはフィルムからも消えてしまいますが、面白いことに90年代後半から復活します。フェラーニア・ソラリス(Solaris)ブランドでフィルムが売られていますが、面白いことに、同ブランドでコンパクトデジカメもいくつか売られています。でも、08年半ばまで販売されていた126インスタマチックフィルムは、最後の砦となっていたフェラーニアもついに生産終了。む、無念。

フェラーニア・エウラ 75mm F8
Ferrania Eura 75mm F8

Eura1.jpg  さーて、今度はいささか無茶な50年代カメラ、エウラの登場ですよ〜。50年代と言っても、正確には59年発売でして、それにしてはあまりにおこちゃまちっくです。国産でもフジペットというのがありましたが、確実にこのエウラの方が中味はスカスカですよ。参ったか!(←威張るなっちゅーの)
 でも、こいつは6x6判でかなりデカいので、日本人のおこちゃまのおててでは少々難あり。やはりヨーロッパ人のおこちゃまは手がデカいのだろう(←違う違う)。
 ボディは一眼レフ並にデカいのですが、材質はプラスチックなので、えらく軽いんです。そうですねぇ、このカメラの半分以下の大きさのドゥカーティの重さの半分もないっすよ。携帯電話並です。
 レンズはネーム不詳の単玉で、一応2mから∞までのフォーカシングができるのはイビスより上です。絞りもf8とf12の二つが付いてます。ここもイビスを超えてますが、鏡胴の右側の爪を上にずらすと、単に小さな穴の空いた黒い板がレンズの後ろに現れるだけなんですがね。
Eura2.jpg
Eura3.jpg  シャッターはやはりエバーセットのギロチンもの。ただ、ボタンが省略されていて、鏡胴脇のレバーを下げるだけですので、どうも「撮るぞ」と言う気合が入りません。しかもバルブも省略。1/30秒程度の真正単速とは、恐れ入谷の鬼子母神です。
 巻上げは底部の向かって左にあるノブを回す赤窓式。反対側のノブは裏蓋ロックの解除用のもの。しかし、裏蓋に接眼レンズが付いているのはこのカメラだけでしょ。
 いやはや、それにしても写真を撮る気にさせないカメラと言うのもある意味すごいですね。そのくせ、右のように立派なケースにセットが詰め込まれて販売されてたみたいで、一体全体どういった層をターゲットにしてたのでしょうね。マジでおこちゃま向けだったんでしょうかね? Eura4.jpg

フェラーニア 3M 3035 カラー・イスコナー 45mm F2.8
Ferrania 3M 3035 Color Isconar 45mm F2.8

Ferrania3035A-300.jpg  フェラーニアが3M傘下に入る前から、ちょっと手の込んだ35mmカメラはドイツでOEM生産されていましたが、この“3035”もMade in W.Germanyの刻印が底蓋に見られます。3035の生産年は69年で、この時のフェラーニア3Mの35mmカメラは、名前ではなく番号が使われていまして、ラピッドフィルムの10XX番台に対し135フィルムでは30XX番台になります。下二桁の番号が若い物ほどグレードは下がりまして、3000シリーズの最高グレードの3055は距離計+CdS露出計が備わっていました。この3035は中堅モデルで、セレン光式露出計を組み込んだタイプになります。
 ボディはヴェラマチックのような見た目の安っぽさは見られませんが、手にしてみると同レベルの日本製のファミリーカメラに比べて妙に軽いです。軍艦部と底蓋が金属製のカバーのために騙されてしまいましたが、本体はアルミダイキャストではなくて、プラスチック製なんですよ。おかげで、相当生産コストは抑えられているのでしょうが、「カメラ=高級品」みたいな60年代の日本人的な発想ではこうした大胆なことはできなかったでしょうね。日本では70年代から、本体が金属でカバーがプラスチックを採用するメーカーが増えましたが、ヨーロッパのファミリーカメラは逆のパターンなんですね。 Ferrania3035B-300.jpg
Ferrania3035C-300.jpg  レンズはイスコ・ゴッティンゲンのカラー・イスコナー。シアンコーティングが施された3枚玉で、なかなか良く写ります。絞りはf2.8〜f22まで7段階で、シャッターはB.1/30〜1/300秒までの5速ですから、通常の撮影には問題はありません。ただし、露出計は鏡胴側のシャッター・絞りリングには連動しておらず、軍艦部上部のダイアルを回転させ針を合わせ、その状態での絞りとシャッターの数値の組み合わせを選んで鏡胴側のリングを回すことになります。
 ヘリコイドリングは先端になりますが、もちろん目測式です。
 ファインダーは前から見るとシアンコートされていて、ブライトフレームが見られます。アイピース側から覗くと画面がマゼンタがかって見え、フレームが白っぽく浮き上がっています。採光式ではないので、どうしてもブライトフレームがはっきりとはしませんが、充分使える範囲内です。
 このカメラもリンスのシリーズと同様に巻き上げレバーが軍艦部下に埋め込まれていて、スッキリした印象になっていますが、やはりシャッターボタンもボディ前面に持って行ったのがそれをまた助けていますね。しかし、リンスのような前から押込むタイプではなくて、より簡潔な仕組みのレバーを押し下げるタイプになってしまったのはちょっと残念です。まあ、トプコンも高級機のREスーパーの前押しボタンを、廉価版のUNIでは前に付いていても押し下げ式に変えていましたね。

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